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脳動脈瘤発見で検査入院をした回(2)

【これまでのあらすじ】
パルプスリンガーな夫とモフモフキュートオブザミレニアムな猫に囲まれ、多忙ながらも幸せな日々を送っていた平凡な会社員Sejipanda。しかしある日、仕事の疲れからか感じた頭痛が端緒となり不幸にもMRI画像に黒塗りの瘤を見つけられてしまう。今後の生活を憂うSejipandaに医者が突きつけた生存の条件とは……。

というわけで。(ヘッダー画像と内容は関係ありません)

素人目にもはい、これは瘤ですね!!とはっきりわかるMRI画像を見せられ、さながらドラクエ3地球のへそ初見で唐突に「ひきかえせ!」を言われまくりビビり散らかして逃げ帰った勇者(※1)のごとくに「ピャーッなんかあるこわい!!!これ以上怖いの見たくないヤダーーーッ!!」と思考停止したのも束の間。保険屋さん相手に情け無いほどのボロ泣きアウトプットをかましてデバフを解除し、よっしゃ次の検査行こ。とあっさり腹をくくったところからが今回のおはなしです。
(この段落がちゃんとした前回までのあらすじです)

紹介先受診までの流れ

①生命保険について、検査目的でも病名+疑いの肩書きがあれば入院給付金が出る契約内容であることを再確認し給付金の請求書を依頼、受領
②夫を連れて脳神経外科を再度受診、紹介状の発行と大病院の予約を最短で依頼
③職場に報告し問答無用で休みの確約を取り付ける(現状がくも膜下出血の前哨戦であることと、弊社都合より病院都合を優先する必要性をはっきり伝えたのがつよかった)

大きな病院を紹介状付きで予約する場合、だいたいは患者本人ではなくまずは紹介元の病院が紹介先の病院へ予約を申し入れてくれる(※2)。第三希望くらいまでで日時を入れて紹介先の病院に連絡し、返事を待つわけなのだけど、これが地味に一番時間がかかるのであった。たしか朝の8時に紹介元の病院で受付して、紹介先の受診日時が決まったのが10時すぎとかそんなだった気がする。

平日の朝一番でこれなので、同じように他の病院を紹介されるような時は
・待ち時間を覚悟し、開き直って近くのカフェで本でも読む
・希望を出した日時、あるいは最短の日時ならどこでもいい旨ゴーサインを出しておいて、翌診療日に再度紹介元へ行く
どちらか選べる(※3)ようにしておくと、紹介元のスタッフさんも自分も気が楽かもしれない。もうほんとにね、紹介先がいつ返事をくれるかなんて紹介元でも全然読めないの……。遅いからってイライラしても、スタッフさんが悲しくなっちゃうだけなの……誰も悪くないの……。

いざ、大病院

そんなわけで無事紹介元の外来予約も取り、紹介状を装備して、いざ本丸である。紹介状の他に用意するもの(保険証やお薬手帳など)は紹介先から送られてきた予約票に書いてあるけど、他にクレカまたはデビットカードがあると心強いことこのうえない。回らない鮨屋に行く気分が一番近い。 実際この日は諸々あって3割負担でも15000円以上かかったから大正解であった。

で、当たり前なんだけど病院はめっちゃ広いしいかつい。ものものしい。案内板や地図を読むことがそれなりに得意なはずなんだけど、それでも予約票に書かれた「初診受付」を探すのに時間がかかり、近くのボランティアさんに助けを求めた結果。

「おっ、お前さん新顔かい?……ほう、紹介状があるとは只者じゃねえな。ならいいことを教えてやろう。まずはここをまっすぐ行った先の初診受付カウンターでそいつを見せてみな。あいつらならそれだけで話が通じるだろうさ。おっと、ぼったくられたくなきゃ保険証も必ず見せるんだぜ?ああそうそう、途中のエスカレーターは何度も上り下りするから覚えとけ。地図に印をつけといてやったから、せいぜい迷わず行くんだな」
(台詞はイメージです)

私これ知ってる。MMOのチュートリアルでよくある、まず街で迷子にならないためのクエストだ。
……そう思ってしまうほど、初見の総合病院はハチャメチャに広いのだ……。夫も思わず「未踏破で空白になってるマップが次々に埋まる音がする」と言うほど。

