近畿地方の石造物⑨:額安寺宝篋印塔・五輪塔群
名称:額安寺宝篋印塔、五輪塔群
伝承など:忍性の墓(五輪塔)
所在地:奈良県大和郡山市額田部寺町 額安寺
聖徳太子創建と伝わる大和郡山の額安寺には、三メートルを超える巨大な宝篋印塔が伝わる。
かつては境内外の蓮池の中島にあり、近づいて見ることが出来なかったが、近年修復に伴い境内の本堂前に移され、拝観が容易になった。
鎌倉時代の文応三年の銘文を持ち、国内の在銘宝篋印塔としては生駒市輿山往生院の宝篋印塔に次いで二番目に古い(異説あり)。
その大きさもあって独特の威風と存在感のある塔で、石造美術としても一際優れている。
額安寺には今一箇所、中世の石造物があるエリアがあり、境内を出て北方の墓域には、鎌倉時代の五輪塔九基が建ち並び壮観である。
いづれも鎌倉時代後期の造立で、中には永仁五年の銘文を持つ塔もあり、大和石工の手による端正な五輪塔である。
最も大型の塔からは解体修理の際に骨蔵器が発見され、額安寺の再興に尽力した真言律宗の忍性の墓と言うことが明らかになった(四枚目)。