組織体とは、エネルギー状態によっては、《ベクトルの補強》を発生させうる構造を、要素としたシステムである。

・基礎文献:

1.

2.


・本文

《ベクトルの補強》とは、あるベクトルAが、他の要素によって、その減速の小量化や、加速の大量化がなされている(つまり、補強されている)状態を指す。

このように補強がなされたベクトルは、単独の場合での、自らが保存されうる低速化(減速の程度)の限界値を超えて、存続することや、高速化(加速の程度)の限界値を超えて、速度を累積することが可能となる。


例えば、台風は、生物にとっての災害となりえる程度の、比較的に大きいベクトル量を持って巻き起こるが、その消失(保存の限界値を超えた減速)を回避するための、組織性(補強性)には、生物と比較して乏しい。

いっぽう生物には、自己治癒能力を持つものが多く、『生命活動』という、時間現象の傾向性に対して、逆行してくるベクトル量によって、それを減速・阻害されたとしても、全体性を以て処理可能な範囲内でなら、構造性を利用して、ベクトルA(この際では生命活動)を補強し、これに対処するなどのことができる。

そして、例えば食事と代謝によって身体を養い、よりエネルギッシュな生命活動を行えるようになるなどの、「補強による加速」もまた発生しうる。


時間とは、空間状態の変化のことであり、その程度が、すなわち速度である。
この、空間状態の変化とは、方向性を持った位置の変化である。つまり、速度と方向を持った、ベクトル量によって発生するものである。

あらゆる時間現象とは、このベクトル量によって発生するものであり、より巨視的なそれは、より微視的なそれを要素とするものである。(台風や、生命活動などもそうで、すべての時間現象の発生機序はこれである。)

この過程には、勢力争いが起こりうる。つまり、ベクトル量の優劣が、素朴なエネルギー関係として、そのまま勢力の優勢・劣勢を決定させ、その中でより優勢なものが、時間現象の傾向をより大きく決定付ける、速度となるのである。


《ベクトルの補強》は、タイトルの通り、その発生可能性の有無が、それへと進展しうる構造性の有無に、そのまま依存するものである。

これを発生させうる構造を要素としたシステムを、特に[組織体](たとえば生物のようなもの)として、そうではないシステム(たとえば台風のようなもの)とは区別できる。

例えば、起動前の機械についても、そうとカテゴライズするように、エネルギー状態によっては、論述しているような用意周到的な複雑化(組織化)、つまり《ベクトルの補強》を発生させうる構造を、要素に持ってさえいれば、それは組織体だと判定するのが、より高い抽象度(普遍度)を順序とした理論体系の実在化である。(それが研究・開発の順序を合理化する方法として順当なものである。オーバーヒート中であることで動作が目的を果たせない機械を対象とした場合でも、エネルギー状態が適当である=組織体として行動(稼働)状態である場合ならば、《ベクトルの補強》を発生させうる、というのであれば、それは組織体である、と判定するのである。)


・システムの定義についての補足

システム・系・集合などの概念は、もとより最も抽象度の高い部類のものであり、つまり個々を相違要素によって分明化することが困難なほど、すでに抽象化・単純化がなされているものといえる。

これにくわえて、[システム科学]の分野名称が既存している現状を加味し、[システム]という用語を各論において採用している。

しかして、これはそれら類似の概念について、そのそれぞれの定義を個別に証明したり、区別を行ったりしたすえに、取捨選択したものではない、ということを断っておきたい。

本論文は、システム(系・集合など)の定義に[複数の部分(要素)が相互に関係しあっているものの全体]という高抽象度のものを採用し、そのうえで証明を進めたものである。


以上。

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