北関東の石造物㉞:桃井城跡五輪塔
名称:桃井城跡五輪塔
伝承など:なし(桃井氏関連の石塔か)
所在地:群馬県北群馬郡吉岡町南下 桃井城跡
群馬県吉岡町の南下の桃井城跡は、現在は農地になっていてほとんど遺構は残っていないが、桃井直常の居館だった場所と伝わる。
桃井氏は足利氏の支族で、現在の群馬県の北群馬郡榛東村、吉岡町あたりを本拠とし、南北朝時代に活躍した上述の桃井直常が著名である。
現在城跡の農地の一角に、中世の五輪塔が一基残されている。
無銘で伝承もないため五輪塔の詳細は不明であるが、鎌倉時代後期と推定される古石塔で、おそらく桃井氏関連の石塔と思われる。
同じ吉岡町南下には、桃井直常夫妻の墓と伝承される南北朝時代の五輪塔(桃井塚、「北関東の石造物⑧」参照)があり、両者がともに桃井氏による造立だとすれば、この五輪塔は桃井塚の五輪塔に先行して造られた石塔であろう。
なお、吉岡町南下のバイパス沿いにも「丸山の五輪塔」と通称される小型の石塔があるが、これも詳細は不明である。
桃井塚よりもさらに造立時期は下り、南北朝時代から室町時代前期の作と考えられる。