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オバさんの浪漫

運転をしないことにしたお姑さんとの用事のあと、近くのショッピングモールに寄った。

コロナで閉店してしばらく空いていた一画に
トルコの行商さんが絨毯と小物を売っていた。
「期間限定」と書いてあった。

綺麗な色の生地でできた少し安っぽい作りの鞄が「いい感じだな」と惹きつけられた。

お姑さんに「ごめん、ちょっと見てくる」と告げて、その鞄を手にしたけれど、残念。使い勝手は悪そうだった。

他にも少しだけ置いてあるシルバーアクセサリー。
お祝いに使う組紐のようなブレスレットを手にしていると、日本語の上手な「トルコ人かな」と思う浅黒い肌と目ヂカラのある眉と目を持った男の人が声を掛けてくれた。

説明を聞くと面白い。
日本の縄文時代頃にデザインされたトルコでのアクセサリーのレプリカのブレスレットのこと。
トルコ石は2種類で、トルコの一部で採掘される淡いブルーのトルコ石と、アメリカアリゾナで採れる鮮やかな水色のトルコ石があること。
石の裏を見ると練り物じゃないことが分かるということ。

青色のなかに黒の丸が目玉のようなストラップのような飾りのようなもの🧿は「神の目」だとも教えてくれた。魔除けとは違うらしい。
どちらかと言うと日本のお守りに近い気がした。

お皿は柄がはっきり過ぎていて、
「どんな料理をのせれば、この皿が活かせるのか想像つかねー」と思っていた。

その隣に、
少し小さめの、湾曲のあるガラスのカップで、綺麗な色に飾られているものがちんまりと置かれていた。

「All手描き」
下手でも上手でもない字で書いてあった。
へー。手に取ると、意外としっくりくる。

「"似てるけど非なるもの"とはこのことだな。」
向こうの職人さんのものではないだろうけど、普段使いにいい感じ。

「それは、」とさっきの男の人が他のお客さんの対応が終わったのか、また声を掛けてくれた。
焼き付けてあるから熱いお湯を注いでも大丈夫だということを教えてくれた。
トルコの人はこれでコーヒーも紅茶も飲むらしい。

厳つい目ヂカラの強く浅黒い肌の男の人たちがこんな可愛らしいカップでコーヒーを飲んでいるのかと想像してしまった。
そして、欲しくなった。

私は自分でこんな可愛らしいモノを選ぶタイプじゃなかったが、このカップでコーヒー飲むのが少し楽しみになった。

で、お買い上げ。

レジでお金を払う時、対応してくれたトルコ人の男の人が「トルコにいったことありますか?」と聞いてきた。

いえ、ありません。

「是非一度いらしてください。いい国ですよ」
と、微笑んだ男の人に、

「はい、必ず」

そう答えてる自分に、ワクワクした。
浪漫ってやつか? これ!!
浪漫は男の特権じゃないんだね!

とりあえず、トルコ語は分かんないから
英語の勉強をもっと加速しよう。
で、お金貯めよう。

このカップでコーヒー飲みながら、決めた。

でも、たぶん今日の男の人とは
会ってもお互い気付かないだろう…(笑)

私はトルコに行って、
「是非日本にいらしてください。いい国ですよ」と言おう。

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