ピアノ未経験が英雄ポロネーズを練習して感じたこと
私は大人になってから英雄ポロネーズの演奏動画を見た時、自分もこんなふうに弾いてみたいと思った。
子どもの頃に英雄ポロネーズは何度も聞いたことはあったが、弾きたいとは思わなかった。何事にも始めたきっかけがあると思う。時期が来れば挑戦したくなることもある。
小学生の時に「ねこふんじゃった」を弾いている友人を見て、「すごい」と驚いたことをいまだに記憶している。両手で弾き、手を交差までさせていた。
当時の私は、右手で「かえるのうた」や「チューリップ」も弾けない。そのくらい下手というか、何も練習していなかった。
今では動画のように演奏できるまでにはなった(参考として投稿)。ただ、上手だとは思えないし、人前で弾くことなど考えられない。
https://youtube.com/shorts/4G4J1N9uUos
元々、ピアノどころか楽器の演奏は何もできなかった。(未だに)楽譜は読めず、音感もない。だが、誰かに教わることは考えなかった。
既に動画がお手本であり、ゴールだったからだ。習うより慣れろ、独学で限界を感じればその時に教わればいい、そう思っていた。まだ限界を感じていないため、今もその考えは変わっていない。
もちろん課題は多く、自分のミスやできていないところはよく分かっている。たとえお手本のようにできなくても、一生涯続けられる趣味として、少しでも近づければいいと思っている。
この記事では大人になってからでも、独学でも練習すれば上達するということを伝えたい。
そして、独学を通じて感じたこと、学んだことを共有したいと思う。私の演奏を聴いて興味を持ってくれたのであれば、長い文章になるがお付き合いいただきたい。
ただ、経験者には役立つ内容ではないことを先に断っておきたい。
ピアノ練習に向けて初めにしたこと
私は最初から「英雄ポロネーズ」を弾くことにした。動画の演奏をゴールとしたことで正解を探すのではなく、正解に近づく練習だから、さまようこともない。
まずは電子ピアノを購入し、楽譜を探した。ネットからダウンロードして最初に思ったのは、音符が非常に多いということだ。
それまで小学校の教科書にある楽譜しかほとんど見ていなかったため、ある意味新鮮だった。
音符の多さに怖気づくことなく、印刷を始める。もし楽譜(や動画)を見て嫌になったのであれば、まだその曲に挑戦する時期ではないのかもしれない。
・楽譜URL:https://chopinfreemusicsheet.web.fc2.com/score/plonezy.htm
・動画URL:https://www.youtube.com/watch?v=ou6R0BUYsuk
https://www.youtube.com/watch?v=p_iI1J0bALE
楽譜にあるト音記号の5本線の真ん中が「シ」であると知っているので、1つずつ数えていく。和音が多く、特定の音にフラットを付けるなど数えるだけ大変だ。
さらに、楽譜を読める自信がないため、合っているのかも分からない。楽譜の余白にドレミファソラシで音名を書き、まずは3ページ分を記載した。
そして、楽譜にそって音を鳴らせば、動画で聴いた音との違いが分かることが多く、そこで答え合わせをしていった。音感がないと実に地道な作業である。
英雄ポロネーズの楽譜にドレミを手書きする人は普通いないだろう。そもそも楽譜を読めない人が手を出す曲ではないからだ。
しかし、今は楽譜が読めなくても、どの音を順番に鳴らせばいいのか動画やアプリで簡単に分かるので大変始めやすくなっている。
当時の私はそこまで探せていなかった。まずは楽譜からという先入観があったからだ。ちなみに今は動画がメインで、楽譜は確認程度でほとんど使用していない。
楽譜を読めるようになりたい場合は、レッスンを受けるか、教本を買ってこなしていくのが一番だと思っている。
楽譜にドレミを手書きすることなく、音符を見て、どの音であるかを瞬時に判断し、ブラインドタッチできるようになるまで繰り返し練習することだと思う。
これができれば簡単な曲なら即興できるだろう。様々な曲を弾けるようになりたい人にとって、楽譜を読めること(もしくは耳コピ)が必須ともいえる。
私は楽譜を読めたり耳コピできない限り、いつまでも「ピアノが弾ける」と自信を持って言えないだろう。もし聞かれたら「ピアノは弾けないが、音なら出せる」と言うつもりだ。
難易度はテンポでほぼ決定している
