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「#世界はジャズを求めてる」2021.11月4週(11/25)『映画"West Side Story"とラテンジャズ』eLPop伊藤嘉章・岡本郁生 #鎌倉F

『世界はジャズを求めてる』第4週は「ラテンとジャズの危険な関係」。eLPopの伊藤嘉章(mofongo)と岡本郁生(el Caminante)がお送りします。ジャズ評論家の油井正一さん「ジャズはカリブ音楽の一種」と喝破されたように成り立ちから一つのラテンとジャズは、垣根を意識することなくお互いに溶け合ってきています。そんな関係のカッコいい曲をお届できればと。番組をお聴きになってラテンに興味がでた方、ラテンがお好きな方はラテン音楽Web マガジン「エル・ポップ(eLPop)」など覗いて頂けたら幸いです。(URL=http://elpop.jp

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まず新譜のご紹介。ウルグアイのナイール・ミラブラットのアルバム『フントス・アオラ』から

1. Cando 2 /Nair Mirabrat (2021) from “Juntos Ahora”

ウルグアイ出身のギタリスト、マルティン・イバラのグループ、ナイール・ミラブラット。かなりジャズ色の強いアルバム。カンドンベは当然取り上げるが新しい感覚。ブラジルのアントニオ・ロウレイロをプロデューサーに迎え、ジョアナ・ケイロス。アルゼンチンのラミーロ・フローレス、ペロタ・チンゴーが参加。ウルグアイのウーゴ・ファットルーソとギタリストのニコラス・イバルブルも加わっている。

プロデュース:アントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureio)
全作詞・作曲:マルティン・イバラ(Martín Ibarra)
全アレンジ:アントニオ・ロウレイロ&マルティン・イバラ
ゲスト:ウーゴ・ファトルーソ(Hugo Fattoruso - from Uruguay|鍵盤)/ ニコラス・イバルブル(Nicolas Ibarburu - from Uruguay|ギター)/ ラミーロ・フローレス(Ramiro Flores - from Argentin|アルトサックス)/ ペロタ・チンゴー(Perotá Chingó - from Argentin|ヴォーカル)/ ジョアナ・ケイロス(Joana Queiroz - from Brasil|クラリネット)

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 さて、8月はIn the Heights, 9月はSummer of Soul、10月はJazz Loftと映画がらみの特集でしたが、来年2月封切りのミュージカル、スティーヴン・スピルバーグの「Westside Story」。映画関連の曲とその時代のジャズとラテンの危険な関係を。

まずオリジナルの『ウエストサイド物語』から。

本作品はアーサー・ローレンツ脚本、レナード・バーンスタイン音楽、スティーヴン・ソンドハイム歌詞のブロードウェイ・ミュージカル。原案ジェローム・ロビンズ。1957年初演。第34回アカデミー賞にて作品賞の作品です。キャストはナタリー・ウッド(マリア役)、リチャード・ベイマー(トニー)、ラス・タンブリン(リフ)、リタ・モレノ(アニタ)、ジョージ・チャキリス(ベルナルド)。ポーランド系とプエルトリコ系の若者の話なのに、プエルトリカンはリタ・モレノくらい。

2. America (Original Sound track)(1961)

1930-50年代はプエルトリカンのNY移民急増の時代。映画の若者はその第二世代。同時に50年代に移民した新たな第一世代も加え、Mamboブーム/Afro Cubanブームのベースにも。この時代の若者はマンボを踊るのがかっこよかった!

 3. Mambo  (Original Sound track)(1961)

4. El Cayuco / Tito Puente  (1958) from Dance Mania

マンボで最大のヒットアルバムはティト・プエンテの『ダンス・マニア』
レイバレットのコンガ、レイ・ロドリゲズのボンゴ、ボビー・ロドリゲスのベース、そして親方ティト・プエンテのティンバレスと強力なリズム隊の布陣。

Tito Puente (timb, vib), Bernie Glow(tp), Jimmy Frisaura(tp), Frank Lo Pinto(tp), George López(tp), Gene Repetti(tp), Larry Moser(tp), León Merian(tp), Rafael Palau(sax), Jerry Sanfino(sax), Schapp Pullman(sax), Tony Buonpastore(sax), Raymond Concepción (p), Bobby Rodríguez (b), Ray Barretto (congas), Ray Rodríguez (bongos), Julito Collazo (congas, tracks 4 and 11), Santitos Colón (vo), Vitin Avilés(coro), Otto Olivar(coro)


一方ブロードウエーのウエストサイド物語のスコアに飽き足らないスタン・ケントンは1961年に『Kenton's Westside Story』を発表しグラミーを受賞。ケントンはアフロ・キューバンに傾倒し1956年に名盤『Cuban Fire』を発表。『Kenton's Westside Story』にはこの作品のアレンジの成果が随所にみられます。

