『メル・リルルの花火』第9話をみました

【芝居のポイント】
想像力が存在させるもの

【公演概要】
おぼんろ第18回本公演『メル・リルルの花火』
語り部:末原拓馬、さひがしジュンペイ、わかばやしめぐみ、高橋倫平、黒沢ともよ、田所あずさ
ムーブメントアクター:渡辺翔史、坂井絢香、山城秀彬、miotchery、堀田聖奈、権田菜々子
公演期間:2020年4月17日(金)~26日(日)
劇場はオンライン(公式YouTubeチャンネル):https://www.youtube.com/channel/UC5gxLbqTgaKOcfOI2k0CIJQ
公式ホームページ:https://www.obonro-web.com/16-1

2020/04/23/19:00開演観劇

今回はしょっぱなからさひがしさんとめぐみさんのラップ宣言に笑ってしまった。カタカナが苦手そうな二人がラップ言葉をすらすらとしゃべっているのも面白かったし、二人がのりのりで韻を踏む言葉を考えるところが思い浮かんでしまうのが楽しかった。

物語の始め方が今回少し変わった。拓馬さんの「想像してください」の語りで森や葉っぱ、そして見上げると満天の星空…を想像したところでいつもなら手が鳴って1度語り部たちのいる森に帰ってくる。それが今回はリセットがなかった。私は想像のまま満天の星空の下で物語を聴いていたような心持だった。最後の語りでも「ペズロウの星空がこんなに綺麗だなんて!」と話していて、ちょうど私の頭の中にも星空が広がっている、物語に没入している感じがした。特に私は想像するとき「普通の星空だったら私は見えないけど、想像の星なんだから触れても良いよなー」と思っていたので、「ペズロウの星空は星に手が届くかも」という言葉が何だかうれしかった。

科学的には幽霊はいない。なのに何故人は昔から霊魂や妖怪の存在を語って来たのだろう。私は想像力があるからだと思う。実際は見たことがなくても、いないと思っていても、自然物によって、語る人の言葉や調子によって、人は頭の中にその存在を作ることができてしまう。だから昔話には実際いないものが多く登場するのだ。『メル・リルル』9話の終わりには「幽霊がマッキナを通じて、あなたのところに行っちゃうかも」と話があったけれど、この物語を聴いている時点で私の頭の中にすでに幽霊はいる、マッキナを経由するまでもないという気がするのだ。残り三日間、物語と一緒に過ごす時間を楽しみたい。

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