タイ•チェンマイ支援 ~カレン族とゾウとの共生編~
内戦により自分たちの住み家を追われ、タイ・チェンマイのジャングル奥地でゾウと共に暮らすカレン族。ゾウを愛し、自然な環境でゾウを生活させたいと願う彼らの姿とは…
【カレン族】
東南アジアや中国の山岳地域に少数山岳民族として暮らす種族のひとつであるカレン族。ミャンマーの内戦から逃れるために、亡命する者、国境付近の難民キャンプに収容される者、さらに奥深い山へと移り住む者と民族が分断していった。本来のカレン族の姿とは自然と共生する農法を行い、山を守り定住的な生活をし、ゾウを使う森の民だ。女性は首に金色の真鍮リングを纏い「首長族」とも呼ばれている。
タイの山奥へと移り住んだ者たちは、多数の小さなキャンプと呼ばれる集落を築き生活している。そこでの暮らしは、ゾウを使った観光業が大きな収入源となっている。ゾウの背中に大きな木の椅子を括り付け観光客を乗せたトレッキングをしたり、エレファントショーとしてゾウに絵を描かせたり、ダーツを放ったりと自然なゾウの姿ではない。体が大きく強そうなゾウだが、力強い筋肉質の長い鼻と比べ背中の骨は弱い。木の椅子の重さに背骨が曲がったゾウの姿、足の負担はゾウを苦しめ続けている。
【僕が生活した集落】
環境保全活動や山岳民族の実態を知りたく訪れたタイ・チェンマイの山岳地域。カレン族との共同生活は僕を大自然への魅力に引き込んだ。その小さな集落ではゾウを中心とした生活が営まれている。日の出と共に1日が始まり、まずはゾウ達の衛生管理を行う。自分たちの食事は、その後だ。ゾウは知能が高く、情愛深く仲間意識が強い。群れでの飼育、山林に自生するバナナなどを中心とした食事、毎日の川での水浴びや泥浴びによる皮膚の保護、ジャングルへのトレッキングも重い椅子を付けることはない。自然な生育環境の中で減少し続ける個体数を増やそうと努力している集落だ。
そんな彼らは国籍が無い。タイへの居住は許されているが山岳地のみで、首都バンコクに行くことは許されていない。無国籍の子供たちは大学の学位を取得できずにいるが、今後の生活のために子供たちだけでも国籍の取得を目指している。ゾウの自然飼育と自分たちの生活の共生に翻弄する、それが山岳民族の現状だ。
【野生動物の保護】
農作物を荒らす野生のゾウは害獣とされ、象牙を密猟する者にとってはゾウの牙は貴重な収入源になる。ゾウを取り巻く環境は良いものではない。では、野生動物の保護は具体的に何をすれば良いのか?
地雷による負傷も後を絶たず、森林破壊による生息地の減少も年々増加。これらは全て人間が原因ではないか。長年、象使いとして共生してきたカレン族は、僕にこう話した。野生動物への関心が保護につながる。何が必要で、何を止められるのか。もう一度、考えてみて欲しい。
芝高等学校(東京) 中山 公太郎
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(生物多様性の保全)
#せかい部 ×SDGs #生物多様性 #貧困をなくそう #象使い
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?