空想対話5〜象徴的な中央ホール
旧公衆衛生院をとおして建築家・内田祥三との空想対話5〜象徴的な中央ホール
「内田先生、この建物の象徴的な空間 中央ホールについてですが、天空(未来)光(導き)地上(今)が時間軸、空間軸に編み込まれた"生き方"につながる哲学的な構成のように推察されるのですが」
「ふむ、もう少し詳しく聞かせてくださるかな?」
■中央ホール
空間を作るにあたってのイメージは、「宇宙と地球」或いは「天空に開かれたドーム」がコアにあるのではなかろうか。
円形という普遍性(全方向性)、見上げた形が大空(宇宙)を想像させる。
正面エントランスから入り2階は地上であり、3階は空、4階、5階は宇宙(天)を表す。
平面配置としては、ギリシャクロスに近い。
東京復興大聖堂 平面図(東京お茶の水のニコライ堂)
2階の天井レリーフは花、ブランケット照明は草を、吊り下げ照明は太陽と木々を表す。
3階は△デザインで天空に突き刺す尖塔を連想させる。ブランケット照明は丸デザインで、吊り下げ照明は2階と同様に太陽を表す。
旧院長室、掛け時計の文字盤も丸であり太陽を示す。丸のデザインは3階のみで、他の階では見かけられない。
シンプルで三重の輪になった天井は、射す光、天空を表す。
ドームとして考えた場合、射す光に導かれる重要な空間である。
4階は宇宙空間であり、全てが広がりを意味するようにシンプルなデザインとなっている。
5階天井はまさに天空、大宇宙を表す。4階、5階ともブランケット照明は天を射す。
6階は無限をあらわし、ブランケット照明は楕円で安心を表現する。
なお、1階は大地から放たれる光をガラスブロックで表現する。ホールを地球と考えた場合、南半球の光が妄想できる。
ガラスブロック中のデザインも四角の中に三角が統一されている。
ブランケット照明は4階、5階と同様に天を射す。
「先生、やはり△◯◇理論がコアにある気がするのですが?」
「あなたは自然界と宇宙が設計思想とお考えなのですね」
「内接ドームのイメージで宇宙を表現されのではないかと」
「私にはドームに見えます。」
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?