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FC東京を振り返る(2021年第12節vs横浜Fマリノス)

「横浜」と書くと横浜FCなのか横浜Fマリノスなのか分からない。
「横浜F」と書くと横浜フリューゲルスなのか横浜Fマリノスなのか分からない。
「横浜マリノス」と書くと横浜マリノスなのか横浜Fマリノスなのか分からない。

よって、『横浜Fマリノス』と書くしかないのである。

FC東京のサポーターとして、「F東(エフトー)」と呼ばれることを嫌がる派と、別にどうでもいい派で分かれている。
そんな呼称による問題を知っているからこそ、文字上の表記も気になる次第だ。

話が横道に逸れる時は、本題に入りたくない証拠である。

振り返りたくない試合もある。しかし真っ直ぐ直視しなければならない。


●試合前

今シーズン2回目のリモートマッチ(観客なしでの開催)となった今節。GWの真っ只中である5月1日に開催された。
個人的にたいへんに楽しみにしていたイベントが緊急事態宣言によって中止となっており、無観客であってもサッカーを見られる喜びを噛み締めながらの観戦となった。

相手は2019年にリーグタイトルを争い、更には今季FC東京が目指す4−3−3を長年突き詰めているチーム。ポステコグルーが率いる集団は、大量得点を記録する試合も経ておりここまで上り調子だ。


●先発出場選手

FC東京は4−3−3を諦めない。と思ったが、いざスタートしてみると安部と森重の距離が近い。
前節の鳥栖戦では、後半以降に森重が最終ラインに入り安定感を見せていたことからアンカーに青木を起用し、森重を下げるものだとばかり思っていたが、長谷川健太監督の選択は違っていた。
これまでと異なる点は、アンカーシステムを採用せず4−4−2に近い形としたことだ。ボランチに森重と安部を置いていた。

4−3−3を採用するチームとして国内有数の完成度を誇る横浜Fマリノスに対して、同じシステムでの真っ向勝負を回避した。
回避というより、2019年の4−4−2に近い形とし、何が何でも連敗を止めるという意思を見せつけた格好と表現したほうが正しいかもしれない。

それにしても、4−4−2ですら森重をボランチで起用するというのは、橋本拳人以降、よほど守備的ボランチに困っていると見られる。
彼と同等か、または少し落ちても守備の強度を維持できるボランチは居ない。それこそ守田クラスになってしまう。
室屋・橋本の移籍は、1年近く経った今でもチーム戦術に影響を与えてしまっている。


●前半

右SBに先発起用された内田が、1分に負傷退場してしまう。
代わりに入ったのはCBが本職の蓮川。

8分、今節も先制点を献上してしまう。

右サイドでのオマリの対応が全てであろう。
CBの一角を担う者として、あまりにも軽い対応だった。

左SBの小川も軽率な対応で左サイドを空けてしまったが、それでもオマリのプレーには疑問符が付く。
ましてや渡辺剛のカバーリングを責めるのは酷だ。

ともあれ、FC東京はまたしてもリードを許す試合展開となった。


続く9分、FC東京がFKから好機を迎える。

ここ数試合の小川はセットプレーでのキック精度が高く、調子が良い様子が見られる。前節の鳥栖戦でも左CKから森重のゴールをアシストしている。
距離的に難しいFKとなったが、あわやというシーンだった。

しかし、これがハイライトに選ばれているほどFC東京の決定機は少なかった。


●ハーフタイム

川崎戦後のFC東京は、全体的に重心が低い。
ディフェンスラインを押し上げることができず、前からプレスをかけようとする永井らに連動してディフェンス・中盤の2ラインが大きく間延びしてしまう。
これは、森重がディフェンスラインにいないことでラインの統率が崩れているのか、またはアンカーの森重が最終ラインに近づきすぎてしまうことで起きている現象なのか分からないが、福岡戦後から顕著である。


●後半

51分、右サイドを崩される。

相手のビルドアップへプレスに行ったところ、押し上げが不十分になった結果、小川の裏へ抜け出したエウベルに突破を許した。
カウンターの格好となったため、中央ゴール前には渡辺剛とオナイウしか残っていなかったが、マークを外されフリーでクロスに合わせられた。

60分、今シーズンのFC東京は一度失点すると堪えられない。

自陣からのビルドアップ途中に、中盤の右サイドでボールを失う。
裏へ抜け出そうとしたオナイウを渡辺剛がケアして追った結果、最終ラインが下がり、そこに生じた左サイドのギャップに走り込んだエウベルにシュートを打たれる。そのこぼれ球に詰めたオナイウがゴールを決め、屈辱のハットトリック達成を許した。

ビルドアップで前に出ようとした矢先にボールを失ったことで、右SBの蓮川の裏を使われた形となった。
不慣れなポジションで対人での強度を維持して戦うことができていた。出場機会は限られているが、彼のファイターっぷりには関心する。
試合後には悔し涙を見せていた。
吉本一謙のように、不器用ながらもチームを鼓舞するCBに成長して欲しい。

その後は、FC東京の決定機はなく試合終了となった。


●試合後

4−3−3での真っ向勝負を避け、何よりも結果にこだわった試合。
そこでFC東京は完敗を喫した。

4連敗となった今、立ち返る場所は原点である。

この試合の4−4−2は駄目でも、森重を最終ラインに戻した形の4−4−2が残っている。
2019年シーズンでの戦い方を思い出して欲しい。

次節は5月9日のアウェイ鹿島戦。

互いの順位は9位と10位。
シーズン前には優勝候補に数えられた両チームの対戦となる。

鹿島はザーゴ監督を解任して上り調子。
方やFC東京は4連敗。

5連敗となれば、流石にフロントも考えざるを得なくなってしまう。

長谷川トーキョーの命運はいかに。



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