住み続けられるまちづくりとは? by  高橋柊里 / 花巻北高等学校(岩手)#住み続けられるまちづくり

目次
●住み続けられるまちづくりのために(前内閣官房 鈴木宏和さん&片岡修平さん)
●世界の農業遺産(徳島大学准教授 内藤直樹さん)
●ポートランドのまちづくり(ポートランド州立大学教授 西芝雅美さん)
●白馬で挑むリゾート地改革(株式会社岩岳リゾート 代表取締役社長 和田寛さん)
●考察

●住み続けられるまちづくりのために
 このプログラムは、日本が抱える人口減少問題、都市部と地方の格差を、世界の地方創生例についてご説明頂いた。人口減少問題については出生数、出生率が全国的に低い水準であったが、著しく東京が低いことがわかった。東京は国の中枢機関が集中しているため、労働する場としての印象が強く、多忙な上に子育てをする時間や場所を確保できないことが原因の一つだと感じた。
 地方創生の鍵となるのは、地域住民をどれだけ巻き込むことができるのかである。その土地を知らない外部者がそこに住む人々に役立つ事業を遂げることができているかは住民にしか実感できないものである。従って、地方のデジタル化を取って見ても、行政だけでなく住民も対象で、世代格差のない政策を実行していく必要がある。
 住み続けられるまちとは、住みよいまちとも言い換えられる。外部者と知識住民の二人三脚で論議しながら地方創生に取り組み、子育て支援や様々な場面のデジタル化などがよりよい政策になるように積極的な参加をしていくべきであると感じた。
 海外のまちづくりの成功例として、ヨーロッパの事例が挙げられた。
一つ目は「世界マーマレード大会」である。
イギリスはマーマレードの発祥地ではないのだが、意外な着眼点よる成功例であった。
二つ目は、英王室領ジャージー島である。
人口10万人、富裕層の高齢者が多く在住しており、医療や一人暮らしへのサポートなどの負担が大きい。そこで、郵便配達員がiPadを利用して、毎日、健康調査を行っている。こうすることで、医療従事者の負担軽減につながっている。
特に印象深かったのが、iPadを利用して、健康調査を行うことである。岩手県も少子高齢化が著しく、一人暮らしの高齢者が多いので、定期的に訪問する郵便配達員に簡単な健康調査をしてもらうことは過疎化地域のデジタル化に拍車をかける良い機会になると思った。

●世界の農業遺産
 農業遺産は、世界で22か国、62地域、日本で11地域が認定されている。(令和2年6月現在)農業遺産という形のない、変化しつづける遺産は天候や災害の影響を受けやすい、繊細かつ美しいものだった。発展途上国の都市化がスラム化と密接な関わりを持っていることに驚いた。生存するために必要なサービスが受けられないためにスラムが悪化し、職業選択の自由度が低下するなど負の循環になっている。この問題はどこから手をつけていけばよいのだろうか。
 「family farming」は一見、小規模で生産性が低いと考えてしまうが、世界の約8割が生産率を占めその労働人口の役4割が環境保全に有効的であることを学んだ。可能であるならば、私の地域でも地域地消との結びつきを計り、若者の農業人口の増加に応用したいと思った。
 途上国のスラム化は、先進国の援助があれば公衆衛生上の
問題はクリアできるかもしれないが、誰一人残さないためには
自国のノウハウが生かせる場合といかせない場合があることを
覚えておきたい。


 農業遺産は過去の「美」を追求するのではなく、今、情景と
して可視化できる状態のものであり、人類の食料保障・環境
保全の地軸になり得ると感じた。また、生産者と消費者を結ぶ
市場の在り方の見極めも大切になる。

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●ポートランドのまちづくり
 まちづくりを考える際に大事な点は、どのような過程を踏み、どのような結果を求めるかである。また、第1回目のプログラム同様、住民参加と誰もが対策に扱われるという点も大切な要素に含まれている。実際に、オレゴン州では高速道路建設に住民の意見が大きく反映された。
 住民参加が活発な理由として、幼少期からの積極的な発言をする教育があるからではないだろうか。日本には他人指向型や協調を求める傾向にあるがゆえに、意見を発することに嫌悪感を抱く人が多い。しかし、永続的に住みやすいまちにするためには、自発的な意見交換が重要になる。だから、私たちが侃々諤々に言い合えるような機会を設け、自分の意見を共有し、物事の良い方向へ進む一歩になることを理解してもらえる努力が大切だと思った。このプログラムでは、人種の問題についても触れられていたが、ジェンダーに対する意識の高さも伺えた。

●白馬で挑むリゾート地改革
 以前の白馬は冬季の観光に依存し、その収入で成り立っていたが、徐々にスキーの観光客が減少していった。起死回生の如く、世界水準のリゾートへと変化していった。白馬村の課題は、ウィンタースポーツの低迷による観光客の減少、若者の人口減少やシーズナリティなどであった。岩手県に置き換えて考えても、同じような状況と言っても過言ではない。特に、シーズナリティの影響が大きく、最大で200倍以上の差になることが分かった。
 「リゾート」というのは「非日常」を味わうことを目的とし、スノーリゾ―トでは長期間滞在の観光客が見込める。したがって、白馬村のリゾート開発は街の魅力の向上に繋がり、冬季以外の観光客の誘致にも大きな影響を与えることができる。また、人口減少に伴って増加する廃業した宿のリノベーションによっても、街の雰囲気の底上げと費用面の負担軽減といったさまざまなメリットが生まれていた。
 一部の季節だけの観光で街を活性化しようと努力するよりも、日本の特徴である「四季」を活かした観光資源の作成をする方が地域その地域の多方面での欠陥が少なく済むのではないだろうか。また、他地域の街づくりの成功例が自分の地域に沿うものではないので、地域住民の意見も交えながらより良い地域活性を進めて行くことが一番大切な要素だと感じた。

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●考察
 本プロジェクトに参加できたことに感謝申し上げる。SDGsの探究活動をするにあたって、深部まで知ることができ、世界と日本のさまざまな課題と現状を目の当たりにした。しかし、本プロジェクトを期に、私が地域の為に何ができ、何が本当の住みよい街なのかと考えることが多くなった。また、そのほかの16の目標とのつながりとの目標が全地球にいるものを取り残さないための目標だということを再認識した。
 私は農業から地域活性を後押ししたいと思っていたが、実際には地域の農業について探究してこなかった。まさに、今回の講義でもあった、地元を知らない外部者が創生に取り組んでも、意味がないことをいまさらながらにひしひしと感じている。だから、ただプログラムを受講して完結させてしまうのではなく、高校生なりの努力と創造で2030年のビジョンを考え、そこに向かって今回学んだ事を応用し、地元に恩返ししていきたい。

花巻北高等学校(岩手) 高橋柊里 
せかい部×SDGs探究PJ高校生レポーター(住み続けられるまちづくり)



#せかい部 ×SDGs #住み続けられるまちづくり

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