ピアノ未経験がいきなり難曲に挑戦することを無謀だと感じる人は多い。私も無謀だと感じるが、難曲だからできないとは思っていない。
ピアノ曲において、難易度を決定づけるのはテンポである。楽譜の音符通りに弾く前提とすれば、「初級と上級で難易度が変わるわけではない」が私の考えである。
難曲と言っても初級より音符が多く、鍵盤を使う範囲が広いか、素早く押すか、跳躍が多いかである。
ピアノの鍵盤の数は88鍵だが、仮に88鍵を同時に鳴らす楽譜があったとしよう。一人の人間の指では同時に押すことはできない。
一度に押せない(指が届かない)場合、音を1つずつばらして弾く。アルペジオを意識するなら、左端から右端へ押していくが、どの指で押しても構わない。押し方は自由だ。
しかし、この楽譜が1秒ごとに88鍵を同時に押すとなればどうだろうか。腕や足を使わない限り、一人では演奏不可能である。
ただ、楽譜を1分ごと、2分ごとなどゆっくりにしたらどうだろう。多くの人でも弾くことができるようになるはずだ。
難易度とは、楽譜に定められたテンポに合わせて弾くことが難しいという意味でしかないと思っている。
そのため、初級の曲でも相当早いテンポの演奏を求められれば、それは超絶技巧となる。音符が少ないものでも、時間を圧縮すれば途端に難しい楽譜になるイメージだ。
難曲も時間をかければ誰でも弾けるのである。(厳密には音を楽譜通りに鳴らせただけでは、曲を弾けていないと判断されるケースは多い)
つまり、「テンポ通りに鍵盤を押すことが難しい=難曲」というわけだ。もちろん、他の音楽表現も考慮すべきだが、ここでは便宜上、割愛する。
例えば、1つのドしか押さない曲があるとしよう。1秒間に7回押すことを5分続ける楽譜なら、もはや難曲だ。これがテンポによって難易度が変わると考える理由である。
1音ずつ弾く場合、どんな難曲も初級と変わらない。難曲だからと尻込みも、諦めることもしなくていい。ピアニストでも難曲を初見で楽譜通りに演奏できる人は滅多にいないだろう。
最初はゆっくり練習する。最初から楽譜のテンポより速く練習する人はいない。なぜなら、ゆっくりにすればどんな難曲でも初級レベルの曲になるとわかっているからだ。逆もしかりだ。
曲を弾くためには技術がいる
いくら時間をかけてもいい場合、両手の指1本ずつで全ての曲を演奏できる。
しかし、楽譜にはテンポがあり、その速さ(短い時間)で弾くためには技術が必要になる。そこで、鍵盤を押すために複数の指を使う。
これにより速く弾けるし、片手で複数の鍵盤を同時に押すこともできる。さらに、指を休ませることもできて、長時間の演奏が可能となる。
当たり前のことだが、分解して考えればこれも技法の1つである。速く楽に押すために頭を使うのだ。
次に、どの指で鍵盤を押すべきかという指番号を意識する必要が出てくる。ドレミファソラシドを1つずつ押していく場合、全て親指で押すと時間がかかる。
また、右手で弾く場合、小指で「ド」を押すと右隣の「レ」を弾くには、小指を避けて他の指を移動させる必要があるため効率が悪い。楽に押せる状態がベストである。
つまり、動きが最小限であることが望ましい。どの指が押しやすいか、次の動作に移りやすいか、どれが速く無理なくできるかを考える。
指番号が合理的ではない、もしくは自分に合っていない場合、いくら練習しても速く弾けない場面が出てくる。テンポ通りの速さで弾けない場合は修正する必要があるため、指番号は非常に重要である。このためだけに、多くの動画を観察した。
最初から難曲に挑戦するとデメリットはあるか
いきなり難曲を弾こうとしてもケガをするわけではない。楽譜のテンポ通りに指が動かないことが分かるだけで、何も心配もする必要はない。難曲を弾きたい人を止めさせる理由にもならないと思う。
ピアノの鍵盤を思い切り叩けばケガをするかもしれないが、それは日常生活でも壁を思い切り殴らないのと同じで、まずしない。
ケガをするのは難曲とは関係なく、体の使い方ができていないか、酷使した場合だろう。
初級の曲から順番に基礎を身につけていくことが望ましいが、逆に弾きたい曲が遠く感じられるとモチベーションが下がることもあるだろう。
難曲であっても、できる範囲で弾いていいはずだ。発表会などでは完奏が当たり前なのかもしれないが、私は趣味であるため、弾きたいところだけを弾いている。
できなくて当たり前、上達を実感できればいい
多くの人が歩いて生活できているが、それは練習したからだ。最初から不自由なく歩けた人はいないだろう。