5. Something's Coming / Stan Kenton Orch. (1961) from Kenton's Westside Story

Stan Kenton (p), Gabe Baltazar (as), Sam Donahue (ts), Paul Renzi (ts), Marvin Holladay (bs), Wayne Dunstan (bs, bass-sax), Ernie Bernhardt (tp), Bud Brisbois (tp), Conte Candoli (tp), Larry McGuire (tp), Bob Rolfe (tp), Sanford Skinner (tp), Dalton Smith (tp), Joe Burnett (mellophonium), Dwight Carver, (mellophonium),  Gordon Davison, (mellophonium), Keith LaMotte, (mellophonium), Gene Roland (mellophonium), Bob Fitzpatrick(tb), Paul Heydorff(tb), Jack Spurlock (tb), Jim Amlotte (b-tb), Dave Wheeler (b-tb), Clive Acker (tuba), Pete Chivily (b),Jerry Lestock McKenzie (ds), Larry Bunker or Lou Singer (tympani),Mike Pacheco (bongos), George Acevedo(congas)

6. El Congo Valiente / Stan Kento Orch (1956) from "Cuban Fire"

Stan Kenton (p), Lennie Niehaus (as), Bill Perkins(ts), Lucky Thompson(ts), Bill Root(bs), Al Mattaliano(tp), Ed Leddy(tp), Lee Katzman(tp),  Phil Gilbert(tp),  Sam Noto(tp),  Vinnie Tanno(tp), Irving Rosenthal(frh), Julius Watkins(fhr), Bob Fitzpatrick(tb), Carl Fontana(tb), Don Kelly(tb), Kent Larson(tb), Jim McAllister(tuba), Ralph Blaze(g), Curtis Counce(b), Mel Lewis(ds), George Gaber(timpani), Saul Gubin(timpani),Mario Alvarez(maracas),Willie Rodriguez(bongos),Roger Mozian(claves),George Laguna(timb), Tommy Lopez(congas)


さて今回のスピルバーグの映画はオリジナルのスコアを基にしながら新しいアレンジが施されています。

映画はスティーヴン・スピルバーグが監督、トニー・クシュナーが脚本。トニー:アンセル・エルゴート、マリア:レイチェル・ゼグラー、アニタ:アリアナ・デボーズ、ベルナルド:デヴィッド・アルヴァレス、チノ:ジョシュ・アンドレス、ヴァレンティナ(ドクに相当するキャラクター==ドラッグストアの店長でトニーの雇い主。ろくな親がいないジェッツの少年たちにとってただ一人の理解者であり、彼らに非行を止めスポーツなどをするよう勧めるが、ドックの若かった頃とは違うと少年たちには聞き入れられない。「ロミオとジュリエット」のローレンス修道士にあたる部分がある。リフの死後、少年達の更生のため奮闘するリタ・モレノ

7. Tonight /(Steven Spielbergの)West Side Story (2021)

マリア役のレイチェル・ゼグラーはアメリカのニュージャージー出身。母親がコロンビア系です。

さて、このトゥナイトですが、オスカー・ピーターソンも『ウエストサイド物語』というアルバムを出しているので聞いてみましょう。

8. Tonight / Oscar Peterson Trio (1962) from "West Side Story"


Oscar Peterson (p), Ray Brown(b), Ed Thigpen(ds)

なにやら元気なTonightでした。元気と言えば映画でも元気でしたが、実生活でも元気に活躍を続けるリタ・モレノ。スピルバーグ版にも出演。彼女Albumから一曲スペイン語の曲を。

9. Un Lugar (Somewhere) / Rita Moreno (2015)  from Una Vez Mas


さて、最後は新譜の2曲のご紹介です。

10. Intruso / Arturo O'Farrill (2021)  from "Dreaming in Lions"

ニューヨークのアフロキューバンを受け継ぐアルトゥーロ・オファリルの新譜から。
Zack O’Farrill(ds) Vince Cherico(perc), Carlos “Carly” Maldonado (perc) Victor Pablo Garcia Gaetan(congas, perc),José “Bam Bam” Rodriguez Platiau(b), Rafi Malkiel(tb, euph), Alejandro Aviles(sax, fl), Travis Reuter(g).

そして来日するウルグアイのルベン・ラダ。今日は1996の作品から、サンタナに捧げた「Santanita」を

11: Santanita / Ruben Rada(1996)  from Montevideo

Bass – Bakithi Kumalo (tracks: 1,4,5,8,12), Hiram Bullock (tracks,4,8), Harmonica – William Galison (tracks: 8) Keyboards – Hugo Fattoruso (tracks: 1,4,5,6,8,10,11) Percussion – Ruben Rada (tracks: 1,2,4,5,8,9,11,12,13) Producer – Hugo Fattoruso, Neil Weiss, Ruben Rada Trumpet – Alexander Sipiagin* (tracks: 1,5,11) Vocals – Hugo Fattoruso (tracks: 1,3,11), Ruben Rada (tracks: 1-7,9-14)

 

11月は以上です。気に入った方はぜひ「スキ」をお願いします!

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「世界はジャズを求めてる」は鎌倉FMで毎週木曜午後8時から1時間(再放送は毎週日曜昼の12時から)、週替りのパーソナリティが、さまざまなジャズとその周辺の音楽をご紹介するプログラムです。
進行役は、第1週が村井康司、第2週が池上信次、第3週が柳樂光隆、第4週がeLPop(伊藤嘉章・岡本郁生)、そして第5週がある月はスペシャル・プログラムです。
鎌倉FMの周波数は82.8MHz。
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