ミュウ(フュージョン)の何がやばいのか
「○○がやばい」シリーズ第3弾。
先のPJCSマスターリーグで優勝を飾ったのは、Eレギュレーション最後の申し子、ミュウ。既にその強さ等は皆が知るところであるが、ここで改めて記事として紹介をしていきたいと思う。
いつもどおり、ガチ半分ネタ半分でのカード考察。
さて、今回紹介するのはミュウ、というよりカテゴリと言った方がいいかもしれない。すなわち「フュージョン」のカード。代表的なものだけでも、
【ミュウV】【ミュウVMAX】【ゲノセクトV】と枚挙に暇がない。
カードそのものは2021年9月24日発売の拡張パック『フュージョンアーツ』にて登場。なんと、Cが使えた頃のC~Eスタンダードから現在のE~Gスタンダードに至るまで常に環境の上位に居続けている歴戦の猛者である。単純な期間だけなら連撃ウーラオスがより古参だが、ミュウは常に環境の仮想敵として考慮すべき、という点で上回ってると言える。そういう意味ではCレギュ最強格のアルセウス&ディアルガ&パルキアGX、Aレギュ最強格のゾロアークGXに近い立ち位置かもしれない。恐らく彼も、Eレギュがスタン落ちするまで居続けると思われる。
そんなミュウをはじめとするフュージョンの性能を、改めてご覧いただきたい。
中心となるのは、やはりミュウVMAX。
単純な強さも去ることながら、驚くべきはワザの汎用性の高さ。
それはテキストを読めば一目瞭然。
〇クロスフュージョン 無無
自分のベンチの「フュージョン」のポケモンが持っているワザを1つ選び、このワザとして使う。
〇ダイミラクル 超超 130
このワザのダメージは、相手のバトルポケモンにかかっている効果を計算しない。
「フュージョン」のポケモンさえいれば、文字どおり何でも撃てる。無色2個なので適当にエネルギーをつけるだけでよく、Wターボエネルギーなら手貼り1回で済む。後述のダイミラクルは超エネ2個要求だが、ベンチに他のミュウVMAXを立てればクロスフュージョン経由で撃てるので実質縛りは無いに等しい。真っ当にフュージョンエネルギーを2個つけて撃つのも悪くない。そして「フュージョン」の他のワザと言えば、
ミュウV(サイコジャンプ)➡小物を狩れる70に加え、山札に戻れるので受けたダメージを無かったことにできる
ゲノセクトV(テクノバスター)➡反動有りなものの、単純な210打点は普通に脅威
メロエッタ(メロディアスエコー)➡反動無しで最大280。パワータブレット等他に打点アップを重ねればVMAX、2進化exすら一発
コオリッポ(ブロックスライダー)➡最大火力こそ低いが、どこにでも撃てる40~160が弱いはずもなく
オドリドリ(じょうねつのしずく)➡同じくどこにでもばら撒ける、ダメージ耐性すら無視できるダメカン乗せという効果
ラティアス(ダイナバリア)➡今でこそ出番は無いが、環境がVMAX全盛時はこれ一つで詰みになりかねない耐性付与
うむ、強いことしか書いてない。
たとえ耐性持ちを突き出されても、ダイミラクルで突破できるのがまたひどい。ミルタンク(ミラクルボディ)、ミミッキュ(しんぴのまもり)も意に介さず、ヒスイヌメルゴンVSTAR(アイアンローリング)のようなダメージ軽減も論ずるに値しない。とはいえ、準備できれば最強というのは他の環境上位にも言えること。ギラティナは高打点と確定きぜつのワザがあるし、ルギア(アーケオス)、サーナイトだってエネルギーつけ放題という強みがある。問題は、ミュウはその準備が圧倒的に楽ということ。その一端を担っているのがゲノセクトVの特性。
〇フュージョンシステム
自分の番に1回使える。自分の手札の枚数が、自分の場の「フュージョン」のポケモンの数と同じ枚数になるように、山札を引く。
場のポケモンが全部「フュージョン」で埋まってれば最大6枚ドローと驚異的な手札補充を図れる。さて、ここでテキストをもう一度見てほしい。
お気付きだろうか?
