スタートアップアクセラレータープログラム_Y Combinator①
スタートアップアクセラレータープログラムであるY Combinatorを紹介する。今後は採択されたスタートアップの紹介や過去にY Combinatorに選ばれたスタートアップの最近の動向を紹介していく予定
本記事の概要
世界で最も成功しているスタートアップアクセラレータープログラムの一つである、サンフランシスコに拠点を置くY Combinatorの第38回Demo Dayが2024年4月3日から4月4日まで(米国太平洋時間)の2日間に渡ってオンラインで行われた
世界中から27,000以上の応募があり、Y Combinatorのアクセラレータープログラムに採択されたスタートアップは260と採択率が1%未満であった
Y Combinatorは売り上げが$1Bを超えるDropbox、Airbnb、Stripe、Reddit等のスタートアップを輩出しており、大きな成功を収めている
トップ画像はY Combinatorのウェブサイトより
※本記事は、添付URLの記事および各社のウェブサイトを参考に作成しました
Y Combinatorとは?
設立
2005年にTrevor Blackwell、Paul Graham、Jessica LivingstonおよびRobert Tappan Morrisらによって設立
才能を持ちながら起業しない多くの人たちの起業を支援してあげることで、経済がより活性化するのではないかと考え、創業者らによりY Combinatorが設立された
現在のCEOは、InitializedCapitalとTwitterが買収したブログプラットフォームPosterousの共同創業者であり、2011年から2015年までY Combinatorのパートナーを務めたGarry Tan
本拠地:サンフランシスコ
以前は、AppleやGoogle等の大手IT企業が拠点を置くシリコンバレーに本拠地を構えていたが、2023年にAIの技術の最前線の地(OpenAIとAnthropic等の本社所在地)であるサンフランシスコに移転
また、Y Combinatorの独自の調査によると、サンフランシスコで設立されたスタートアップの成功確率は、他の地域で設立されたスタートアップよりも高いことが示されている
成功しているアクセラレータープログラム
Y Combinatorは世界で最も成功しているスタートアップアクセラレータープログラムの一つ
2020年にY Combinatorによって採択されたスタートアップのうち5%~10%がプログラム終了後に$25Mを調達したり、または$100M以上のバリュエーションを達成している
https://www.cbinsights.com/research/report/most-successful-startup-accelerators/
プログラム概要(2024年4月時点)
Y Combinatorは年に2回(夏と冬)、それぞれ約3ヶ月間のプログラム(Batch)を実施
Y Combinatorから$125,000の資金調達と引き換えに、採択されたスタートアップは自社の7%の株式をY Combinatorに割り当てる。
外部投資家から資金調達をする際にY Combinatorは追加で$375,000を資金を提供する。この投資に条件はなく、各スタートアップの資金調達条件に併せて実行される。(スタートアップがより有利な条件で投資家と交渉するために、初期から多めに投資をするようになった)
プログラム参加中は、スタートアップは週1回のディナーに参加して様々なテクノロジー業界の著名人からの講演を聞いたり、Y Combinatorのパートナーや他の専門家とミーティングを実施してアドバイスもらったりして問題解決に取り組む
プログラムの最後にはDemo dayが開催され、スタートアップは進捗状況と計画を投資家にプレゼンテーションを実施し、初期の資金調達を行う
プログラム修了後も、スタートアップはY Combinatorのアルムナイネットワークに入り、引き続きY Combinatoのリソースにアクセスしたり、アドバイスを求めたりすることが可能
Y Combinator発ユニコーン企業(例)
Dropbox
創業者:Drew Houston、Arash Ferdowsi
Y Combinator 採択:2007年夏
事業内容:ファイルの保存、同期、共有を可能にするクラウドベースのストレージサービス
売上:$2.50B(2023年)
Airbnb
創業者:Brian Chesky、Nathan Blecharczyk、Joe Gebbia
Y Combinator 採択:2009年冬
事業内容:個人が自分の空いている部屋や住宅を短期間貸し出すことができるオンラインプラットフォーム
売上:$9.92B(2023年)
Coinbase
創業者:Brian Armstrong
Y Combinator 採択:2012年夏
事業内容:仮想通貨の売買ができるオンラインプラットフォーム
売上:$3.1B(2023年)
https://s27.q4cdn.com/397450999/files/doc_financials/2023/q4/Shareholder-Letter-Q4-2023.pdf
DoorDash
創業者:Tony Xu、Andy Fang、Stanley Tang
Y Combinator 採択:2013年夏
事業内容:アメリカを中心にサービスを提供するオンデマンドフードデリバリーサービス
売上:$8.64B(2023年)
Y Combinator Winter 2024 Batch
プログラム概要
Y Combinator Winter 2024 Batchが行われた。そして、最終日の2024年4月3日から4月4日の2日間に渡り、第38回Demo Dayがオンラインで実施された
世界中から27,000以上の応募があり、Y Combinatorのアクセラレータープログラムに採択されたスタートアップは260と採択率が1%を下回った
採択されたスタートアップのうち50%以上が何らかの形でAI技術を活用している。Y CombinatorとしてもAIやLLMを活用しているスタートアップを積極的に採択している
今回の新規メンバーを加えたことで、Y Combinatorのコミュニティは、4,500以上のスタートアップと11,000人以上の創業者で構成されることになった
採択されたスタートアップ内訳
企業属性の分類
B2B SaaS / Enterprise:65%
Consumer(一般消費者を対象とした製品やサービス):11%
Healthcare(医療関連のサービスや製品):10%
Fintech(金融サービス業界向け技術):8%
Industrials(建築、製造業、エネルギー業界向け等):4%
Govtech(公共部門向けの技術ソリューション、等):1%
Edtech(教育プロセスを強化、変革するための技術):1%
創業者の多様性(自己申告制であり、すべてのスタートアップ創業者が回答しているわけではないことに注意が必要)
白人 36%
アジア:25%
南アジア: 18%
多民族:10%
中東: 5%
黒人: 4%
ヒスパニック: 2%
Y Combinator Winter 2024 Batchでは、採択された企業の21%が女性の創業者によって設立されている。また全体の創業者のうち11%が女性という結果であった
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