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クルマでまるっと欧州一周30日【Day-6①】

9/1/2019 Soutelne-San Sebasutian

ソーテルヌのシャトー探訪

有名なシャトー見学は事前に予約が必要である、ということをこの旅の最中に友人がFacebookで教えてくれた。旅前にも聞いたような気がするのだが、その時はワイナリーを訪ねようという思いは実のところほとんどなかったのである。しかし白洲次郎の旅を地図にプロットしてみるとワインの産地とほぼ重なるのである、というよりフランス、スペイン、イタリアはワインの大産地であり至極当然のことなのだ。真っ白な雪をたたえたスキー場を目の前にすれば滑りたくなるし、素晴らしい川があれば釣りをしたくなるのと同じで、目の前にたわわに実る葡萄畑とシャトーがあれば訪ねたくなるのは道理であろう。

寝る前にいろいろ調べたところ、ソーテルヌのシャトー・ギローというワイナリーが見学できそうだったので、翌日朝一番に電話したところオーケーという返事をいただけた。ツイている。

宿のあるポダンサックから約15km。<D11><D116><D116E1>という林の中の県道を進むとAOC Sauternesの看板が出てきて、その先に葡萄畑が見えてきた。とあるカーブを曲がると青いトラックが葡萄畑の端に見えた。何をしているのだろうと近づくとたくさんの人もいる。何と収穫をしているではないか。ツイていることにこの旅は葡萄の収穫のシーズンと重なっていたのである。これも9月という時期を考えれば当たり前のことであるが、全く予期せぬ偶然であったために、マジかと叫びながら小躍りしそうになった。

シャトー・ギローはギロー、スデュイロー、リューセック・・・と覚えたソーテルヌの格付け1級シャトーの一つで、現在はプジョー家も共同所有者の一人である。広大な畑の中は地図のように細かい区画に分かれており、マイクロ・クリマが存在している。朝の霧が畑を覆って貴腐菌の活動を促進する。ガロンヌ川の支流であるシロン川がこの豊かな霧を発生させるのだ。 また有機認証を取得していることも特筆すべき点である。蜂のための小屋を作ったり、様々な種類のトマトを栽培したりして研究を重ねているそうである。

ここに眠りながら発酵しているのが世界に存在する2015ビンテージのほぼ全てだそうである。

この価格を見るといかに日本のインポーターが努力しているかがわかる。

支配人でこのシャトーを改革した第一人者、グザヴィエ・プランティー氏が表紙を飾った雑誌があった。シャトーを出ようとした時にクルマから降りてきた人を見てびっくり、ご本人であり、一緒に写真を撮ってもらうことができたのである。もちろん写真は秘蔵である。

貴腐葡萄は菌の付き具合によって葡萄の成熟具合が異なるために、一度に機械などで収穫ができず、一房一房手摘みで16日間かけて収穫するそうである。そんな話を聞いてしまったものだから、敬意を込めてまた2本連れて帰ることになるのである。

シャトー・ギローを出る時に、北に1kmほど上がったところに「特別1級」に指定されていて、世界三大貴腐ワインのひとつであるシャトー・ディケムがあるというので寄ってみた。もちろん予約が無いので建物の中には入れないが、庭や葡萄畑はみることができたのである。どれもこれも素晴らしく手が入り管理されており、もうあんぐりするばかり何もかもが美しかった。

シロン川の清く澄んだ流れ。下りられるところを探して水に手を入れてみるとすこぶる冷たい。下流で同じ水系になるドルドーニュ川の濁った流れとは天と地ほどの違いである。


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