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FC東京を振り返る(2021年第19節vs徳島)

中3日でのアウェイ連戦である。
サポーターとしては週の中日に試合があって幸せな限りだ。
少し疲れを感じだす水曜日の夜に、酒を飲みながら大好きなチームを応援できる。

しかし、選手にとっては疲れるだろう。
前節は横浜FC相手に見事な「ウノ・ゼロ」をやってのけたが、長谷川トーキョーの全力サッカーはその身をすり減らすに違いない。

相手は徳島。決して侮るわけではない。だが、前評判では圧倒的に東京が有利とされる組み合わせだ。

長谷川監督がどんな差配をするか注目された。



●試合前

徳島の本拠地・ポカリスエットスタジアムには縁がない。

徳島がGK山岸による劇的ヘッドで果たしたJ1初昇格の時には、四国という土地がやたらと遠く感じて行かなかった。

昨年度はコロナ禍でリーグ全体がそれどころではなかったため、今年こそはと意気込んでいたのだが、まさか未だに世の中がこんな状況だとはシーズン開始前には思ってもいなかった。

「はやく大手を振って旅行ができるようにならないかなあ」と嘆いて久しいが、徳島へ思いを馳せると特に寂しい気持ちになる。


●先発出場選手

累積警告で出場停止の渡辺剛に代わり、誰が入るか注目されていた右CBには蓮川が入った。
中村帆高の負傷離脱以降、懸念材料となり続けている右SBには明治大・特別指定選手の岡庭をチョイス。ルヴァン杯のホーム湘南戦以来の先発だ。

中盤は東の位置に三田が、トップ下に高萩が入った。

前線は左に永井、トップに田川を配置。
特に田川は東京五輪代表から落選した後で、初めての先発出場でもある。
五輪に出場できなかった選手が世界に羽ばたき大成する物語は往々にして成立する。気落ちせずJリーグで爆発して欲しい。

ディエゴ、レアンドロ、アダイウトンの3人はベンチスタートとなった。


●前半

以下、試合中に記録した好プレーを中心に紹介する。全てのプレーがハイライトに選ばれてはいないので、DAZNでの振り返りに活用していただきたい。


4分、田川がゴール

田川が相手のビルドアップに猛プレスを敢行。CBからボールを奪い、そのままGKをかわして無人のゴールに流し込んだ。
前節の横浜FC戦でも最終盤に似たようなシーンがあって決定機を逸していただけに、嬉しいリベンジとなった。


7分、田川がセットプレーのこぼれ球からシュートを放つ


9分、三田がゴール前でシュートを放つ
15分、岡庭がファーに走り込んでシュート
20分、森重が敵のプレスを引き出して右サイドの岡庭へフィード
29分、小川の守備対応。マークの受け渡し
30分、永井のターン
31分、蓮川の持ち出し


40分、蓮川のゴール前でのクリア


45分、田川のGKへの猛プレス→敵陣深くでのスローイン獲得


●ハーフタイム

試合の立ち上がりに先制点を獲得したことで、選手全員が落ち着いて序盤以降をプレイできていた印象だ。

特に後方を支える守備陣は危なげない展開で、落ち着いた対処ができていた。
蓮川のブロックやこぼれ球への反応、相手に身体をぶつけて自由にさせない守り方など、少ない出場機会ながら練習等で着実に成長しているのだと感じさせた。

岡庭も回数こそ少ないが高い位置を取ることができる時がある。
ファーへのクロスに走り込んだシーンがその最たるものだ。
室谷の移籍以降、東京の泣き所となっている右SBについて一定の解決を示してくれるかもしれない。


●後半

49分、永井のプレスバックと小川の相手をいなすコントロール
57分、レアンドロの2人を剥がすドリブル(ファール&イエロー獲得)

59分、田川のドリブルからシュート

相手GKからのビルドアップをカットしたディエゴから田川へ、そのまま中央を持ち運び利き足を振り抜いた。


61分、波多野のロングフィード
64分、田川のセカンドボールへの反応から前線でのキープ

65分、蓮川のペナルティエリア内でのスライディングタックル


69分、投入直後のアダイウトンをきっかけに前線がプレス(スローイン獲得)

70分、左からのクロスに蓮川の対応

左サイドからのクロスにマーカーにしっかりと対応した蓮川が身を投げだしてクリアした。

79分、小川を左CBに置いての3バックに
左WBにカシーフ、右に岡崎
84分、蓮川のエリア内での対応

87分、森重のシュートブロック


89分、波多野のスーパーセーブ


93分、自陣でのポジトラで岡崎がファールを獲得


●試合終了

序盤の先制点を守りきった東京が敵地での勝利を引っさげ、東京へ帰る格好となった。

受け身の時間が長くなり、終盤にピンチに晒されたもののどれも危なげなく、決定機を未然に防いでいた印象だ。
受け身といってもラインが下がりすぎることはなく、チームの中での意思統一もできていた様子だった。
交代で入ったアダイウトンなど、変に前線へプレスをかけることなく自陣で守備のタスクをしっかりとこなしていた。

だが、79分から試した3バックについては課題が散見された。

3-4-3にして以降、両サイドのディエゴとアダイウトンがサイドに寄り過ぎていて中央が空いてしまった。このことでボランチ2人が常に晒されている状況となり、バイタルエリアを自由に使われた。

1−0のリードを守り切るための必勝パターンを模索している状況だが、3バックは徳島相手にもイマイチだった印象は否めない。
今シーズンの東京は「ウノゼロ」を完結させるよりも、カウンターで相手を突き放すことを目指している。

追加点が取れなかった時に割り切って守るにはどうするのか。
最も恐ろしいのは、守備陣と前線の意識がバラバラになり、守備陣は引いて守りたいのでラインを下げる、前線は追加点のために前にプレスを仕掛ける、この意思のバラつきが生じてしまうことだ。

今節については、システム的に思うように事が運ばないながらも、破綻せず相手に同点弾を許さなかった点を評価したい。

そして願わくば、追加点を早々に奪いカウンターで圧勝する東京の姿を見たいものである。


印象に残った選手は蓮川壮大。
とにかくファイターであったこと、「気持ちを見せる」という抽象的な感想は自分の好みではないが、まさにそう表現するに相応しい内容だった。

渡辺剛が本来のパフォーマンスを見せられていない今、左CBのポジションは安泰ではないのだぞと下から突き上げがあることを意識させる上でもこの試合のハイパフォーマンスは上々だ。

他のポジションもそうである。
多くの選手をターンオーバーして、その上で得た勝利の価値は大きい。

チーム内における競争の激化が予感される1試合だった。

たまにサポートをいただけるのですが、あまりにも申し訳ないのでお題のリクエストなどを併せていただけるとありがたいです。もちろんなくても大丈夫です!読んで頂きありがとうございます。