滋賀県内の石造物㉘:清滝宝篋印塔(北畠具行供養塔)
名称:清滝宝篋印塔
伝承など:北畠具行供養塔
所在地:滋賀県米原市清滝
JR東海道本線柏原駅の西方の清滝の集落にある徳源院は、佐々木京極氏歴代墓所があり、中世から近世にかけての宝篋印塔が数多く並ぶが(「滋賀県内の石造物④」参照)、同じ清滝の旧東山道の山道の途中には、北畠具行の供養塔と伝承される宝篋印塔がある。
北畠具行は後醍醐天皇の側近の公卿で、元弘の変に際して捕らえられ、鎌倉に護送される途中に、北条高時の命を受けた佐々木(京極)導誉によってこの地で処刑された。
供養塔はその十六年後に造立された宝篋印塔で貞和三年銘があり、導誉の手によって造立されたものであるため、形式的には徳源院の京極氏墓所内の宝篋印塔とよく似ている。
完形の在銘塔であり、かつ石造美術としても優れており、北近江にある南北朝時代の宝篋印塔の代表作である。
なお、得原因の京極氏墓所内にも、北畠具行の供養塔とされる小型の宝篋印塔がある(二枚目)。
また柏原駅から清滝に向かう途中の線路沿いにも、中世の宝篋印塔がある(駅から徒歩二、三分の場所)。