京都府内の石造物㊲:来迎院五輪塔・層塔(伝・良忍の墓)

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名称:来迎院五輪塔・層塔

伝承など:良忍の墓(層塔)

所在地:京都府京都市左京区大原来迎院町 来迎院


大原三千院の入り口から道を右に取り、十分程登った所にある来迎院は、平安時代初期に慈覚大師円仁によって開かれたと言う伝承のある古刹で、平安時代後期に良忍によって再興された際に、来迎院が上院、三千院北方の松林院が下院と定められた。

来迎院には国宝の「伝教大師度縁案並僧綱牒」(東京国立博物館寄託)や、本堂(三枚目)内の平安時代作の釈迦如来・阿弥陀如来・薬師如来の三尊仏(いづれも重要文化財)などの多くの文化財を有し、また鎌倉時代中期の石塔も二基ある。

そのうちの五輪塔は、本堂に向かって右側に建ち、古様を留める石塔である。

同じ大原に所在する大原念仏寺の弘安九年銘の五輪塔(「京都府内の石造物㉛」参照)が、大和地方に多く見られる洗練された様式を持つ石塔なのに対し、こちらはそれとは異なる型式(特に火輪など)を持つことから、おそらく大原念仏寺五輪塔よりもやや早い時期の造立と推定される。

もうひとつの三重の層塔は本堂裏にあり、重要文化財指定で良忍の墓と伝承されるが、鎌倉時代中期の造立で良忍の没年よりずっと後代の作であるから、良忍の供養塔と見るべきであろう。

いづれにせよ、五輪塔・層塔ともに鎌倉時代中期の貴重な石塔で、中世石造物の多い大原でも最古の部類に属する。


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