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FC東京を振り返る(2021年第17節vs広島)

前節の清水戦では要所要所で失点を重ね、反撃の糸口を見いだせないまま敗北を喫する結果に終わった。

5連敗後の3連勝が懸かっていた試合であり、選手たちの気合も十分に感じたもの、あまりにも失点のタイミングがもったいなかった印象だ。

また、どんな形であれ先制点を相手に取られると厳しい展開となるFC東京の戦術的な脆さを再び露呈した試合でもあった。

そんな中で迎えた第17節のホーム広島戦、5月30日、日曜日14時のキックオフ。
長い国際Aマッチデーに突入する最後の試合となり、各代表にされた小川と田川には大きな期待が寄せられた。



●試合前

この試合について、私は現地で観戦ができなかった。
非常に悔しい。なぜならこの日はテディベアdayだったからである。

5000人を上限とした試合でのテディベアday、それはつまり、当選確率の大幅な上昇を意味した。
例年1万人程度に先着入場特典として抽選券のキーホルダーを配布していたと記憶しているが、今回はどんなに多くても5000人である。

少なくとも『当選確率2倍』である。これはとんでもない。
マルイなどデパートでよくやってるクレジットカードの入会キャンペーンとは言葉の重みが全然違う。

あの愛くるしい大小の熊さんをお迎えできるチャンスだったのだ。
それを用事でむざむざと失ったことは大きい。全く把握できていなかった己のスケジュール管理能力を恨む。

これからはきちんとスケジュール帳を管理しようと、心に誓う。


●先発出場選手

前節、肩を痛めて負傷退場した内田に代わり、右サイドバックに中村拓海が入った。現有戦力では彼しか配置できない。覚醒が待たれる。

ボランチでは安部を起用。青木とのペアで先発となった。

そして前線では永井がスタートから出場。


●前半

前半はとにかく耐える時間帯が続いた。
浴びたシュートは二桁に届くほどであり、東京は自陣で守備に費やす時間が非常に長かった。

いつもの振り返りだと試合のハイライト映像を中心に記事を書いていくが、この試合に関してはほとんどそんなシーンがない。

1分の波多野のセーブシーンを皮切りに、広島の猛攻が続く。


39分には押し込まれた展開から、逆サイドに大きく振られ、自陣の深い位置のファーでヘディングシュートを打たれる。


●ハーフタイム

3バックを中心にビルドアップする広島はプレスをかわす術を持ち合わせており、さすがの城福浩が鍛え上げたチームだと言えた。

東京の好機は一本もなく、シュートもほぼ放っていなかったのではないだろうか。

それでも、数多のシュートを浴び、度重なるセットプレーにも集中を切らさず無失点で前半を終えたことは評価したい。

現在の東京の生命線は『先制点を奪取すること』であり、先に失点してはその時点で試合の趨勢が厳しくなる。
そのことをチーム全体が理解して行動できているようには見えた。

それが結果的にラインが下がって押し込まれる要因でもあるのだが、ここの表裏一体に関してはなんとも言えない。
とにかく無失点で過ごし、どこかの隙に高い位置でボールを奪取しショートカウンターを決めるしかない。


●後半

後半スタートのキックオフ直後、東京に好機が訪れた。
このハイライト映像の中でも、最初のチャンスである。

キックオフボールを受けた森重がフィードを送り、最終ラインとボランチとのギャップで高萩が受ける。
その落としに反応した永井がゴールに流し込むような巻いたシュートをファーの右隅を蹴り込んだ。
惜しくもゴールポストに弾かれたボールを見届けた後、永井は頭を抱える。私もスマホを片手に同様の仕草をした。


その直後にも、相手ゴールキックのセカンドボールを奪取してショートカウンターを発動させたがゴールは枠を捉えない。


後半の立ち上がりはいい形で攻撃を繰り出せたものの、次第にペースを広島に明け渡してしまう。
60分には波状攻撃を浴びた。


試合終盤には、東京の良い守備があった。

中村拓海が上手いリトリートを見せ、両センターバックとの連携で決定機を阻止した。最後のシュートは危なく見えもするが、打たせた格好だ。

試合は、広島による終盤の猛攻をしのぎきった東京が勝ち点1を拾った格好となった。


●試合後

「勝とうとしていない試合」は存在しないが、「いつか失点しそう。厳しいか」と思われた試合を守りきった価値は大きい。

特に『まずは守備』を信条とする東京のようなチームにおいては、無失点を継続することが大事だ。
ある意味攻撃は水物で、選手の調子に大きく左右される面があると理解している。

裏返せば、今回の対戦相手だった広島は26本ものシュートを放っても無得点に終わった。それと同時に無失点を達成したからこそ、勝ち点1を広島へ持って帰ることができる。

『失点しないこと』
それは常勝へ向けた第一歩で、チームがぶれないための基礎である。

※川崎はよくわかりません。スタイルの違いと言えばそれまでか。


我々東京サポにとって、『無失点に終わるが勝てない試合』は身に覚えがあるだろう。マッシモ・フィッカデンティ率いた東京がまさにそれであった。
その結果、味の素スタジアムには『NO DRAW, TO WIN』という巨大横断幕が作成されることとなり、それは今も掲示されている。

個人的にはマッシモの3年目を見たかったと今でも思う。
まずは守備の基礎を作る。それは安定した攻撃を組み立てる上でも間違いない。

長谷川健太監督は4年目を迎えるが、シーズン序盤にブレて基本がなくなりかけ、5連敗を喫したチームを立て直し、2連勝した後に0−3と大きく敗北した直後の試合において、今節のような無失点を果たせたことは大きい。

間違いなく東京には守備の基礎が身についている。
そこに攻撃を加えること、そのバランスを崩さず得点力を積み上げていくこと、非常に難題ではあるが、きっと長谷川トーキョーはそれを成してくれることだろう。それを信じて今シーズンも最後まで応援し続けよう。


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席
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