電車の中で赤ちゃんをあやす若いお母さんは弱く、美しい
電車が好きです。
正確には、電車の中にいる人を見ることが好きです。
本当にいろんな人がいて、お互いに顔も何もかも知らない一人一人が、違う世界観で居合わせている事実がとても好きなんです。
この間は、ベビーカーの中で泣く赤ちゃんを必死にあやすお母さんを見ました。
周りにいる人に「すいません、すいません」と謝る姿が印象的でした。
弱いと思いました。
赤ちゃんが声を出して泣くので、心の中で焦っているのが、嫌になるくらい伝わりました。
赤ちゃんのために必死になってあやすお母さんが、弱く、脆く、儚かったです。
それでも誰も助けようとしない。
僕もです。
横目に見て、「焦らなくて大丈夫ですよ」と心の中で言うのが精一杯。
その中で、一人でなんとかしようとしているのが、正直見ていて辛かったけど、それでもその親子が駅を降りるまで目を背けることはできなかったし、逆に見惚れてしまっていたのかもしれない。
弱い心の中に美しさを感じたからです。
側から見ればただのよくあることでしかないけど、お母さんにとっては覚悟の上で電車に乗っているんだと思うけど。
親子愛?
いや違う。
なんだかわからない美しさがありました。
たぶん今の僕が共感できない、でも寄り添って一緒に考えてあげたい何かです。
赤ちゃんが成長していったときに、赤ちゃんはこの状況を思い出すことはないんだろうな。
そう思うと、僕がここで気にしていることは不毛でしかないけど、この美しさの感覚は忘れたくない。
幸せに生きていく親子を想って、
だから僕は電車が好きです。
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