スポーツ万能になるために、特定のスポーツを始める前にやるべきこと。
熱心に子どもの成長をサポートをしている保護者や指導者の方に向けて。
サポートは絶対に欠かせないからこそ、正しい努力の方向性を見つめ直す機会になれば幸いです。
下記は僕が尊敬してやまない武井壮さんの動画です。6分強なのでぜひ。
これ見るだけでも勉強になると思います。
動画見ていただけましたでしょうか。
動画内でも武井さんがおっしゃってるように、スポーツ万能になるには
「自分の身体を思った通りに動かすこと」が必要です。
これはサッカー(特定の種目)だけやっていても身につくものではありません。
サッカーがうまくなりたいから毎日のように、クラブの練習、スクール、試合終わってまたスクールと、週7でサッカーをしている子どもが少なくないように感じています。
特定種目をやり続けたことによる偏ったフィジカル
※フィジカルというと筋肉ムキムキなのを想像しますが、
身体を思い通りに動かすのもフィジカルの一部であると考えて
フィジカルと記載しています。
※これはうちのアカデミージュニアユース1期生のデータです。(当時中学1年生)
細かくは割愛しますがスポーツテストで全国のデータと比較しています。
これは「サッカーあるある」で、この選手に限らず多くの選手がこういった傾向、
つまりグラフで分かるように、ボール投げや長座位前屈が極端に下がり、
20mシャトルや反復横跳び(この選手はそこまで高くはないですが)は高い数値が出る傾向にあります。
そして別の競技だとまた違った傾向のグラフが形成されます。
(野球なら野球、テニスならテニスの傾向が形成されます。)
これが実は動画内で武井さんがおっしゃっている
面積が変わらず縦に伸びている状態
です。
1個のスポーツは伸びるけど、別のスポーツいくとまた0からのスタート。
別のスポーツにいかなくとも、面積にも限界はあるので縦に伸びる限界があります。
この偏ったフィジカルが何をもたらすかというと、怪我のしやすさだったり、
パフォーマンスの伸び悩みです。
だからこそ育成年代のうちに、この円の面積を綺麗にさらに大きくしていくことが大切なんです。
さきほどのグラフに赤のグラフを足したものです。
赤のグラフは、水色のグラフから約7ヶ月後の同選手のグラフです。
ボール投げ、長座位前屈が改善されています。
2つのグラフを見比べたら、歪だった円が少し奇麗になってるのがわかるかと思います。
フィジカルがバランスよく高まるということは、何が可能になるかというと、
即座の習得です。巷でセンスが良いと言われるやつですかね。
・1回目でできちゃう人
・3回目でやっとできる人
・10回やってもできない人
どれに該当したいでしょうか。そしてどれが一番時間効率良いでしょうか。
なので技術の練習をする前に、自分の身体を思った通りに動かす練習が必要なんです。「特定のスポーツをするな」ということではありません。
特定のスポーツをしながら、他のスポーツや体を動かす遊びをしましょう。ということです。水泳とか体操とか別の球技とかいいですね。
ここで大きな勘違いをしやすいのが、スポーツテストの結果がよくないからといって、その練習をしてしまうことです。(反復横跳びが悪いから反復横跳びの練習をするみたいな。)
それは反復横跳びそのもののコツをつかんだだけで、直接的にはフィジカルがあがったことにはならないです。
様々なスポーツ、動作のなかでフィジカルをあげていくのが理想です。
(上記のような36運動などの基本動作を積み重ねると、フィジカルが整い
運動感覚が養われ,結果として即座の習得につながります。)
なぜ育成年代でフィジカルを高めておかないといけないのか
理由は大人になってからだと、人間の発達の関係上身につきにくいからです。
これは男女における成長期(Peak Height Velocity)のグラフです。
成長期を迎えるとともに、フィジカルの円はさらに大きくなっていきます。
歪のまま迎えてしまうと、歪のまま大きくなります。
なのでそれまでに、綺麗な円に整えたいのです。
個人差はあれど、おおよそ男子であれば12歳〜16歳。女子であれば10歳〜14歳まで。それまでにどう過ごすのかが重要だと感じています。
フィジカル能力というのは、競技のパフォーマンスを高めるための大きな要素です。トップ選手として活躍する選手で、フィジカル能力が低い選手はいません。
ほんの少しで良いので、長期的な目線でサポートができれば、スポーツがもっと楽しくなるんじゃないかなと、トップアスリートがもっと増えるんじゃないかなと、そんな期待を抱いてます。
特定のスポーツ技術を高める前に、「自分の身体を思った通りに動かすこと」
を見つめ直す機会になればと。