しかしざっと見渡しただけでもチェーン店のカフェにコンビニにふつうのレストランにと色々あるし、案内のボランティアさん(当然ながら熟練の冒険者や情報屋ではない)はにこやかな雰囲気だし、でもこう、厳然とした病院!!!って空気があるのが当たり前なんだけどふしぎな感じがした。

選べる、だから悩む

さて、受付をすませ、診察券の発行やら問診票の記入やらを経てようやく目的の脳神経外科へ辿り着く。

紹介元の病院から持参したMRI画像を見て専門医の先生が言うには、MRIというのはX線で透かして撮影するレントゲンと違い、磁気の共鳴を描写して画像化したもののため、いわば想像図に近いところがある。とはいえ他に画像の乱れもなく、該当の箇所だけ膨れているのであれば何らかの何かはほぼ間違いなく出来ているでしょうとのこと。
それを確定させるためには動脈カテーテルと造影剤とを用いたレントゲンでの脳血管撮影が必要ということだった。

もちろんそこで動脈瘤が確定したとしても、治療をするか、するならどういう方法を選ぶかというのはまた別の決定になる(この辺は検査後の話になるのでまた次に書きます)。

検査期間は事前準備と事後の処置も含めて最低2泊3日。検査後は何らかの何かが破裂寸前または破裂なうなことになっていない限り、傷がふさがれば日常生活に戻れるとのこと。入浴も運転も、自転車に乗るのも問題ないらしい。

先生「もちろん心の準備もありますからすぐに治療するかどうか決められないと思いますが、検査はやはり」
私「最速で検査します」
先生「最速」
私「最速で」

この時の私は月末に控えた推しのライブと、翌月に計画していたひとり慰安旅行儀式(※4)の完遂で頭がいっぱいなのだった。何人たりとも推しの鑑賞を妨げる奴は俺の体とて許さん

やることが……やることが多い……!(あのコマ)

最速で、とお願いする様に鬼気迫るものを感じられてしまったのか、週明けに早速入院としていただけることに。その後あわただしく入院前検査で病院中をスタンプラリーのようにあちこち動き回るフェーズが始まる。

レントゲン撮って心電図取って肺活量測ってMRI撮って採血して入院手続きやら持参書類やらの説明を受け、合間合間で家族やら職場やらに連絡し、社保から取り寄せる書類の用意をし、入院グッズで新しく買わなければいけないものをリストアップし……。やることが多い……。おなかすいた……(10時前に受付して15時頃まで病院に拘束された)。

まあでも、やることが多いと余計なことを考えなくて済むのだ。実際、次々と入院前検査をこなしている間は、以前感じていたような得体の知れない不安が顔を出すことはなかったし。なんなら検査前に推しのライブを楽しんでリラックスし、検査後にはひとり旅行でお疲れ様会をしよう。そんな風にうきうきとした気分すらあった。

手が止まると悩むし、悩むのは選択肢があるからで、選択肢を選びきれないのは知らないことや納得出来ていないこと、優先順位をつけられていないことがあるからだ。ライブと旅行という、日々を頑張ってたのしく過ごすための事柄がデンと鎮座してることが、今の自分にはとても頼もしかった。

(またもこの辺で切ります。次はいよいよ入院実況編だ)

※1
当時ファミコンでプレイしてた時ビビって本当にやらかしたよ

※2
最初から大病院を受診すれば早く適切に済むかというと全くそうではない。医療機関はおのおの役割分担をしっかりしたうえでスムーズに無駄なく医療を提供しようという考え方に基づき、病床数などによって区別されている。例えば手術などの高度医療を提供しない病院、いわゆる町医者さんの施設諸々で根治まで対応出来るならそちらの方が断然はやいし、緊急性の低い患者がむやみに大病院へ集中しないことは、重篤な患者へ迅速に高度医療を提供するうえで大きな助けとなるのだ(詳しくは紹介外来制、地域医療、などでぐぐろう)。

※3
どっちを選ぶにしても、紹介状の発行は医療費がかかるから先に精算しておかないとメッよ!

※4
ひとり旅行はいいぞ。この話のネタバレになるけど、旅行は無事行けることになったので帰ってきたらその話も書きます。

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