地球温暖化に対策を! by 小野友久 / 北九州工業高等専門学校(福岡) #気候変動に対策を

現在、地球温暖化が急速に進行している。1950年代以降に観測された変化の多くは、数十年から数千年間にわたり前例がない。 これからの地球で生きていく若者である私たちにとって、この気候変動は解決すべき大きな課題である。その課題に対して工業高等専門学校生の視点でレポートする。

目次

1.SDGsとは?
2.地球温暖化の原因は?
3.地球温暖化による影響は?
4.地球温暖化はSDGsとどのように関わっているの?
5.地球温暖化に対策を!
6.未来のエンジニアとして私にできること!

1.SDGsとは?

2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。 SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいる。

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(出典:外務省ホームページ)

尚、地球温暖化問題を解決することは、主にSDGsの「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と「13 気候変動に具体的な対策を」にあたる。

2.地球温暖化の原因は? 

 18世紀半ばの産業革命の開始以降、人間活動による化石燃料の使用や森林の減少などにより、大気中の温室効果ガスの濃度は急激に増加した。この急激に増加した温室効果ガスにより、大気の温室効果が強まったことが、地球温暖化の原因と考えられている。


(出典:気象庁ホームページ、南房総市ホームページ)


3.地球温暖化による影響は? 

地球温暖化による人間に大きく関係する影響は図のようになる。多方面に渡る影響は複雑に絡み合い、人間に様々な悪影響があることがわかる。

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(出典:国立環境研究所 地球環境研究センター)

一方で、人間以外の生物やその環境に対する影響に着目して考えると、一つの疑問が生まれる。地球温暖化は、地球上のすべての生物に対して悪影響を及ぼすのだろうか。ホッキョクグマとアデリーペンギンの例を元に考える。

地球温暖化はホッキョクグマに悪影響を及ぼしている。北極圏で急速に進む温暖化の影響で北極の海氷が激減して、ホッキョクグマが絶滅の危機に追いやられている。2100年までにほぼ絶滅するとの研究結果が2020年07月20日、科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジに掲載された。

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(出典:時事ドットコムニュース)

しかし、南極に生息するアデリーペンギンには好影響を及ぼすという研究結果もある。ここ40年で南極の海氷はゆっくり増えているが、将来急速に減ると予想されている。この影響で、ペンギンは歩かず泳ぐようになり、行動の範囲が大きくなる。そして、海に日光が当たることによりプランクトンが繁殖し、ペンギンの餌であるオキアミの質が上がる。その結果、ペンギンがよく太るようになる。また、雛がよく育つようになると予想されている。

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↓行動の範囲の拡大(2016/17は海氷が減った場合、それ以外は海氷あり)

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↓海中のプランクトンの様子の比較

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↓ペンギンの餌の比較

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(出典:「ペンギンの行動と南極の氷の変化」/国立極地研究所 渡辺佑基)

このように、地球温暖化はすべての生物に対して悪影響を及ぼす訳ではない。好影響を受ける生物も存在する。しかし、その影響も一時的なものかもしれない。つまり、地球温暖化による影響は単純に「良い」、「悪い」では言い表せない。地球の生物にスポットを当てるとそれぞれにさまざまな影響がある。さらに、生物の相互関係により、影響はより複雑に、多方面にはたらく。いままで人間は、自分たちのことばかりを考えていた。だが、これから社会は地球単位で様々な影響を考慮して、地球温暖化と向き合う必要があると考える。

4. 地球温暖化はSDGsとどのように関わっているの?

「1.SDGsとは?」でも記したが、地球温暖化を解決することは、SDGsの「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と「13 気候変動に具体的な対策を」にあたる。
では、地球温暖化はSDGsの7と13以外の目標にどのように関係しているのだろうか?地球温暖化の悪影響を受ける人々に着目して考える。

地球温暖化の悪影響を最も受けやすいのは立場が弱い人・貧困者と将来世代・若者である。

例えば、地球温暖化による健康への影響に対しては、「高齢者」や「社会的に孤立した人」の立場が弱い。洪水被害に対しては、ネパールでは死亡割合が大人よりも子どもの方が高いため、「子ども」の立場が弱い。干ばつにより作物に損失が生じて生活に影響が発生した場合、インドでは男性よりも「女性」、特に「カーストが低い女性」がより立場が弱い。これは、作物の損失を補填するためにこれらの人々が賃金労働者として働くことが多いためだ。

このように、性別、階級、民族、年齢、人種、障害の有無によって多角的な脆弱性が生じてしまうことがわかる。それらの関係を下の図が示している。

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(出典:「課題のありか」/環境省地球環境局 多田悠人)


この課題は、SDGsの「1 貧困をなくそう」と「5 ジェンダー平等を実現しよう」と関係している。地球温暖化や貧困やジェンダーの問題は、どれかを解決すればよいのではなく、すべてを解決するべきだ。SDGsの特徴である「誰一人取り残さない」ことの通り、多くのターゲットに対してすべての目標に達成することの必要性がわかる。

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5. 地球温暖化に対策を!

