Y Combinator発スタートアップ④_S24「Healthcare」-4
Y Combinator Summer 2024 (YC S24)Batchで採択され、Demo Dayで発表を行ったスタートアップを紹介していく。
※本記事は、各社の公式サイトや関連の記事をもとに構成されています。
本記事の概要
本記事では、YC S24 Batchで採択されたスタートアップのうち「Healthcare」で分類されている、スタートアップ4社を紹介する。(スタートアップの分類と数については、YCサイト「Startup Directory」を参考)。
Healthcareで分類されているスタートアップは25社(全体の約10%)。
そのうちのCodes Health, mdhub, Ply Health, Fuseの4社を紹介する。
*但し、これらのスタートアップは設立されたばかりで、公開されている情報が限られていることにご注意ください。
YC S24 Batch採択スタートアップ_「Healthcare」-4
Codes Health:患者の医療記録×AIツール
スタートアップ概要
共同創業者
Alvaro Rivera:MITで科学の学士を取得。BCGでアソシエイトとして従事していた経験を持つ
Cody Durr:MITでコンピューターサイエンスの学士を取得。ソフトウェアエンジニアとして勤務していた経験を持つ
Austin Mills:エール大学でコンピューターサイエンスの学士を取得。BCGでアソシエイトとして従事していた経験を持つ
所在地:New York, USA
事業・サービス内容:医療提供者向けに患者記録の収集を自動化するAIプラットフォームの開発
事業・サービス・テクノロジー詳細
患者のドキュメントはEHR、他の医師、FAXなどに分散している。Codes HealthはAIを用いてこれらの情報を一つにまとめ、患者の初診前に解析を行い、医師に提供する
主な提供サービスは下記の通り
医療記録の自動収集と解析:Health Information Exchanges(HIE)や外部の医療提供者、患者自身の情報を集め、すべての関連医療履歴を一元化する
デジタルインテークと情報リリース(ROI):患者がスマートフォンやブラウザから情報を簡単に提供し、正確な医療履歴を作成
バックオフィスの業務支援:カスタム要件に基づくサービス資格の確認、プロバイダへのフォローアップ、リアルタイムの進捗追跡などを通じて、事務負担を軽減する
mdhub:メンタルヘルスクリニック×AIアシスタント
スタートアップ概要
共同創業者
Dominik Middelmann(CEO): TIER Mobilityの製品オペレーションディレクター、元BCG出身。
Efren A. Lamolda: コンピューターサイエンスの修士号を持ち、医療分野での技術活用に情熱を注ぐ。
所在地:San Francisco, CA, USA
事業・サービス内容:メンタルヘルスクリニックの運営効率を向上させるためのAIアシスタントの開発
事業・サービス・テクノロジー詳細
精神科の臨床医が患者と向き合う時間を確保するため、記録作成や保険対応などの業務を自動化するAIアシスタントを開発し、提供している。
アメリカでは約5,000万人が精神的な健康問題に悩まされており、その数は年々増加してるものの、臨床医の不足も深刻で、2024年までに3万人の精神科医不足が予想されている。
さらに、精神科医は診療時間の50%しか患者の診察に充てることができず、残りの時間は、臨床文書の作成、保険の処理、その他のバックオフィス業務に費やされており、限られたリソースが有効に活用されていない
mdhubの提供サービスは下記の通り
AIアシスタント 患者面談中の会話をもとに、臨床記録、アフターレポートの作成、治療計画の立案などの業務を自動化し、臨床医が患者ケアに集中できるよう支援
業務時間の短縮: 6ヶ月間で10万時間以上の管理業務を削減し、$数十Mの追加収益を生み出す結果を達成
Ply Health:メンタルヘルスプロバイダー×保険会社連携
スタートアップ概要
共同創業者
Samantha Wu:元FinniのBizOps責任者(W23)、Cedar、SiteRx、Carlyle、Evercoreにて勤務経験あり
David Zhang:MetaやSnapでスケーラブルなバックエンドシステムの開発に携わった経験を持つ、元プレメド出身のソフトウェアエンジニア。
所在地:New York, NY, USA
事業・サービス内容:行動健康プロバイダー(セラピスト、ソーシャルワーカー、精神科医など)がAetnaやMedicaidのような保険会社とネットワーク契約を結ぶプロセスを迅速化するためのプラットフォームの提供
事業・サービス・テクノロジー詳細
プロバイダーが保険会社の「ネットワークに入る」ことは、患者にとっては医療費の削減につながり、プロバイダーにとっても新規患者へのアクセスや、請求プロセスの簡素化という大きなメリットがある。
米国内には約1,400社の保険会社が存在し、それぞれが異なる加入手続きとフォーマットを持っており、加えてプロバイダーは数十ページにも及ぶ手動の申請書類を提出しなければならなく、大きな負担となっている。
Ply Healthのソリューションは下記の通り
情報収集:プロバイダーから必要な情報を一度に集約する標準的な質問票を用意することにより、複数の保険会社ごとに異なるフォーマットで情報を収集する手間が省け、数クリックで申請を行うことが可能
AIによるデータ検証と自動化:バックエンドでAIを活用して、各申請のデータを自動的に検証し、正確性を確保。これにより、書類提出後のエラーによる遅延を最小限に抑えることができる
進捗追跡と通知機能:Ply Healthのダッシュボードでは、各申請の進捗状況をリアルタイムで追跡でき、処理が遅延している場合はアラートが発生する。これにより、タイムリーなフォローアップが可能
すでに、Finni HealthやLegion Healthなどのクリニックと提携し、従来より2〜3倍速い契約締結を実現している
Ply Healthと連携している弊社ポートフォリオ企業のLegion Healthについての記事は下記を参考↓
Fuse:医療プロバイダー向け収益確保サポート
スタートアップ概要
共同創業者
Sho Sugihara:前職で$6MのARRを達成し、データ分析を駆使した医療システムに精通。McKinseyで大規模な医療機関や保険会社向けのデータ分析プロジェクトに携わった経験を持つ
Oscar Wilsby:機械学習と計算物理学のPhDを持ち、大規模データモデルを構築してきた実績あり。これまでの経験を活かし、精度の高いデータ解析モデルを提供
所在地:London, UK
事業・サービス内容:米国の医療機関における収益確保と収益最大化を支援する、AI活用の契約・支払い分析プラットフォームの提供
事業・サービス・テクノロジー詳細
医療機関に対する保険会社からの支払いが契約通りに行われているかを検証し、未払いの発見から異議申し立てまでのプロセスを自動化するプラットフォームを提供している。
契約内容のデータ抽出:LLMを活用して契約書の細かい条件を抽出し、保険契約の詳細をデータ化。
支払いとの照合:データ化した契約内容をもとに、保険会社からの支払い明細と自動的に照合し、過小支払いがないかをチェック。
異議申し立ての自動化:未払いが発見された場合、自動的に異議申し立てが生成され、迅速に対応。
医療機関の収益が複雑化しており、医療機関は収益確保と収益最大化が必要となっている。
保険会社のAI利用:保険会社がAIを活用して保険請求を分析し、微妙な過小支払いを行っているケースが増加してる
複数契約の管理困難:平均的な病院には、50を超える保険会社との契約があり、同一手術に対しても保険会社ごとに異なる補償率が設定されているため、支払いの正確性を確認することがコスト的にも時間的にも難しい。
M&Aの増加:医療機関の統合が進み、契約や収益管理システムの統一が求められ、収益管理がさらに複雑化している。
Y Combinator発スタートアップ_S24「Healthcare」1-3の記事はこちら↓
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