オープニング論
僕は現在、卒業制作でトーク系のバラエティ番組を制作している。8月に収録を行い、今は編集作業に入っている。ただ今、この10月終わりの時点で悩んでいることがある。それは番組をどうスタートさせるか、いわば「オープニング」をどうするか悩んでいる。
先日1回目のプレビューがあり、担当教授に映像を見せた。うちの担当教授は現役の放送作家で、今もNHKの特番を中心に活動している。30分番組なのだが、1回目のプレビューの段階で40分以内に収めていればOKということで、38分尺の状態で見せた。見せた後に言われたのは「オープニングが長すぎる」。確かに長いと言われるだろうなと思っていたが、その次に教授は「アバンから始めてタイトル流して1本目のVTR、その後にスタジオ、ゲストが入ってくるまで全部いらないと僕は思う」とも言われた。
とりあえず一旦、言われた意見を持ち帰ってみた。確かに「オープニングトーク」はいらないっちゃいらない。この番組がどういう番組なのか?スタジオキャストはどう言った面持ちでこの収録に来たのか?いらないっちゃいらない、でも僕はオープニングトークはやはり必要だと思った。
なぜなら最近のテレビ番組はVTR発車が多すぎるから。特に収録のパッケージで流れている番組はVTRがある場合、殆どVTRから入っている。なんならシームレスに1本目のVTRを流し切っちゃう番組もある。番組と番組の境目が曖昧で、気づいたら「あれ???番組が・・・・変わっている・・・!?」ということもしばしばある。テレビは配信と異なり大衆に向けて作るコンテンツなので「わかりやすさ」をどうしても求められるし、しっかり届けたい層にアプローチしたいのはわかる。TikTokが流行り、短尺コンテンツが流行っているからこそ、掴んだ客を離さない努力しているのはわかるが、最近は「わかりやすさ」を優先し過ぎだと思う。(あと僕のこの卒業制作の場合は「トーク番組」なので、そんなことないんだが)せっかくスタジオを収録しているのに、VTRでほぼ全て完結させて終わる番組がある。かつて放送されていた『いきなり黄金伝説』は「間違いなくオンエアに乗らないのに、ずっとトークを収録していた」となんかの番組で当時の出演者が言っていた記憶がある。いずれにせよ僕はそういうVTR発射でのアプローチから入ることは視聴者に対して不誠実だなと思う。
でも一方で、一般的な視聴者はそんなところ気にするのかな?とも思う。さっきも述べたようにTikTokが流行り「タイパ」が重視される時代。ここで言うタイバは「いかに短く面白く見せるか」。この流れに従っていくとやはりグダグダオープニングを流さないで、さっさと本題、なんならすっ飛ばして本題の方が良いのか?とも思うし、そういう意見はかなり分かる。でもやっぱり僕はそういうVTR発射バラエティは好きじゃないのが本音である。
VTRとスタジオが共存している番組は数多くある。その中でもパターンがあることに気づいた。
OP挨拶→スタジオ→VTR=例:『水曜日のダウンタウン』『ニノさん』『あざとくて何が悪いの?』『世界の果てまでイッテQ』
アバン→スタジオ→VTR=例:『櫻井・有吉THE夜会』『カズレーザーと学ぶ』『週刊ナイナイミュージック』
タイトルコール→アバン→VTR=例:『ウワサのお客さま』『有吉ゼミ』『いくらかわかる金?』
VTRスタート(スタジオ音声全開)=例:『千鳥の鬼レンチャン』『マツコ&有吉 かりそめ天国』『バナナマンのせっかくグルメ‼︎』
VTRスタート(スタジオ音声少し)=例:『世界くらべてみたら』『有吉木曜バラエティ』『突然ですが占ってもいいですか?』
この5パターンのうち、僕は1がやりたい。ただ担当教授は多分4か5を希望していると思う。でもやはり4か5は視聴者に対して「不誠実」なことは否めない。あと確かにアバンでナレーションベースでチャチャっと番組説明をすれば、VTR発射すればわかりやすいのかもしれないが、ある種それが出来るのって、レギュラー番組という前提条件があるから、というのも考えられるから適応しないんじゃないかとも思う。この話で担当教授とも、一緒にやっている人とも議論を重ねたが、なかなか答えは出なかった。
ただ現状、今日の時点で31分半の尺。30分にするにはこれ以上切れないとなるとやはり2分のオープニングトークは切るべきなのか僕は悩んでいる。
理想は『テラスハウス』。見たこと無い人はNetflixかFODにあるので見て貰えると助かる。スタジオ→VTR→タイトルの順で進んでいく。オープニングもエンディングも、タイトルを流す位置も、かなり理想型。しっかり始めてしっかり終わる。これがテレビの本来あるべき様式美であると思う。ちょっと前まで放送されていた『所JAPAN』は初回で所さんが「こんばんは〜!!」と挨拶して始めていて感動した。そういう番組、今のGP帯でなかなか無いので。
あとロケ番組だからこれは本題からは除外したが、『新しいカギ』のタイトルとアバンを流す位置がすごく理想的(2時間SPだったら開始15分程度で流れる)。ああいうのも真似したい。てかこれ全部副論文に書ける気がしたので内容を整理して改めて書こうかな。
一度きりの卒業制作。これ終わり就職したらこんな自由に構成や演出を考えることはないので、じっくり編集しながら決めたいですね。言うてもうそんな時間ないですが・・・
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