地球温暖化対策について、燃料のバイオ化が挙げられる。バイオ燃料について記す。
バイオ燃料とは、CO2を吸収して成長する植物から作られる燃料のことである。「植物の成長過程で吸収されるCO2=燃料で発生するCO2」となるため、バイオ燃料の使用によるCO2排出量はゼロとカウントされる。これを「カーボンニュートラル」と言う。
これからの社会において、CO2排出量を現在の水準に維持するためには、燃料のバイオ化が必須であることがわかっている。さらに、バイオ燃料の市場は拡大すると予想されている。そのため、現在バイオ燃料を使った商業フライトは世界中で行われている。なんと海外では21か国で20万回以上の航行の実績がある。しかし、日本では1度も商業フライトにバイオ燃料を使ったことがない

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そんな中、バイオ燃料の可能性に挑戦している「株式会社ユーグレナ」という企業がある。2015年に「国産バイオ燃料計画」の開始を発表、2018年に「GREEN OIL JAPAN」を宣言した。「GREEN OIL JAPAN」には、多数の企業が参加している。また、株式会社ユーグレナは現在、バスやトラック、船を次世代バイオディーゼル燃料で動かしている。

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(出典:「日本をバイオ燃料先進国に」/ユーグレナ 木村健)

日本をバイオ燃料先進国にすることは、他の国にも影響を与えて、より一層世界の燃料のバイオ化に貢献し、地球温暖化の対策につながるだろう。今の私たちにできることは、地球温暖化の対策に取り組む企業を精一杯応援することだと考える。


6.未来のエンジニアとして私にできること!

スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんは、主に地球温暖化によってもたらされるリスクを訴えている。彼女は、"We need a system change, rather than individual change." "But you cannot have one without the other" (個人の変化よりシステム変化が必要だ。しかし、一方がなければもう一方も実現できない。) と語った。社会の仕組みと人々の常識が変わるためには、個人の変化と、社会の「大転換」が両方起こる必要があるということだ。個人の変化と社会の大転換とはどのようなものだろうか。

↓グレタ・トゥーンベリさん

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個人の変化は、以下のことを行うようにする変化が挙げられる。いずれも小さな心掛けの変化である。
・公共交通機関を利用する
・ヒートポンプや家庭用コージェネレーションを入れる
・使っていないコンセントを抜く
・買い替え時は省エネ製品を選ぶ
・冷暖房は冷やしすぎ、暖めすぎ、つけっ放しをさける
・電力会社を再生可能エネルギー重視の会社に切り替える
・太陽光発電の導入を検討する

一方で、社会の大転換というと、政治の指針の変化などが挙げられる。しかし、それだけではない。その他に技術的革新も考えられる。例えば白色LEDについて、蛍光灯よりも明るい、長寿命で安い、省エネである、といったメリットがある。これにより、蛍光灯、白熱灯と代替が可能となり、その用途・分野に劇的な変化が起こった。一つは、携帯端末やTVに使用される液晶パネルへの応用だ。大型液晶TV1台に500個~1000個のLEDが使用されるようになった。LED市場は液晶TVの市場とともに急拡大し、LED製造装置産業は発展した。そして、そして大幅なコストダウンも可能となった。

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(出典:「課題のありか」/環境省地球環境局 多田悠人)

このように、工業分野の発展は経済社会や環境のシステムに大きな変化(社会の大転換)をもたらすことが可能である。私は、工業高等専門学校の学生で、これから機械について学ぶ予定だ。気候変動とエネルギー問題に対して未来のエンジニアの自分にできることを考えると、それはやはり、社会を大転換させるプロダクトを開発することだと思う。

そこで、先に書いたことを踏まえると、新たなプロダクトを創造する上で重要なことが考えられる。以下の3つだ。

・「誰一人取り残さない」こと
・人間以外の生物や環境への影響を地球単位で考えること
・SDGsのすべてに好ましい働きをするプロダクトであること

 
将来私がプロダクトを発明してSDGsの達成に貢献するためにも、今は、高専で高い技術力とエンジニアとしての倫理観を身に付けようと思う。


北九州工業高等専門学校(福岡) 小野友久
#せかい部 ×SDGs探究PJ 高校生レポーター(気候変動に対策を)


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