何度かつまづいて転んだ時に「自分には歩く才能なんてない。一生歩けない」と歩くことを諦めたら、歩いている人は一握りだっただろう。
何度でも挑戦する、できなくて当たり前。それを理解していないと挫折する。
挫折する理由は、単純に自己への期待が大きいのだ。難曲を最初にすると挫折したり、ピアノ自体を諦めたりしやすいことは決してない。
自分に期待しすぎなだけだ。最初から弾けなくて当たり前と思っている意欲ある人に挫折などあるだろうか。
私は英雄ポロネーズの最初の音を自分で出しただけで、感動したものである。いつも聞いていた音を、自分でも押せば同じ音が出た、それが嬉しかった。そんなの簡単で何も思わない人は、そもそも期待し過ぎである。
仕事が忙しいなどの環境の変化でピアノを数年さわらないことがあっても、辞めようと思ったことはない。
英雄ポロネーズをゆっくり弾けるようになってきた今でも、右手で「かえるの歌」「チューリップ」をミスなく弾けた時は「よし!やった!」と喜ぶのだ。このくらい下手だと何をやっても面白い。
うまく弾けないところが分かってから、基礎練習するのも必ずしも悪いことではない。私は基礎練習をほとんどしていないが、曲を弾くこと自体が基礎練習にもなるというつもりでいる。
聞き覚えのある指の練習をしていた時もあるが、それが後でハノン1番だったことが分かった時は驚いた。後から気付くことは独学だとよくあることだと思う。
根気があるなら遠回りも大切である。辛くもあるが、より成長する期待感もある。
私は、才能は「伸びしろ」だと思っている。できることをすべてやり続けてもこれ以上の上達がない、これが才能という限界だと思う。私は人生でそこまで努力したことはない。
そのため、才能を知っている人に対しては、限界まで自分を追い込んだ人なのだと尊敬する。私は上達が早いことを才能だとは思っていない。だから少しずつでも上達できれば、それでいい。
ピアノを弾く姿勢や弾き方の身につけ方
ピアノを弾く姿勢ができていない人は多いようだ。ピアノ経験者は音を聞かなくても、指・手首・腕の動き、などから独学者や初心者であることを見抜いている感じがする。
私はYoutube動画にあるピアニストの動きを参考にした。演奏者が仮に自分だと想像した時、こういう身体の使い方をすればいいのかと理解できた。もちろん、まだまだ改善点はある。
参考になったことを一部記載する。
ピアニストの演奏では鍵盤を叩いた後、手が顔くらいの高さまで上がることがある。この動きに注目する。パフォーマンスもあるかもしれないが、腕の力で上げているわけではない。
この動きを見て、どこをどう使えばその動きを再現できるかが分かるなら問題ない。しかし、分からない場合は以下のように考えていくこともできる。
まず、手をテーブルに叩きつけても手が顔の高さまで上がってくることはない。
怒ってテーブルを手で叩いている人をイメージすると分かりやすいが、その人の手が顔にぶつかっているだろうか。そんなことはない。大きな音とともに、手はテーブルの上にあるはずだ。
そのように鍵盤をバンバン叩いたところで指や手首を痛めるばかりか、音の強弱を付けることさえ難しくなる。
では、手首・腕・肩の力や重さを使わずに、どうすれば顔の高さまで手を上げることができるのか。
答えは指をバネのようにしならせながら瞬間的に力を入れて上昇させるのだ。これは私たちがジャンプする際の動きに似ている。ジャンプする際、地面に足が着いた状態から、かがんで飛び跳ねる。
指も鍵盤に付けた状態で、指を足に見立ててジャンプさせるわけだ。よって、鍵盤を叩く時、既に指が鍵盤につけている状態が望ましいことも分かるはずだ。
初心者は音の強弱ができていないと言われるが、これにより強い音を出せるようになる。さらに腕や上半身の重さを加えればより手を高く上げられる。頭より上に上げられるはずだ。バンザイまでできれば完璧だ。
最初はテーブルに指を付けて、その場で何度も手をジャンプさせる練習をすればいい。その際にテーブルをバンバン叩いてはいけない。音はたいして鳴らないはずだ。
例えば、非常ボタンを強く押す、と記載があっても、殴るように押す人はいないだろう。普通はボタンに指を付けた状態で押し込むはずだ。鍵盤も一緒で「叩く」というより「瞬間的に押し込む」の表現が近い。
単純に押すという表現では軽く単調な音になってしまう。瞬間的に強く押し込んだり、弱く押し込むことで強弱を付けるのである。1つの音には、指で鍵盤を押す強さ、押す長さ、離す速さの3つが関係していると思う。
