SDGsの観点から見た福岡の交通 by 藤川愛永 / 修猷館高校(福岡)#住み続けられるまちづくり

バス王国といわれる福岡ですが、SDGsの観点から見るとどのように考えられるのかを検証していきます。


〈考えるようになったきっかけ〉

私が住む福岡市では主な公共交通機関は地下鉄とバスが中心となっています。福岡市に来たことがある方なら分かると思いますが、天神や博多駅といった福岡市中心部では特にバスの台数が多いです。
私は普段、通学やお出かけにバスを使いますが、朝夕のラッシュや市の中心部ではよく渋滞が発生していて、地域や場所にも依りますが、時間通りにバスが到着することはあまり多くないです。そのため、この状況を改善するためにはどうしたらいいのだろうと考える様になりました。

ここではSDGs11-2「2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者、および高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。」をもとにして考えていきたいと思います。


<福岡市の現状>

[公共交通機関の利用状況(平成28年)]

地下鉄…3路線で約43万人
バス(西鉄バス)…約1.4億人
どちらも利用者数は年々増加。

[運賃(大人)]

・博多〜西新間
地下鉄…260円 バス…240円
・天神〜橋本間
地下鉄…340円 バス…370円〜430円
※市による所得に応じた高齢者乗車券の交付(電車やバスorタクシーなどで利用可能)、小学生〜大学生対象のエコルカード(対象エリア内のバスに乗り放題のお得な定期券)、障害者割引あり

また、西鉄バスでは地下鉄駅まで100円運賃の区間や、乗り継ぎ時の割引やポイントサービス、博多〜天神間はどのバスに乗っても100円運賃などを設定。

[公共交通空白地への対策]
バス路線の休廃止に伴い、交通空白地となった地域に対し、事業者や地元と協議して市の補助をうけて運行継続したり、代替交通としてバスや乗り合いタクシーなどを設けています。

[渋滞対策]

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都心部を中心に朝夕の時間帯にバス優先レーンを設置しています。郊外から都心へは渋滞する道路を避けて高速道路に乗る便や急行、快速などの種別が設定されています。また、バス優先レーンに何度も駐車していたり、走行していたりする車のナンバーをカメラで記録し、所有者に対して警告を行うバスカメラシステムを導入しています。これによって、バスの走行環境を改善し、定時性を高めています。

[まとめ]

運賃は比較的安く設定されており、割引サービスも充実しているため、値段の面では特に問題ないと言えます。
渋滞対策に関しては対策を行っているものの、普段利用していて、1つのバス停に乗客確認のために何台もバスが待っていたり、朝夕の慢性的な渋滞に巻き込まれていたりするように感じます。
これはバスだけの課題ではなく市の課題と言えそうです。1つの要因としては交通量の多い通りであっても車線数が圧倒的に少ないことにあると思います。朝夕の渋滞対策としては時差出勤や自転車と公共交通機関を組み合わせた出勤が効果的だと思います。


<他都市の例>

[名古屋市:基幹バス]

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道路の中央部、もしくはに基幹バス専用レーンを設け、道路の中央にレーンがある場合はバス停も道路の中央に設置します。このことで渋滞に巻き込まれることは全くなくなり、バスの走行環境が大幅に改善しました。
ダイヤの間隔は地下鉄並みに設定されていて、停留所の感覚は通常の系統よりも2〜3倍(約600m〜1km)になっています。
基幹バスのうち1路線は市営バスと名鉄バスの2事業者が運行していますが、共同運行区間では運賃は210円に統一されています。

[アメリカ・オレゴン州ポートランド:MAX Light Rail]

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もとはポートランドのダウンタウンと住宅地、フット山を結ぶマウントフット・フリーウェイが建設される予定でしたが、環境への影響や地元住民の反対によって1974年に建設が中断され、1976年には建設に当てられていた費用を公共交通機関の整備に使われることになりました。
この際に住民は草の根運動を起こし、建設阻止を訴えました。草の根運動とは、一般市民が積極的に政治に参加することを意味し、アメリカでの地域政治に根付いている意識です。
Maxの運賃は日本のシステムとは異なり、利用時間(2.5時間、1日)と利用者の区分(大人、低所得者・障害者・高齢者、小人(7〜17歳))によって料金が分かれています。

[まとめ]

地域それぞれの事情によって公共交通に工夫がなされてきたことが分かります。


<私達にできること>

ここまで主に公共交通の形態を紹介してきましたが、一般市民がこのようなことに関係ないかと言うと、そうではありません。アメリカのMaxの例で取り上げた草の根運動のように、私達が普段感じている街の問題を周りの人と共有し、声に出すことで初めて自治体に正確に意見が伝わるのだと思います

読者のみなさんも地元で少し気になっている課題について調べ、この時代だからこそできるSNSでの発信を活用しながら、一歩行動を起こしてみませんか?


修猷館高校(福岡)藤川愛永 
#せかい部 ×SDGs探究PJ高校生レポーター(住み続けられるまちづくり)


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