近畿地方の石造物㉖:興融寺五輪塔
名称:興融寺五輪塔
伝承など:なし
所在地:奈良県生駒市有里町 興融寺
生駒市の有里周辺は、現存最古の在銘宝篋印塔である輿山往生院の宝篋印塔を始め、古石塔が集中している地域であるが、その中でも興融寺の五輪塔は屈指の古塔である。
興融寺は、行基の墓のある竹林寺と、鎌倉時代後期造立の美しい宝篋印塔二基があることで知られる円福寺の間に位置する小さな寺院であり、境内に建つ五輪塔は文永十年銘を持ち、奈良県内の在銘五輪塔としては最も古いものである。
西大寺や額安寺など真言律宗の寺院で鎌倉時代後期に登場する、大型で洗練された様式の五輪塔と異なり荒削りではあるが、初期五輪塔特有の風格のある石塔である。
なお、この写真は十年以上前に撮影したもので、現在は五輪塔の周辺には玉垣が造られてしまったために全景の写真が撮りにくくなっている。