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カードファイト❗️❗️ヴァンガード オリジナルストーリー【双翼のレゾナンス】原稿3
時の奇跡
<午前、自室or寝室のベッドサイド>
「・・・・・この時が来たな・・・行こう」
遂に今日は運命王、レザエルと戦う
この導きが示す一つの終着点だ
結構遠くまで来た気がする
電車で移動する時間が変に長く感じた
さて、ここからもまだ距離がある
確か、この周辺は姉ちゃんの知り合いの家が近かったような
<場面変更、玄関→決戦の舞台>
決戦の舞台に到着した。今までとは雰囲気が違う場所だ
神社って・・・・神様に祈れって事かよ・・・・
生憎と・・・神は信じない質でね
「流石に予想外だったな・・・・」
※姉登場
<夢の中>
ユイカとの対戦後、夢の中でリィエルに聞いた
ボク達の出会いの事、戦いの真実について
相棒の・・・リィエルの目的について
でも、リィエル自身も出会いについては
その前提条件を知ってはいたが、今回は
理由が不明だったから黙っていたという
そして戦いの真実については、レザエルの所に
ボクを連れていき、この歪な戦いを彼の勝利で終わらせることが
【本当の目的だった】という。けれど、リィエルはボクにこう言った
「この世界はレザエルによって救われたものとして」
「未来を繋いでいかなければならない」
「お別れの日・・・・私はそう思っていた」
「けれど・・・、同時に願ってしまった・・・・」
「嫌だ・・・消えたくない・・・一緒にいたいと」
「貴方に願いがあるように、私にも願いがあったの」
「こうして会えて、もう十分だと思っていたのに・・・なのに・・・」
「より一層、強く望むようになってしまった」
「貴方と一緒に生きていたいと・・・ずっと・・・ずっと」
それはまるで、ボクを昔から知っていて、傍に居たような人が抱く感情の様だった
お別れの日・・・ボクは彼女の前から消えたことは無い・・・・
消えたのは彼女のハズだった・・・でも、それはリィエルではなく、リルであって
「・・・・貴方が運命王に勝つ確率を少しでも上げる為に」
「多くの強敵を乗り越える試練を計画した・・・」
それじゃあ・・・この戦いは、最初から彼女が仕組んだものだと?
でも、力を集めないと願いを叶えられないハズだ
・・・・・いや、今は聞くんだ・・・・詮索や推測で邪魔をするな。
彼女の言葉を受け止めるんだ・・・・
「本当は運命力も宿命力も必要無い!」
「レザエルの奇跡と、レヴィドラスの無限の可能性の力だけで良い!」
「今存在する運命者や宿命者の力は、ただの残り火にも等しい」
「小さな火をいくら集めても・・・大火には・・・願いを叶えられないの・・・」
「・・・・・でも、そんな事、どうでも良かった・・・」
「少しでも長く・・・貴方との時間を過ごしたかった!」
「だから、怪しまれないよう、無作為な間隔で、運命者と宿命者に宣戦布告をした」
「レヴィドラスがやった、他人の夢に入り込む力を利用してね」
「・・・これが、すべて・・・自分の願いの為に」
「貴方を・・・貴方の想いを利用した・・・最低・・・だよね」
いつしか、ボクは彼女の前で泣いた・・・
でも、今度はリィエルが泣きそうな表情で真実を語っている
不思議と裏切られたような感情は無かった、その変わりに
1つの確証を得てしまった・・・・なんで、気付かなかったんだろう
「・・・・・・リル?」
「あ・・・・あぁ・・・ごめん・・・なさい」
リィエルが顔を伏せてしまった・・・多分、涙を必死に堪えているんだろう
騙した、なんで最初から言わなかった、それでよく願いを叶えるなんて言えたな
・・・罵倒なんていくらでも出来る、でもボクはそうしなかった・・・
「・・・・ボクの目線と、同じ背丈になってくれないか?」
「・・・・・・・・・・・・」
彼女は無言で頷き、人間とそう変わらないサイズになってくれた
彼女にも想いがあった、多くの戦いを経験し、誰のためにここまで来た
なんだって構わない、願いに向かうこと自体は、間違っていないのだから
(SE:抱きしめる)
「・・・・・・ずっと居てくれて、ありがとう・・・」
「ーーーーーッ!」
(SE:抱きしめる)
いつしかの逆だ・・・今はボクがリィエルを抱きしめている
そして、感謝を伝えた瞬間、彼女がボクを抱きしめると同時に
全体重を使って倒れこんできた・・・・背中を強打したけど
幸い夢の中だ、全然痛みが無い・・・都合がいいな、色々と
「君の本当の名前・・・リィエルっていうんだな」
