近畿地方の石造物⑩:奈良国立博物館内宝篋印塔
名称:奈良国立博物館内宝篋印塔
伝承など:なし
所在地:奈良県奈良市登大路町 奈良国立博物館
多くの仏像などの美術品を有し、毎年秋には正倉院展で賑わう奈良国立博物館の敷地内の池の中島には、宝篋印塔が建っている。
この塔は無銘ではあるが、鎌倉時代中期から後期と推定される古様の宝篋印塔である。
重厚感があり、奈良市内にある宝篋印塔の中でも最も古い部類に属する塔と推定される。
・2023年4月追記
奈良国立博物館は庭園内にも石塔が所在するが、庭園は現在不定期公開であり、春の桜の時期や秋の正倉院展などの際に期間限定で公開される。
2023年春に公開期間に行く機会があったので、追記と言う形で紹介したい。
まず庭園に入ってすぐの所に大型の凝灰岩製の宝篋印塔があるが、一見して関西にある宝篋印塔とは異質の形式であることがわかる。
元来は大分県国東市安岐町にあったとされ、南北朝時代の作である(相輪は後補と考えられる)。
宝篋印塔の西側には、所謂「国東塔」に属する石塔があり、こちらも元々は大分県の国東市にあったもので、そこから東京の個人宅に所有され、後に奈良国立博物館に寄贈されたと言う。
南北朝時代の典型的な国東塔であるが、相輪の先端は後補である。
庭園内には江戸時代前期に建てられた古田織部好みの茶室・八窓庵が移築されている。