(この番、すでに別の「フュージョンシステム」を使っていたなら、この特性は使えない。)
あるべきはずの文言がない。
つまりこのフュージョンシステム、同じ番に2回以上使えるのである。
この類の特性が複数回使えることの問題は、XY時代に出たシェイミEX(セットアップ)の時点で周知のことであり、だからこそ反省としてCレギュに登場したデデンネGX(デデチェンジ)、Dレギュに登場したクロバットV(ナイトアセット)には同じ番に2回使えないという縛りがあったはずなのだ。
事実、シェイミEXはエクストラレギュレーションにおいて『禁止カード』とされている。同じ轍を踏むことは考えにくいので、この縛り削除は敢えて意図して行われた可能性がある。「フュージョン」の中でしか機能しないからいいだろう、としたのかもしれないが、結果はご覧のとおり。
ミュウがやばいというよりゲノセクトがやばいと言った方がいいのかもしれない。やばさに拍車をかけてるのはもう一つ、フュージョンエネルギーの存在。
〇フュージョンエネルギー
このカードは「フュージョン」のポケモンにしかつけられず、「フュージョン」のポケモン以外についているなら、トラッシュする。
このカードは、ポケモンについているかぎり、すべてのタイプのエネルギー1個ぶんとしてはたらき、このカードをつけているポケモンは、相手のポケモンから特性の効果を受けない。
特性の効果を受けない、恐るべき耐性である。これのおかげで対策となるはずの所謂メタカードが機能しなくなるからたまったものではない。
また、通常の手貼りとカミツレのきらめきで一気に3個つくのがとにかく強く、後攻の初手からメロエッタでメロディアスエコー210+パワータブレット30で相手のポケモンVを一発…なんてことも結構な頻度で起こる。
総じて、攻守どころか先攻後攻問わず最強格と言っても過言ではないのがこのミュウ、というか「フュージョン」なわけである。
【『ウッウロボ』という存在】
ミュウを最強たらしめているのは同カテゴリのカードだけではない。
様々な強化はあるものの、頭一つ抜けているのはやはりこのカード。
手札2枚を消費かつ運頼みとはいえ、好きなカードを持ってこれる。
それ自体は非常に強力なのだが、このカードのやばさはそういうことではない。本来、コインを外すのは単に手札2枚を無駄に減らすというデメリットのはずなのだが、
・ベンチが埋まって使えなくなったネストボール、バトルVIPパス等を処分できる
・手札を減らせてるのでむしろフュージョンシステムで引ける数が増える
と、デメリットになっていないのである。たとえコインを外してもフュージョンシステムでキーカードを引ければそれで解決。使われた側はもう頭を抱えるしかない。そもそもウッウロボを採用しなくても十分強く、不採用ならそれはそれで空いた3~4枚の枠を他に回せるということ。トレッキングシューズでも森の封印石でも、どうとでもなるのである。
【まとめ】
各方面の強さは上記のとおりだが、ミュウの異常性はどれほどレギュレーションが変わろうと対策カードが出ようと環境に残り続けたことだろう。
特に対策カードについては露骨にミュウ意識のものを何度も出し、その力を抑えようとした痕跡が窺えるものの…
・グラエナでミュウを潰そうとしたら、出す前に潰された
・ドラピオンで潰そうとしたら、本来ミュウ対策の雪道をミュウ自身が取り込んで封じてきた
・シンオウ神殿で無力化しようとしたら、ゲノセクトでぶん回してロストスイーパーで割られた
・クレッフィ、ミカルゲでゲノセクトを黙らせようとしたら、フュージョンエネルギーでなかったことにされた
と、真っ向から乗り越えてくるのだから恐ろしい。
むしろ新弾で有用なカードが出る度「ミュウのおもちゃが増えた」と皮肉られることも。
【ミュウ(フュージョン)に穴はあるのか】
対策カード自体は豊富にあるし、最高打点を連発しにくいとかエネ破壊に弱いとか山札切れ(LO)を起こしやすいとか穴はそれなりにあるのだが、
いかんせんそれが気にならないくらいにミュウが強い
速攻性だけで言えばドラピオンVが最も良い位置で、空の封印石と合わせればエネ無しでミュウVMAXを一発。サイドも4枚取れるものの、そのミュウだけのために入れるかどうか、が最も課題となるだろう。ミュウのシェア率が3割を超えるようなら大真面目にドラピオンVは入れる意義はある。
【終わりに】
ex主軸の新弾は果たしてミュウを抑えつけるほどになるのか、それともまたミュウの強化になってしまうのか。スタンダードから落ちるその日まで、目が離せないデッキであるのは間違いない。
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