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ルギア(アーケオス)の何がやばいのか

ギラティナの記事がそこそこ好評だったのでまた一つ書いてみた。そのうち「○○がやばい」シリーズとかなりそうである。
前置きはさておき、今回もガチ半分ネタ半分でのカード考察。

いつもどおりデッキの参考、暇つぶし、その他なんか興味あれば読んでもらえると嬉しい。

さて、今回紹介するのはこのカード
【ルギアV】【ルギアVSTAR】【アーケオス】

2022年10月21日発売の拡張パック『パラダイムトリガー』にて登場。Dが使えた前スタンダードにて環境のトップを飾り、現行スタンでも上位を保ち、4月発売予定の新弾勢力にも対抗できる勢力、それが彼らである。ポケカに慣れてない人にもわかりやすいように、改めて解説をしていこうと思う。

それでは、まず各ポケモンの性能をご覧いただきたい。

ルギアV
ルギアVSTAR
アーケオス


なぁにこれぇ?


ぶ っ 壊 れ て る


うん。見ての通り、いろいろ書いてあることがおかしい。
ちょっとしたカードゲーマーなら「いや、駄目だろこれ」と本能的に感じられるレベル。ここからは個別具体的に解説していく。

1 特性で速攻展開

ポケモンカードゲームにおいては通常、進化ポケモンは前提となるたねポケモンを場に出して相手の番を凌ぐ必要があり、つけられるエネルギーも原則手札から1回1枚きりである。また、狙ったポケモンを山札やトラッシュから出したり別口でエネルギーをつけようとしたら、トレーナーズやワザ等を使わなければならない。さて、このカードはというと、

ルギアVSTAR
特性【アッセンブルスター】
自分の番に使える。自分のトラッシュから無色ポケモン(「ルールを持つポケモン」をのぞく)を2枚まで選び、ベンチに出す。[対戦中、自分はVSTARパワーを1回しか使えない。]

特性でポケモンが2匹も湧き出す

まずこの時点で色々とヤバイ。

基本、どんな強力なカードであろうと引き込み、出せなければ意味がない。テキストが同じくらいおかしい《ギラティナVSTAR》や《ミュウツーVUnion》は、場に出して戦えるようになるまでに相応の下準備が整ってなければ本領を発揮できないからこそ「確かにぶっ壊れだけどリスクもそれなりに…」であったし、本来アーケオスも《化石からの2進化》という出しにくさの極みだったからこそ強力な効果が付与されたはずなのだ。
そこにきてルギアVSTARのアッセンブルスター。
場に出せるポケモンはよりによって「無色」かつ「進化ポケモン」も可。無色の2進化ポケモンであるアーケオスと見事なまでにシナジーが揃ってしまっている。リソースを割き、リスクを越えて真っ当に化石から進化するのが馬鹿らしく見えてしまうこと請け合いである。
「ルールを持つポケモンを除く」[対戦中、自分はVSTARパワーを1回しか使えない。]は一応縛りのつもりなのだろうが、事実上この縛りは何ら意味を成していない。出すのはほぼ確実にアーケオスだし、1回でも使えれば十分としか言いようがない。

2 特殊エネルギー使い放題

さて、後回しになったアーケオスの特性を見直してみよう。

アーケオス
特性【プライマルターボ】
自分の番に1回使える。自分の山札から特殊エネルギーを2枚まで選び、自分のポケモン1匹につける。そして山札を切る。

繰り返しになるが、基本エネルギーにしろ特殊エネルギーにしろポケモンにつけられるのは自分の番に1回、手札から1枚が原則。これ以外でつけようとしたら、パッと思いつくだけでも
・運の絡むエレキジェネレータ―(グッズ)
・進化の手間と下準備の要るサイコエンブレイス(サーナイドex)
・基本草エネルギー限定のナタネの活気(サポート)
・進化に加え、ワザ前提かつ3エネ要求のトリニティノヴァ(アルセウスVSTAR)
このとおり、何かしら制約や負担がかかるものである。しかも上記の加速はあくまで基本エネルギーのみ。強力な効果が付随する特殊エネルギーの加速手段は非常に少なく、滅多に見られるものではない。
実質ミュウゲノセクト専用のカミツレのきらめき(サポート)、いちげきエネルギーしか選べないいちげきのほうこう(ヘルガー)、れんげきポケモンにしかつかないダイブレイズ(バシャーモVMAX)ぐらいなものだだろう。

だが、プライマルターボはその特殊エネルギーを山札から直接引き抜ける上につける先の縛りもなく、特性を使ってるだけで全く負担がない。
それどころかプライマルターボで選べる特殊エネルギー自体に縛りがなく、おまけに1回で2枚まで選べるため、特性を使えば使うほど場が整い、山札の質も良くなるという意味不明な状態が発生する。
極端な話、ルギアとアーケオスだけで十分戦える状況を作れると言っても過言ではないのだ。

