中部地方の石造物㉝:永賞寺層塔(大谷吉継供養塔)

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名称:永賞寺層塔

伝承など:大谷吉継供養塔

所在地:福井県敦賀市新栄町 永賞寺


敦賀駅から気比神宮方面に向かい、神宮を過ぎた先にある永賞寺には、敦賀城主であった大谷吉継の供養塔とされる層塔がある。

大谷刑部の通称で知られる吉継は、石田三成に味方して関ヶ原の戦いで戦死したが、後に彼を供養するために慶長十四年に層塔が造立されたと言う。

層塔は本堂の前にあり、福井県内の石塔によく見られる凝灰岩の笏谷石製であるが破損が激しく、かつてあったと言う慶長十四年の年号が刻まれた銘文も現在は読み取れなくなっている。


私はかつて十年以上前にこの層塔を見た際に、凝灰岩製であることから慶長年間よりもずっと以前に造立されたものなのではないかと感じた。

当時は関東の石塔を中心に見ていたため、凝灰岩製と言うと直ちに古い時期の石塔を連想したのであるが、福井では笏谷石が江戸時代に至るまで石材としてよく使用されているので、おそらくこの層塔もかつて読み取れたと言う銘文通りの造立時期で良いのであろう。

今回掲載する写真を撮影するために久しぶりに永賞寺で層塔を見たが、江戸初期のものかも知れないものの、やはり一瞬中世のものと思ってしまうほど風格のある塔であると感じた。


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