東北地方の石造物㉔:大乗院五輪塔・有頸五輪塔
名称:大乗院五輪塔・有頸五輪塔
伝承など:なし
所在地:岩手県西磐井郡平泉町平泉 毛越寺大乗院
平安時代の庭園が残ることで知られる平泉の毛越寺の塔頭である大乗院は、普段は非公開寺院であるが、境内には鎌倉時代前期の石塔が存在する。
数年前に幸いにも、大乗院の石塔調査に立ち会い、石塔の実物を拝観することが出来た。
大乗院には五輪塔二基と有頸五輪塔が一基あるが、向かって左側の五輪塔は、同じ平泉の中尊寺釈尊院五輪塔(国内最古の銘文を持つ五輪塔、「東北地方の石造物⑲」参照)によく似ており、釈尊院塔をモデルに造立されたと思われる。
造立時期は、おそらく鎌倉時代前期であろう。
有頸五輪塔は、平泉周辺に点在する同型の石塔と同時期のもので、やはり鎌倉時代前期の作と思われる。
どちらの石塔も極めて貴重なものである。