3 要求エネルギーの有名無実化

プライマルターボによるエネルギー加速は2匹で最大4枚。Wターボエネルギー等の複数個扱いを含めるなら更に多く稼げる。それはすなわち、本来必要なエネルギーが重いことでバランスを保っていた強力なワザを、好きなポケモン、好きなタイミングで使えてしまうことを意味する。
ルギア、アーケオス自体も無色エネルギー3~4個要求とかなりの重さにも関わらず即起動できるほか、バンギラス、イシヘンジン等には一撃専用、れんげきウーラオス、エンペルト等には連撃専用の各エネルギーを回せる。エネルギー個数参照のアヤシシVも加速度的に打点が伸びる。そして最も重要な点。プライマルターボはその場限りでなく「毎ターン」使用が可能なこと。

おわかりだろうか?

基本ルールとしてエネルギーをつける回数に制限のあるこのゲームにおいて、

どんなにエネルギーのタイプ指定が厳しくても
どんなに要求エネルギーの数が重くても

何の負担も無しにワザが即使えて連発も復帰も容易というのは明らかにマズい状態である。

遊戯王で言えば、通常召喚が何度でもできる
デュエマで言えば、バトルゾーンのクリーチャーをマナとして使える
みたいなもの。そりゃあそんなことされたら相手は絶望しかないだろう。

【まとめ】


「プライマルターボ」でつけるのが手札からであればまだ良かった。手札にエネルギーを引き込むには別のカードを使う必要があり、また特殊エネルギーは元々集めるのが難しい種類だからだ。
つけるエネルギーの枚数が1枚であればまだ良かった。最大限活用しても3~4個の要求を満たすには手札からの手張り権(1回)がほぼ必須であり、5個要求を満たそうものなら相当な無理がかかるからだ。
そして、最大の肝となる「アッセンブルスター」。
たとえ無色1個でもワザとしての起動であればまだ良かった。ワザとしての起動、それはつまり殴りかかるには次の番まで待つ他なく、相手には逆転の猶予ができるからだ。
そんな制限などまるで無い、特性起動からの怒涛の流れ。最速2ターン目で戦線完成からのストームダイブ。性質の悪いことにストームダイブ自体にスタジアム除去が内蔵されてるため、特殊エネルギー封じの「シンオウ神殿」も自力で突破できる。なんなら進化前のルギアVも、かぜよみでアーケオスをトラッシュしての3枚ドローという次の布石ができる隙の無さである。

そして信じがたい話だが、これでも以前より弱体化してるということ。
Dが使えた前スタンダードには各タイプ毎の特殊エネルギーが存在しており、
とにかくルギアVSTARに進化されたが最後、

ライコウがいきなり2匹に120を叩き込んでくるわ
カイオーガが問答無用で全員に80ばらまくわ
負け筋のはずのネオラントが殴って山に帰っていくわ
サイド取られてからが本領のリザードンが序盤からかえんばく250出すわ
多色の計5エネというくそ重いイベルタルが一瞬で即死かけてくるわ
打点上げたムーランドが小物食ってサイドを荒稼ぎしてくるわ
ジュラルドンが速攻で要塞化しながらキョダイフンサイかけてくるわ
ルギア自身がベルト込みでストームダイブ330出してくるわ

並のデッキは対抗云々の前に耐えることすらままならず散っていった。

現行スタンダードにおいても活力の壺からの一撃エネ復活とか、ノコッチを出しての弱点無効化とか、新弾におけるおまもりでの耐久アップとか、特殊状態から回復できるエネの存在とか色々とコイツらが強い理由はあるのだが、

もうコイツについて考えたくないのでやめる。

【ルギア(アーケオス)に穴はあるのか】


以前に紹介したギラティナ以上に隙が無さ気なルギア(アーケオス)ではあるが、全くどうしようもないわけではない。ルギアVSTARへの進化を前提としてる以上、最序盤に限っては安全、こいつらに何かされることはまず無い。身も蓋もない話だが、先攻を取れるかどうかで攻略難易度が劇的に変わる。或いは、後攻の初手から殴れる可能性のあるミュウやロストバレット、ミライドンなら五角以上に渡り合える余地があるはずだ。
また、アッセンブルスターありきの構成なので特性を止める頂への雪道がどれだけ刺さるか。そして、構築上事故を起こす可能性が少ないながらあるため、ジャッジマンやナンジャモといった手札干渉は楔になり得るだろう。
そして、耐性を持つジュラルドンVMAXや特殊エネルギーを除去できるイベルタルもまた忘れてはならない。

【終わりに】

なにかと話題になりやすく、新たな特殊エネルギーが出るたび模索されるルギア(アーケオス)。彼らが環境の表舞台から去る日は来るのか、新勢力はどこまで追いやれるのか。これからの展開に期待しようと思う。




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