世界におけるジェンダーに対するとらえ方の違いby倉山明/東洋英和女学院高等部(東京)#ジェンダー平等を実現しよう

はじめに

私は今回、「ジェンダー平等を実現する」というテーマを探究した。ジェンダー問題は、日本で多くの問題を引き起こしているという。世界におけるジェンダーに対する捉え方や政策を学ぶことで、日本が今後どうするべきなのかを考えた。

「ジェンダー」について

まず、ジェンダーとは、生物学的な性別に対して社会的・文化的に作られる性別のことを指し、世の中の男性と女性の役割の違いによって生まれる性別のことだ。この「ジェンダー」が平等であるかをジェンダーギャップ指数というものを用いて測る。ジェンダーギャップ指数とは各国における男女格差を測る指数で、経済、政治、教育、健康の4つの分野のデータから作成され、0が完全不平等、1が完全平等を示している。
表①から分かる通り、国ごとに状況が全く異なり1位のアイスランドやノルウェーが1の完全平等に近いのに対し、日本はスコアが0.6、順位が121位ととても低いことがわかる。この成績はG7(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7つの主要な先進国の総称)の中でも最低なものである。

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表① 上位国及び主な国の順位

SDGsについて

2015年9月の国連サミットでSDGsというものが採択された。SDGsとは持続可能な開発目標の略称で国連加盟国193カ国が2016年から2030年の15年間で達成することを目標としたものである。この中に「ジェンダー平等」というものが含まれているのだが、他の目標は2030年という期限が設定されているのに対し、「ジェンダー平等」は期限が明確に示されていない。つまり、期限がないということはどの問題よりも早急に解決しなければいけない問題なのだ。

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日本における問題点

日本がジェンダーギャップ指数において121位と低い結果になってしまった原因として、日本の社会のあり方が原因ではないかと考える。小学校など、小さい頃に教育を受ける現場でさえ気づきにくいところに男女差別につながる物事が潜んでいる。例として、チョークが挙げられる。私は小学生の頃、女の子は赤色のチョークで、男の子は青色のチョークで名前を書くよう強制させられた事がある。また、ランドセルでも同じことがいえる。校則にはないが女の子は赤色やピンク色、男の子は黒色や青色などある程度決まっていた。本来は男女格差がなく、平等でなくてはならない場にこのような習慣があるのは問題であると思う。
また、政治面を見てみてもジェンダー平等とは程遠い状態である。女性に関する国連の機関「UN Women」とIPU(列国議会同盟)が2020年3月に発表したデータによると、2020年1月時点で、日本の閣僚ポストで女性が占める割合はわずか15.8%、世界順位は113位であった。同年9月に菅内閣が発足したものの、男女格差は変わらず、女性は上川陽子氏(法務)と橋本聖子氏(五輪)のたったの2人であった。

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政治における影響

男女平等でない場合には、多くの問題が生まれる。それは主に女性側に対しての被害であり、女性差別として表れている。政治面から考えると、まず一番に挙げられるのは、産休や育休問題である。子供を産んだ後に今まで通り働けないリスクがあるという事が原因で、仕事復帰をしづらくなったり休みを取りづらくなったりするという。このような問題から女性は第二児を授かりたいとは思わなくなり、やがて少子高齢化など大きな問題にもつながるという。
また災害の時にも思いがけない問題が数多く起こる。2011年に起こった東日本大震災では、おむつの不足や女性が着替える場所がないなどの問題が多くの避難所で起こった。このような問題はやはり女性でないとなかなか共感を得られない問題である。日本は非常に地震が多い国の為、早急にも政治に女性が関わるようにならない限りまた同じような状況が生まれてしまうのではないかと思う。先ほど述べた産休、育休問題においても女性が中心となった「働き方改革」を行ってほしいと考える。

日常生活における影響

男女不平等であることから、政治上だけでなく日常生活にも問題が生まれる。まず一つ目は、家事である。ゼネラルリサーチ株式会社が実施した「家事」に関するアンケートによると、「家事は女性がやるもの」といった考え方が男女共通して一定数あったという。確かに一昔前は「男性は外、女性は内で働く」という考えが主流であったためこのような結果が出るのは仕方ない気もする。しかし私は、それはあくまで一昔前の常識であり今では時代に合っていない考え方なのではないかと思う。このような認識が原因で女性は仕事と家事の両立が困難になってしまい思うように働けなくなってしまう。今後男女平等な社会に変えていくためにもこのような認識を撤廃していかなくてはならない。

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ゼネラルリサーチによるアンケート結果:男女の家事分担の割合


進んでいる国 ニュージーランド

日本がジェンダー不平等であるのに対し、ニュージーランドはジェンダー平等が進んでいる。ニュージーランドは世界的にも「女性が最も活躍できる国」と称賛されており、今年十月に行われた総選挙では当選者の半数近くが女性であったという。それだけでなく、現首相がアーダン首相という女性の方で、この方は、現職の首相として初めて六週間の産休を取得した。私は現首相が女性という事にも驚いたのだが、「初めて」という事に一番驚いた。政治を行う場所がどれだけ女性にとって働きづらい場所なのかという事を思い知ったと同時に、アーダン首相のような行動力のある女性がトップとして国を引っ張ってくれたおかげでこれから世界の政治に多くの変化が生まれてくるのではないかと思う。 

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アーダン首相

彼女がリーダーとなったニュージーランドの議会ではあることが多くの人の関心を集めた。それは、ある与党議員が赤ちゃんを連れて登院したところ審議中に議長が議会席で代わりに赤ちゃんを抱き、哺乳瓶でミルクを与えながら議事を進めたというニュースである。日本でも2017年に熊本で同じようなことがあったのだが、その時は周りの議員から「邪魔になる」と批判され同伴を断念せざる負えなくなったという。同じことでも国が違うだけでなぜこのように対応が全く違うものとなってしまうのだろうか。このような状況を見てみると、やはり女性がトップになることで変わってくることも数多くあるのではないかと思う。
日常面で比べてみても日本とニュージーランドには多くの違いがあることがわかる。子供に「将来どんな仕事に就きたいか」という問いをしてみたところ、日本の子供たち、特に女の子はパティシエやお花屋さんなどと答えたそうだ。一方のニュージーランドでは弁護士や警察官などの答えが返ってきたという。これらはどれも日本人の女の子はあまり答えないような回答である。このようなことからも、いかにニュージーランドが子供たちにジェンダー平等な教育をしているかがよくわかる。

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議長が赤ちゃんにミルクを与えている場面


まとめ
日本におけるジェンダー平等に対する捉え方は、世界と比べてみるととても遅れていることが改めてわかった。このような意識の違いにより、政治面や震災時に多くの問題が生まれるだけでなく、少子高齢化など一見関係がなさそうな大きな問題も引き起こす危険がある。このような問題の解決策として、ジェンダー平等の国として有名なニュージーランドやフランスなどを手本に政治に多くの女性が関わる必要があると私は考える。また、学校などでもジェンダー平等を意識した教育などを実施していかなくてはいけないと思う。


東洋英和女学院高等部(東京) 倉山明 
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(ジェンダー平等を実現しよう)

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