神奈川県内の石造物②:余見宝篋印塔(伝・源頼朝の墓)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/10704355/picture_pc_94409ff1334b5926d769ef7eb9df01e3.jpg?width=1200)
名称:余見塔
伝承など:源頼朝の墓(北条時村の墓?)
所在地:神奈川県足柄下郡大井町
古くから「余見塔」と呼ばれている宝篋印塔で、余見は地名のようであるが、現在は大井町の上大岡地区の個人所有の竹林の中に建っている。
宝篋印塔も現在は個人の所有であるため、見学には管理者の石井酒造に一言断る必要がある。
関東形式の宝篋印塔としては最初期の事例で、鎌倉時代後期の嘉元二年の銘文を持つ。
地元では古来「頼朝さん」と呼ばれて、源頼朝の墓と言う伝承があるらしいが、もとより伝承の域を出ず(関東地方の鎌倉時代の大型の石塔には、頼朝の墓と伝承されるものが多く、余見塔の伝承もその類であろう)、宝篋印塔の詳しい来歴は不明である。
石井酒造でいただいた小冊子によると、嘉元の乱で討たれた北条時村(七代執権北条政村の子)の墓、ないしは供養塔とする見方もあるようだが(ただし、時村の死は嘉元三年のことで銘文とは微妙なずれがある)、いづれにせよよくわからない。
宝篋印塔は、基礎部分に比してやや塔身と笠が小さいため、一見アンバランスであるが、鎌倉時代の宝篋印塔らしい何とも言えない風格のある良い塔である。