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槍ヶ岳穂高縦走:2018/8/17~/20 DAY3

寒くて何度も起きる。結露もすごくて、シュラフの足先が濡れ始まってる。眠りが浅く、大キレットで事故が起きる夢ともつかない妄想を見る。でも、とにかく朝まで無理やり目をつぶって、体と脳みそを休めさせる。

朝日。テントから見える朝の色がなんとも言えない良い色でずっと見てしまう。

大キレットを偵察に。ようやくその全貌を見る。あんなところいくのか・・・切れ落ちすぎだろ・・・想像がつかなくて、この時点で行ける気がしていない。

夜露で岩が濡れていることはなく、風も穏やか。小屋に張ってあるファンシーな大キレット解説イラストを見て不安をごまかす。まあ、大丈夫でしょう。テン場ほとんどみんな出発してる!早いなー。僕たちも撤収。水を最小限にして、心して出発。と思ったらサングラスがない。あれ?あれ?って大捜索(日中は遮るもの無く光が強いのでサングラス無いと結構ツライ)シェルターの内側にくくりつけたまま撤収してた。

気を取り直して、大キレットを降りていく。ドキドキ。

とすぐに、同行者が落石を起こす。そこそこでかい奴。強めに警告しつつ、変に萎縮されても思い切りが無くなって困るので、とにかくサポート。ゆっくり確実に進む。1時間もしないで長谷川ピークに。おっかねえ・・・・顔が引きつる。

ここで仲間と体を入れ替える時に、岩に膝を強めに打ってしまい、ちょっと踏ん張りがきかなくなる。うーん。

長谷川ピークから先がけっこうな難所と聞いているのでドキドキ。

写真を残す余裕は無かったけど、まあ、落ち着いてれば大丈夫。

こことか一見怖そうだけど、写真残せるくらい余裕はある感じ。

更に進む。鎖場の下りで少し渋滞。待っていると、下で的確な指示を出している立派な白ひげのおじいちゃん。前の人が降りきったので「お父さん早そうだから、先に上がってくださいー。」って伝える。ホイホイ上がってくる。

「わしはもうおじいちゃんだよー」って言うから、「またー」って返したら「75歳だよ。今アルプス一筆書きやってる」って。びっくりした。化物だ。

更に進む。

「飛騨泣き」と言われる難所があるはずなんだけど、特に難しいところはないまま。なんかもう大丈夫かなーとか思いつつ、反対から来たおじさんとちょっと会話。

おじさん「こっから先、どう?」
私「長谷川ピークの手前までは特に普通ですよ」
おじさん「あ、そう。こっちも、特に怖いところはないよ」
私「あ、そうなんんですね。じゃあ、僕らもう飛騨泣きってもう超えちゃったんですかね」
おじさん「かもね」
私「ではお気をつけてー」

みたいな会話をしていたんですが、その直後に思いっきり怖いところ出てきた。絶対これが飛騨泣き。おじさんめ・・・

とはいえ、落ち着いてれば大丈夫。無事通過。しかし、北穂高のピークまでの登りが長い。ほぼずっと岩壁登り。楽しいからいいんだけど、思ったより暑くて(夜はあんなに冷えたのに・・・)汗が止まらない。軽量化のために、水を最小限にしているので、けっこうカツカツな状況。小屋に着けば補充できるのでいいんだけど。もう少し持ってても良かったな。

というわけで、無事、とんでもないところに建っている北穂高小屋に到着。

迷わずペプシで乾杯!!本当に無事で良かった!!!!家族にも通過を報告。少しゆっくりして、次に進む。

途中、明らかに大キレットよりも怖いところがあった。危ないってあれ。そこを過ぎたあたりで、妙に遅いトレラン風のソロの若者が崖を降りてきた。顔を見ると、明らかに血の気が引いてる。表情が疲れてるとかじゃなくて怯えている。足元を見るとナイキのランニングシューズでサイドは既に破けていて、ノーヘルメット。かなり危険な状況に見えたので、「君、さすがにその状況だとこれ以上先は危ないよ。やめた方が良いよ」って言ったんだけど、反応が無い。?って思ってると、おそらく韓国語っぽい言葉が帰ってきた。これは説得できないと思ったので、「ベリベリーデンジャー、ビーケアフル」とバカっぽい英語で注意だけ伝えて、別れた。とても心配だ。

とはいえ、僕もそんなに余裕は無い。

ずっと↑こんなのを三点支持で登って下ってをやっているから手が段々だるくなってるし、足もさっきの長谷川ピークで打ったせいであまり力が入らない・・・

集中しながら、涸沢岳通過して、これまた凄いところに建ってる穂高岳山荘に到着。ホッとする。仲間と途中のやばいところの話をしたりしながらテント設営。テン場が狭いのでなかなか難しい。小屋でビール。でもまだ時間はたっぷりある。暇だ。携帯電波が入るのでネットで登山自慢したり、友達の装備見せてもらったりして時間を潰す。

北穂、奥穂から人が降りてきて、テン場が混み合ってくる。僕が最初にテント張った場所はでかい岩があって、それを避けてて余裕があったんで、到着した4人パーティが「詰めてもらえますか?」ときた。どかしても4人パーティのテントが張れるとは思わないけど、もしかしたら二人用の奴を2つかもしれないし、僕が詰めるのが当然なので、協力してもらって岩をどかし、詰める。

その空いた場所におじさん達がテントを広げ始めたんだけど、案の定4人用・・・設置できるわけ無いでしょ・・・呆れる。彼らは小屋に許可をとってヘリポートの方に。その後も、続々と人が降りてきて、ヘリポートもけっこうなテントに。

そこで夕飯。最高の雲海と夕日夕焼けでしかも、昨日と違ってあったかい。仲間が誕生日プレゼントでウイスキーを奢ってくれる。タダ酒ほどうまいものはない。最高だ。

あっという間に飲み干して、夕日も堪能して、でも飲み足りなくて、小屋でワイン買って二次会。すると、隣のおじさんが「荷物の軽量化にご協力ください」と言いながら冷えた梅酒をおすそ分けしてくれた。最高にうまい。ありだなー梅酒。そのまま、なんやかんやお互いの話をして盛り上がる。梅酒を飲み干すと、次はウイスキーをおすそ分け。それも飲み干すと、最後はビール。完全に泥酔したけど、最高に楽しい宴会だった。僕もあの年まで登っていたいなあ。

這うようにテントに戻ってシュラフに潜り込む。夜中、風が強くなってきてテントの震える音で目が覚める。完全に二日酔い・・・満点の星を見ながら水を大量に飲んで酒抜きをはかる。寒くないのがせめてもの救い。

バタバタうるさいテントの中で、またじっと目をつむって、長谷川ピークの絶景や飛騨泣きの崖を思い出す。ああ、明日で旅が終わってしまう・・・

【day3】
5:00 起床・朝飯・撤収
7:00  出発
8:00 長谷川ピーク
9:50 北穂高小屋
10:20 北穂高岳
11:20 最低コル
12:00 涸沢岳
13:00 穂高岳山荘

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