サーナイトの何がやばいのか
「○○がやばい」シリーズ第4弾。
現行スタンダードレギュレーションの環境上位に居続けている「サーナイト系」。これまで紹介してきたギラティナ、ルギア、ミュウといったVSTAR、VMAXの系列でなく、SV世代の顔と言えるexにて登場した2進化ポケモン。現状2進化を主としたカードで環境に食い込めているのは、最新弾のリザードンexとこのサーナイトexぐらいなものだろうか。
いずれにしろ、実質1進化のVSTAR・VMAX、たね主軸のTAGTEAMGXの時代から見ると2進化による環境入りは非常に珍しいこと。サーナイトに至っては大型大会の優勝も経験しており、既に王者の貫禄を見せている。誰もがその実力を知っているところであるが、ここで改めて記事として紹介をしていきたいと思う。
いつもどおり、ガチ半分ネタ半分でのカード考察。
カードそのものは2023年1月20日発売の拡張パック『スカーレットex』にて登場。新シリーズ第1弾にして最初期のポケモンexとしてサーナイトは生まれた。元々サーナイト系は既にE、Fにて様々な形で収録されており、それぞれ優秀なワザ、特性を備えていた。というかサーナイト系の収録頻度はD以前から非常に多く、またその性能も一定以上の水準を常に維持し続けている。何よりキャラそのものの人気が高く、看板ポケモンの一人といっても過言ではない。そんなサーナイトがexでどうなったか。気になる性能がこちら。
ふむ。ワザにおかしな点はない。このご時世エネ3個で190は若干弱いように見えるが、弱点を突ければ380なので十分強い。特殊状態の回復も、あって困るようなものではない。おかしいのは特性の方。
【特性:サイコエンブレイス】
自分の番に何回でも使える。自分のトラッシュから「基本超エネルギー」を1枚選び、自分の超ポケモンにつける。その後、つけたポケモンにダメカンを2個のせる。(きぜつするポケモンに、この特性は使えない。)
「何回でも」
見間違いではない。「何回でも」使える。
ダメカンをのせる、きぜつしてまでは使えないと一定の縛りはあるものの、
逆に言えば、きぜつさえしなければよいということ。
「どんなに倒してもまたエネを出してきやがる!毎回ポケモンを傷付けて…なぜそんなことを、平然とできる!?」
『何とでも言え。私は私のサイドを全て取りきるまで何度でも、何度でも、な・ん・ど・で・も!特性を使ってやる!!』
トラッシュにエネさえ溜まっていれば最早やりたい放題。
事実、相性の良いポケモンがそこら中にいる。
この2体はHPの許す限り青天井で火力が見込めるのが特徴。サーナイト(アルカナシャイン)は進化元を共有できてリバーサルエネルギーも使える上に取られるサイドは1枚だけ。ザシアンVは素で300以上の打点を出せるHPを持ち、空の封印石と合わせてVSTAR、VMAXを倒してサイド3~4枚取りと決定打になる。では殴り一辺倒かというと、下記のように搦め手もある。
まずクレセリアのムーンライトリバース。なんとデメリットだったはずのダメカンがまとめてこちらに飛んでくる。自身とベンチ5体を合わせると、最大12個。しかもダメージじゃないのでそこらの無効化、軽減が意味を成さない。
そしてミュウツーVUnion。ファイナルバーンの威力もさることながら、サイコプロージョンでダメカンを16個もばら撒いてくる。進化前など非ルールのたねポケモンからしたら、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。
この他にも超ポケモンなら、と無限の可能性があるわけで。それこそガラルフリーザー、ガラルギャロップ、デデンネ、ハカドッグ、ラブトロス、ミュウ、ミュウツー、ジュペッタ、エーフィ、ゴルーグ、クレッフィ、フワンテと枚挙にいとまがない。
さて、ここで疑問となる点。
「でもこれ、大量の超エネルギーをトラッシュに送りつつサーナイトexまで進化してる前提、だよね?そんな毎回都合よくできるの?」
ごもっともな意見である。
どんなに狂った性能でも場に出せなければ、下準備が整わなければやる前に決着。上記で言えば、まずは山札に眠ったラルトスとエネルギーを呼び、そのエネルギーをトラッシュに送り、更に山札を引きまくってパーツを揃えなければならない。
