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『長い一日』を読む長い一月。〜0日目〜

小説家滝口悠生さんの4年ぶりの小説、『長い一日』(講談社刊)。講談社のPR誌『本』の巻末に、2020年12月号で雑誌が休刊になるまで連載されていて、文字通りその最後を飾ることとなった作品です。

自分の好きなものについて文章を書こうと思ったときに、まず頭に思い浮かんだのがこの小説でした。(自分の好きなものについて書こうと決めたきっかけは別の記事に書いています)

言語化することで、自分がなぜ「いい」と思ったのかを明らかにしないと、その魅力を他の人に届けることは難しい。「とにかく面白いから読んでみて!」では限界があると感じています。

「小説の面白さは読んでいる時間にしかない」「本を読むことは個人的な営みだ」というような文章を読むたびに、確かにその通りだ、と思う反面、小説を読むことで生まれた興奮や、価値観を揺さぶるような驚異を誰かと共有したいという気持ちがずっと燻っていました。

「書けば届く」。先日お話を伺った編集者/ライターの九龍ジョーさんが言われた言葉は、わたしにとって「書くこと」の種火となりました。

前置きが長くなりましたが、これから『長い一日』について読書の記録を綴っていきたいと思います。ですが、ただ読んでその感想を書くというのでは、(自分が)面白くない。そこで、一日一章ずつ読み進めて、読んだ章について文章を書いていこうと思いつきました。

好きな作家の小説はどんどん読み進めてしまって後から後悔するのが常なので、こうすればじっくりと深く楽しめるのではないかという目論みがあります。同時に、文章を書かないと先に進めないようにすることで「書くこと」の動機付けをして習慣化したいという魂胆もあります。

小説は33章からなるので、毎日書けば、大体ひと月くらいで全て読み終わります。でも、「絶対に毎日書く!」ってすると、どこかで挫折しそうなので、8月中に読み終えるくらいの気持ちで、ぼちぼちやっていけたらと思います。

33歳にして、小学生の絵日記のようなことを始めるわけで、あの頃、夏休みの前の日にどんな気持ちでいたかなんてもう思い出すこともできませんが、きっと今の自分のように高揚感と、少しの不安に包まれていたのではないかと思います。

というわけで、明日から、始めます。

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