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穏やかな1日。

今日は、いつもの女性主任がおやすみの日。
その上、雨の日曜日。
つまり、お客さんがほぼ来ない日。

2人の上司の片方は社用タブレットで釣り道具を調べていて、もう片方は社用タブレットで高校駅伝がリアタイできるサイトを探している。
俺は、高校駅伝の方の上司に頼まれた決算関係のデータ入力をしていた。
データ入力は大好きなので数十分で終わった。
女性主任がいない時の職場の雰囲気は穏やかだ。
みんなの表情や空気がふわふわで、みんな仕事もしやすそうに見える。
俺はこういう雰囲気が好きだ。

さて、データ入力が終わった俺は、特に急ぐ仕事もない(日曜なので業者も本所も休みで何も進まない、が正しいけど)ので、釣り道具の方の上司の隣に移動した。

「またエギング?」
「んや、竿」
「あ、これかっこいい、赤いやつ」
「ん〜、これかぁー、ものすんごい古い竿よ、2本もっとる」
「ほえ…これは?」
「投げ釣り用の竿よ」
「なげづり……」

みたいな会話を午前中永遠としているとお昼になった。
「昼じゃ、どっか行くか?」
「なんでー、」
「ええけぇ、どうする?」
「えー、」
「日曜じゃしの〜、買うかぁ、行くで」
「…ありがとう」
金なし(高卒会社規定最低賃金)+昼食抜き当たり前の俺のことを心配してか、必ず釣り道具の上司は俺を誘う。毎回奢ってくれる。
申し訳ないと思う。

「菓子を買うなよ、菓子を」
「えー、何食べたらいいかわからんけ、選んでや」
「なんでわしが選ぶんや、何がええん?」
「んー……」
「これは?」
「エビアレルギーじゃけん食べれん」
「ほーじゃったの、これは…ネギがおるのー食えるようになれや」
「ネギ嫌い」

みたいな会話を毎回する、でも全然怒らない。優しいひとだ。

昼食を食べたあと、今度は自分のスマホで釣り道具を検索していた。
「ねぇ、ポケモンG〇してもいい?」
「好きにせーや」
「あ、みて、なんか弱そうな小魚おる」
「あぁん?…ワームみたいなの」
「ワーム?イモムシ?」
「ルアーよ、ほら、」
「え、これ生きとる?」
「んなわけないじゃろーが、ルアーよ」
「るあー、」

みたいな会話をした後、またポケモンG〇をしていたのだが、気がつくと寝てしまっていた。
ぱっと目を開けると、
「おー、起きたか、」
スマホをつつきながら上司が言った。
「え、もしかして寝かしてくれた?」
「んー、どうかのー?」
「起こして良かったんよ?」
「まあ、ひまじゃしのー」

という会話をしていると、駅伝の方の上司が通りかかりに
「もう起きたんか!」
と言ってきた。
体感では1時間寝た気でいたけど、15分前後だったらしい。

上司とタメ口なのは常識的にダメなことはわかっているけど、どっちの上司にも『自分の子供くらいの歳の子に敬語を使われたくない』と言われてからはタメ口。

お客さんや他の目上の人には敬語なのもちゃんとわかってくれているようで、言葉遣いを指摘されたことは(女性主任を除くと)ない。


こういう仕事環境が良いという訳では無いけど、個人的には『お客さんが来る時はちゃんとする、来ない時はちょっとサボる』みたいな切り替えができる環境の方が、気持ちも楽になると思う。

こういう雰囲気な会社や事業所が増えたらいいのになと思う。

以上、穏やかな1日でした。

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