「うん・・・」
「また会えて・・・嬉しい・・・やっと見つけた」
「あ、・・・・そうだ、ボクの本当の名前・・・」
どのくらい時間が経っただろう、お互いに落ち着いたから
身体を離して、話を戻そうと提案した・・・
「でも、謎がまだ残ったままだ」
「ケテルの運命者か宿命者を得るはずの貴方が、私と出会ってしまった事?」
「あぁ、リィエルが願ったというのもあるとして」
「そう簡単に前提が覆せるのか?それともう一つ」
「なんでリィエルが人間として、ボクと出会ってしまったかが引っかかる・・・」
「確かに・・・あの時の私は記憶を失っていた・・・それも妙だわ」
「仮だがレザエルの勝利、本来の宿命者の数、ここまでなら世界側の辻褄が合う」
「多分、最後のピースが・・・・ボク自身だ」
「でも、貴方がケテルサンクチュアリの宿命者か運命者を得ていない」
「そして、きっとボクは宿命者側の人間じゃ無い」
もし自分がケテルサンクチュアリの宿命者を得る人間なら、オールデンと戦った時に何かの変化や
違和感に気づいても良いはずだ。でも、ユイカが教えてくれた事も相まって、導き出される結論は・・・
「貴方と同じように本来得るはずのない運命者を得た人が居たんじゃない?」
と今リィエルが言った通りだろう。ボクと同じ境遇の人間が、力を束ねる戦いの段階で存在した
恐らくその人が、運命王の・・・・いや奇跡の所有者なのだろう
「貴方が本来の奇跡の所有者なら、私と戦う事になるかもね」
※「そうなったら、全力で戦ってくれ」
※「わかった・・・もうこれ以上、こんな戦いをしないためにも」
※「それもあるけど、また世界が辻褄を合わせる事に躍起になって」
※「訳分らん事をするかもしれない・・・それじゃあ、意味ないよ」
レザエルの所有者がデッキを渡すという保証は無いが、可能性の話だ。
夢の中でレザエルから話が出ていても不思議じゃない。
※レヴィドラスのようにボクの夢に現れないことも、何かしら目的があるとも取れる
「そうかもな。でも、レザエルで戦う事になっても」
「ボクは願いを叶える事を諦めない」
※「・・・・・えっ?」
※「あ、いや、正確には変わっているんだけど、本質は変わってないというか」
※「なにそれ?ハッキリ言って」
※「・・・・リィエルと、一緒に生きていたいという願いを叶えたいんだ・・・」
※「ほら、これなら、文章が変わっても本質は同じだろ?」
「君と一緒に生きていきたい」
「これが、今のボクの願いだ」
そう、最初から奪われても無かったんだ
でもカードと人間、同じようには暮らせない・・・
だからこそ、真に望む、叶えたい願いだと、強く想える
その為に、奇跡が必要なら・・・・手を伸ばしたい
※戦う必要も、本当にあるかどうか、それはボクが確かめる
※運命王は敵なのか、何故こんな事が起きたのか
※全てを知る為に会いに行くんだ・・・救世主たる奇跡に
「私も、貴方と一緒に生きていきたい」
「えっと・・・両想い・・・・かな?」
「そう・・・だね。両想い・・・・ね」
しばらくの間、沈黙が空間を支配した・・・
けれど、どちらからともなく繋がれた手は
目覚める時まで、離れる事は無かった
※・・・・その後の事は・・・・夢から覚めた時のように朧気で
※ハッキリと覚えていない・・・・でも、決戦への覚悟は確かにあった
<決戦の舞台>
「今思うと、宿命王は見抜いていたのかもしれない・・・」
「動けない自分ではなく、動く理由がある者にレザエルと接触させる機会を作らせ」
「その戦いでレザエルが勝利する事で、辻褄を合わせる気だった」
今までの対戦の事、夢の中での会話の重要部分を手短に話す
※どんな事をしてきたか、姉ちゃんには知っていて欲しかった
「そしてリィエルの宿命力は、宿命王の力ごとレザエルに吸収され、完全な王の力が2つ完成する」
「宿命者同士で力の受け渡しが可能なように、同じ王なのだから」
「戦いが終わった後にでも、レザエルはレヴィドラスに力を返す」
レヴィドラスは宿命者側でありながら、世界の事を重視したのだろう
※中立で居たいなら干渉はしないハズだ。でも、敢えてボクらを使った
※いや、所有者の事を考えたのかもしれないが、
無限の真意は分からない
「これが、ボクとリィエルの辿り着いた答えだ」
※「・・・・そう、辿り着いていたのね。さっすが、私の弟だわ」
姉ちゃんはただ感心した様に話しを聞いていた。昔から聞き上手だったな
でも、最後の対戦相手が姉ちゃんなのも違和感がある。ケテルサンクチュアリ
使ってたかな・・・と、自分に似た境遇を覚えてしまう
