近畿地方の石造物㉕:知足院五輪塔(成身院光宣逆修塔)
名称:知足院五輪塔
伝承など:成身院光宣逆修塔
所在地:奈良県奈良市雑司町 知足院裏の興福寺墓地
知足院は東大寺の塔頭で、正倉院を北に進んだ所にある。
この知足院の裏には一乗院など興福寺の塔頭寺院の墓地があり、その中に成身院光宣の逆修塔もあり、興福寺の墓地内にあるものの一般的には知足院五輪塔と通称される。
成身院光宣は大和の筒井氏の出身で、興福寺の僧侶となった人物で、晩年には畠山政長の被官として応仁の乱で活躍している。
この五輪塔の地輪には応仁二年と文明元年の二つの銘文が刻まれ、前者は逆修を行った年で、後者は光宣の没年である。
五輪塔は空風輪と火輪が別石で完形ではないが、造立者と造立趣旨判明する石塔として貴重な作例と言える。
なお、私がこの五輪塔を訪れたのは十数年前のことであり、その後もう一度五輪塔を見ようと数年前に知足院を訪れたが、以前は通じていた境内から墓地に至る道が封鎖(?)されていて行けず終いであり、現在この五輪塔が見ることが出来るのかどうかはわからない。