雑記:暴君は名君か?
福井藩二代藩主松平忠直は、徳川家康の次子・結城秀康の子で、菊池寛の小説「忠直卿行状記」などの文学作品では希代の暴君とされ、史実でも乱行の廉をもって豊後に配流となった。
もっとも、忠直のパーソナリティのうち暴君の面については、後世の脚色が多いようで、忠直が鯖江の鳥羽野地区の開発事業に尽力したことから、地元では名君として慕われたようである。
それを示すものが、福井県鯖江市神明町の長久寺にある忠直の供養塔であり、これは地元の者が忠直の遺徳を偲んで造立したものと言う。
供養塔は宝篋印塔であるが、基礎の部分を厨子のように造って内部に五輪塔を納める特異な形式である。