だが、これをサーナイトは全部やってしまったのである。
霧の水晶で序盤にラルトスを、ラルトスが足りてるなら超エネを呼ぶことができる。中盤以降もクレセリア、ザシアンVにと水晶はまず腐ることがない。レベルボールもあるのでラルトス、キルリアへのアクセスは思った以上にしやすい。
また、キルリアに進化できればリファインでガンガン山を掘っていける。要らない適当なカードを、何だったら超エネルギーをトラッシュに送って2ドローできる。おまけに最初に挙げたサーナイト(アルカナシャイン)も特性で更に2ドロー&エネ加速に繋げられるので…
【例】
キルリアAでリファイン→超エネ1枚トラッシュして2ドロー
ラルトスをキルリアBに進化し、リファイン→超エネ1枚トラッシュして2ドロー
キルリアAをサーナイトに進化し、アルカナシャイン→2ドロー(超エネだったら加速)
これだけの動きで、サポートも使わずに超エネ2枚トラッシュして6枚ドロー。何だこれ。
加えて言うなら上記のはあくまで一例。
トラッシュするカードを変えたり、他のグッズを絡めたりで柔軟な動きが出来る。そして超エネが溜まればサーナイトexで加速し放題、となるわけである。
【要するに何がやばいのか?】
〇サイコエンブレイス
これにかかれば文字どおりトラッシュも手札状態。
実質無限エネ加速で攻めの問題は全てこれで解決する。
高打点、ベンチ狙撃、ダメカンばら撒きなんでもござれだ。
〇リファイン、アルカナシャイン
大量ドローのおかげでツツジやナンジャモで手札を流されても全く痛手にならず、パーツ不足になってもすごいつりざおやともだちてちょう等でデッキに戻して引き当てられる。何だったら分岐進化のエルレイド(バディキャッチ)でサポートを確定サーチできるので、もはやデッキも手札状態。
書いてて意味わかんなくなってきた。
恐るべきは、一連の流れを全てサーナイト系列のポケモンだけでやってのけているところ。上では触れなかったが、ラルトスのメモリースキップというワザですらデッキ次第では相手を詰み状態にするだけのポテンシャルがあるし、キルリアもリファインだけでなくミラージュステップの方を使うことで一気にキルリアを並べたりできる。
ミュウにおけるゲノセクト然り、
ルギアにおけるアーケオス然り、
ギラティナにおけるキュワワー然り、
他のポケモン達のお膳立てがあって初めて活きるもの。それはつまり、他のポケモンのせいでぶっ壊れてるのであって、自身の眷属が寄り集まった結果ぶっ壊れてる点において、サーナイトは他のデッキと一線を画するのだ。
【サーナイトに穴はあるのか?】
穴なんて無きがごとく褒めたたえたサーナイトだが、決して無視できない弱点も存在する。
まず、どのやり方にしてもすべて特性ありきなところ。
つまり特性さえ使わせなければ機能停止に持ち込めるので、頂への雪道でサイコエンブレイスを止め、攻め手を潰すのが一番わかりやすい。
ディンルーexを入れたデッキなら、じゅばくのだいちでリファイン、アルカナシャインのほか、グッズを呼び込むミュウ(ふしぎなしっぽ)も封じることができる。とはいえ、相手も対策されるのは百も万も承知で対策の対策をしてくることは想像に難くない。とにかく動きが早いのでいかに展開、攻めで後れを取らないかだ。
では止めるのでなく逆利用なら?
アローラロコンVSTARは正に特性持ち最大のメタと言ってもいい。真っ向から戦えるのはミュウexしかおらず、そもそも入れてないデッキは事実上詰む。ハッサムやアップリューも特性持ちへのカウンターとしては相当な刺さり具合。
また、かがやくゲッコウガもラルトス、キルリアをまとめて倒せる強みがある。たとえマナフィを置かれたとしても、今はキャンセルコロンとベンチ呼び出しを合わせる戦法が増えてきているので一考の余地はあるはずだ。
【終わりに】
2進化デッキ希望の星とも言えるサーナイトだが、あまりにも頭角を現しすぎて仮想敵の前提となり、登場から半年以上経ってもなお衰えを見せない。むしろ強化されてる節まであるものの、あくまでサーナイトを支えているのはEのカード達。次のスタン落ち以後、姿を見せなくなる可能性が高いのが救いか。或いは今後の新カードで生き残るか。
9月の新弾発売が楽しみなところである。