※「姉ちゃんがレザエルの所有者だったなんてな」
「私、レザエルの本来の所有者じゃないよ。偶然そうなっただけ」
「前提も合わないし、変だと思ってたけど・・・」
「理由を知る為と私の願いの為に、力を束ねる戦いを勝ち抜いた」
「王になった時に教えてくれよ・・・変な運目に巻き込まれたんだ」
「私たち姉弟はね」
※リィエルとボクの推理は正しかったかもしれない。姉ちゃんはケテルサンクチュアリを
※メインで使うことは無い。ソウルをやりくりするのが得意なのだから・・・・
※「ボクは・・・運命王が許せなかった・・・」
※「リルちゃんの事ね、私もそんな結果になるなんて思わなかった」
※ボクは真実に近づいている感覚を覚えながらも、あの日の事を問わなくてはいけない
※まだ、知らないことがあるはずなのだから
※「詳しく聞かせて」
「私が力を束ねる戦いでの願い、それはリルちゃんの記憶を戻す事」
「もし、事故や精神的なものだったら、癒しの奇跡で治せるかなって」
「でも、リルちゃんは、時の宿命者で、人間じゃなかった・・・」
※「私の願いを叶えた事で、リルちゃんの記憶が戻ると同時に・・・」
「運命王は世界を救ったけど、宿命者の存在まで把握できなかったらしいよ」
「世界が違ったとか・・・言ってたかな」
「まぁ、御伽噺の事もここから交えて詳しく話すから」
※「その時、リルちゃんは消えて、リィエルとして世界に現れたんだよ」
※「やっぱ、私が・・・レザエルが許せない?」
※「昔のボクなら、許せなかっただろうな・・・でも今は違う」
※「リルちゃん・・・あ、リィエルから聞いたんだっけ?」
※「あぁ、奇跡の光に焼かれたと思って、運命王を憎んでいたけど」
※「真実を知ったら、一概に運命王が悪かった訳じゃないって思える」
「そう・・・・大人になったね・・・」
※「姉ちゃん、でもなんで運命と宿命がごちゃごちゃに?」
※「前提条件だの、色々とおかしくないか?」
※どんな結果だったにせよ、純粋に姉ちゃんがリル・・・リィエルの事を
※心配して、行動してくれていたことが嬉しかった。
※そして、ここからは、リィエルとの出会いの謎を解かないといけない
※「それ、多分アンタも知ってると思うけど、聖竜と邪竜の戦いが原因ね」
※「あの御伽噺の?」
「聖竜と邪竜は、相討ちとなって地上に墜落した」
「聖竜の墜落先は私、そして邪竜の墜落先はアンタってことらしいよ」
「・・・・それで?」
「運命者は聖竜のエネルギーから生まれ、宿命者は邪竜のエネルギーから生まれた」
「アンタは邪竜とぶつかったことで、運命者を得るはずだった前提が反転し」
「宿命者側の人間になった。私は反対に聖竜とぶつかり、無かった前提条件が出来てしまった」
「世界が分断された後、私たち家族は運命者側の世界に存在していた」
「でも、アンタは運命者しか現れないハズの世界に、宿命者の前提を持ち込んでいる事になっていた」
「しかも反転の影響で、光のケテルサンクチュアリから、闇のダークステイツに前提も書き換わっていた」
「・・・なるほど、それで世界自体がバグを引き起こし、リィエルは人間としてボクと出会ったと」
「元データが別のソフトウェアで起動すると、文字化けや破損して消えちゃう様に、記憶喪失はそれが原因だったんだろうね」
「これで、謎は全部解けたっと・・・まったく、偶然が重なって」
※「もはや運命なのか、宿命なのか分からんな」
※「ほんと・・・そうだね」
人が観測できない領域、裏世界と表世界の関係が
こうも関連するなんて、不思議なものだ
姉ちゃんがデッキを差し出しながら、ボクに問う
「・・・・どうする?アンタ、レザエルを手に取る?」
そう、これは最後の選択でもある。あの日から奇跡を倒すために
運命王から奪う為に戦ってきた。でも、本当に悪いのは誰でも無くて
ただ、そういう事が起きてしまったという事実があるだけ・・・
今までの対戦相手への贖罪もしなければいけない・・・・
でも、ボク1人が裁かれれば済む問題じゃなかった。
知らなかったから、世界がそうだったから・・・・いや、そうじゃない
全てを知ったボクに出来る事が、ここにあるんだから
※「本当は・・・リィエルと最後まで戦いたかったけど」
「これが、本来の運命であって、対峙すべき宿命が、ボク達の願いに繋がるなら」
「出来る事をするだけだ!」
※姉ちゃんの手から、デッキを受け取る。これ以上、世界が歪な戦いを繰り返さないように
※そして、運命の先へ手を伸ばす為にも
「運命王に、新たな効果が追加された!?」
