滋賀県内の石造物㉗:新善光寺宝篋印塔(伝・小松宗定の墓)
名称:新善光寺宝篋印塔
伝承など:小松宗定の墓
所在地:滋賀県栗東市林 新善光寺
JR草津線手原駅東方3キロほどの所にある新善光寺は、鎌倉時代中期に平重盛の一族である小松宗定が善光寺の阿弥陀如来も分身を請来したことに始まると言う。
山門を入ってすぐ左の墓地内には、開基の小松宗定の墓と伝承される宝篋印塔があり、塔身には弘安三年銘があり、伝承はともかく開基の時期とは合致する。
滋賀県内では、野洲市の江龍寺に弘安二年銘を持つ宝篋印塔があるが、そちらは基礎のみであるため、完形に近い宝篋印塔としてはこの新善光寺の宝篋印塔が滋賀県最古の在銘塔である(相輪のみ近年の復元)。
なお、かつてこの宝篋印塔の基礎は山門前にあって標柱の台石にされていたが、近年になって元の場所に戻された(私が十数年前に行った際には、宝篋印塔は塔身と笠のみで自然石の上に載せられていた)。
なお、新善光寺にほど近い福正寺には、鎌倉時代末期の層塔がある(下の写真)。
福正寺は旧東海道の宿場の面影を残す地域の一角にあり、蓮如の旧跡としても知られる寺院で、層塔は現在六層であるが、元来は九重であったと考えられる。