「いや違う、本来の所有者が戻って、王の力が最大に発揮できるってことか!」
「・・・・・あ、でも対戦相手が・・・・」
「お姉ちゃんに任せなさい!」
※「いや、姉ちゃんは宿命者側じゃないだろ・・・」
「これでもダークステイツのエキスパートなんだから」
「あと、前提条件ってあくまで出会いに関するもので」
「使用権限は、所有者に一任するって事らしいよ」
※「そ、そうなのか・・・・」
「あ、リィエルにはレヴィドラスの無限の可能性の力があるんだよね?」
「それを使って、私の身体を操作するのはどう?逆ライドってやつ?」
「えっと・・・ひとまず姉ちゃんに、リィエルを譲渡するぞ?」
(SE:効果音)
(以降、リィエルのCV)
「ありがとう・・・・ノゾミお姉さん・・・、少しお借りしますね」
「・・・・・はい、驚かせてごめんなさい、出来ちゃいました」
「あ、大丈夫よ。心の中で会話して、了承は得たから」
一気に姉ちゃんの雰囲気が変わった。声はリィエルそのものだ
ボクは覚悟を持って、想い人が乗り移った姉を見る
「リィエル・・・本当に、こうなってしまったね」
「ええ・・・でも、これで後は戦うのみ」
「ボク達の願い・・・いや、想いは同じだ」
「だからこそ、より強いものが先導する戦いを今ここに!」
「運命をこの手に!」
「宿命に決着を!」
「「ディバイン!!」」
(いつもと違う特殊空間、スリーブの紋章化)
「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」
「やっぱり、強いね」
これが・・・・レザエル・・・ボクの運命者・・・
使いこなせた・・・・と思う
デッキを持った瞬間、頭にイメージが流れ込んできた
本来の運命による、導きというものだろうか
※「リィエル・・・ボクの勝ちだ、宿命王とすべての力を・・・」
※「ええ・・・」
(レザエル降臨)
「本来の所有者よ・・・感謝する。これで、世界は真の意味で元に戻る」
「レザエル・・・ボクの願いは・・・許されないか?」
「・・・・・生命の誕生は、私とて容易ではない」
「そうか・・・・」
「そして、世界が辻褄を合わせる為には、もう一つ必要な事がある」
「まだあるのかよ」
「運命力と宿命力は束ねられ、王の力となって全て世界の均衡の為に存在し続けるもの」
「だが、君たちが回収してきた残り火の様な力は、残留してはならないものでもある」
「それらに火を着け、使いきることも必要だ・・・過剰な力はいつしか争いを生むだろう」
知らず知らずに世界から争いの火種を摘んでいたとでも言いたい感じだ
だが、実際、人は何かしらで間違える生き物だ。もし、残り火の力を使う
なんて画策する奴が現れないとも限らない、力とは魅力的だからこそだ
「故に、残りの運命力と宿命力、更には私個人の力で、君の願いを叶えられるよう全力を尽くす」
「王の力に影響は?」
「無い。・・・これは、世界を統合する瞬間まで気づけなかった、せめてもの罪滅ぼしだ」
「気づきようが無いだろ・・・もう終わった事だよ・・・」
「・・・・・そうか、ならば、願いを聞こう」
「ボクは・・・・リィエルと一緒に生きていたい!!」
「私も・・・・それを願うよ」
<場面変更、雪の降る道>
その日から、どのくらい時が過ぎただろうか
いや、まだ1年も経過していないのに、リィエルが居なくて
寂しいのだろうな・・・・願いは叶ったかどうか分からない
夢でレザエルと話すことは出来なかった。多分だけど・・・
もう二度と話せないんだろうな・・・・他の所有者達も
でも、レザエルを憎いと思わなかった。寧ろ、最強のデッキが誕生して
驚いているまである。チームってのにも誘われたぐらいだし・・・・
デッキを見ていると「奇跡を信じろ」と言われているみたいで
自然と負の感情が出ても、それは氷が解けるように消えていく
「爺さんになるまで、叶わなかったら、小言くらい言わせろよな」
雪が降ってきた。今日は寒かったけど、近くに用があったから傘なんて
持っていない。いや、持つのが面倒だったまであるかな
確か、リル・・・もといリィエルと出会ったのもこんな雪の日だった
やっぱ寒いな・・・もう帰ろう・・・傘・・・持ってくれば良かったな
「大丈夫?傘貸してあげようか?」
「やっと見つけた・・・・私は、リル」
「あ、これ本名じゃあ無いんだ。渾名ってやつ?」
「本当の名前は、リィエル」
「貴方の名前・・・・教えて」
「貴方の・・・・本当の名前を・・・もう一度・・・」
「ボクはセーウチ・・・本当の名前は・・・」
「志導セイギ」(シドウ セイギ)
END