基本は指で弾くが、より力を加えたい場合、手首にも力を入れることが必要になる。
なぜなら、腕や肩、体重を利用して指に力を加える場合、手首に力が入っていないと手首がクシャッとなって力が抜けてしまうからだ。
手首の他の扱い方として、鍵盤と手が垂直になるようにする、手首をひねって指を届きやすくするために使うこともある。
他にも、手首を使って指の位置を動かして鍵盤を押すのではなく、指の付け根を動かして押していることも分かる。
また、ピアニストの真似をすれば、手首や肘が上下に動かすことがほとんどないことにも気付く。
指を速く動かせないから速く弾けないのは正しい。しかし、腕を使用して、テンポ通りに手の位置を指定の鍵盤の上に持ってくることは簡単なはずだ。
指は鍵盤を押さず上下にパタパタしているだけでもいい。鍵盤の上に手を浮かすようにして、手を水平方向に左右へ高速に動かしてみる。
実際に高速で腕を動かすことをすれば、自分でも気付くのではないだろうか。エアギターならぬ、エアピアノである。
難曲であれば、両手を近づけたり遠ざけたり、または両手を左右へ同時に動かしたり、を高速に行っている。
その際に、手首が上下に動いたり、肘が上下に動いたりするだろうか。実践すると、手首が上がるのも、肘が上がるのも体の負担が大きく、弾く姿勢として正しくないと体で理解できる。
格好が良い動きは無駄がなく、脱力がうまくできているものである。つまり、速く動くことも無駄を見つけるヒントになる。
これらを演奏者の動きを見て、観察するのである。私の場合はじっくりと観察したわけではなく、上記は説明として記載しただけで訓練したわけではないが、体の動き方を見て自然と上記のことは概ね把握できた。
本に記載されているような内容かもしれないが、私は本を読んでいないため分からない。
もし私のピアノの弾き方が素人っぽくないと思った人がいれば、演奏者の体の使い方を真似して実践しているからだと言える。まずは手本の真似をする、これは他の分野でも通用する上達のコツである。
音楽としての表現力をどう考えるか
私は音楽理論のことは分かっていない。作曲者の背景や意図を理解して演奏するのが良いとされているが、私はその点に疑問もあった。
作曲者の意図を完全に把握した演奏者がいたとしよう。完璧に弾いたところで全ての聴衆が満足するわけではない。
確実に好みで分かれるところがあるのだ。これは食べ物でも同じで、誰が食べてもおいしいというものがないのと似ている。もちろん、おいしいと思う人が多いなど偏りはある。
演奏の表現力にしても、既に演奏者が楽譜を読み解いて、それを音にしたものであるから、同じように弾けば、結果も同じになるのではないだろうか。と安易に考えたくもなる。
録音した音源を聴いても表現力が伝わるのであれば、必ずしも直に演奏を聴かなければ全く伝わらないわけではないと言える。
深みがないと言われればそれまでだが、プロになりたいなら表現力を身につける必要はあるが、趣味では大きく求められるとは思えない。
演奏には表現者と模倣者に分かれると考える。表現者は作曲や、自分の強みを活かした演奏をする人などである。プロとしては表現者の方が良いだろう。
模倣者はあくまで他人の動作や演奏の仕方を真似ることをする。私は英雄ポロネーズの演奏を真似したいので、模倣者である。
プロになりたい場合、自分の強みをつくらないといけない。表現力が足りないのであれば、機械が演奏した音楽の方がいいとなってしまう。
アマチュアや機械には真似できない、聴衆を感動させる何かがないといけない。感情を動かすために音の強弱や緩急、リズムも必要というわけだ。
練習せずに忘れても、経験は残っている
ピアノは同じ曲を何度も演奏する。楽譜が後で変わることはないからだ。時代や聴衆によって演奏を変えるわけでもない。
音を覚えている限り、指が動く限り、その曲は一生演奏できるわけだが、長く練習していないと忘れることがある。その経験について話をする。
英雄ポロネーズを練習し始めて約3か月後から、1年ほど練習しなかった時期がある。そして、再開する時には最初の音以外、全ての音とどの指で押すのか、きれいさっぱり忘れたのだ。
しかし、練習すれば前回と同じところまで進むのにかかった時間は1ヶ月半と、2倍の早さで進むことができた。つまり上達が早かったのだ。それで前回よりも先へ進めることができた。
それから半年ほど練習した後、次は2~3年練習しなかった。ではその時はどうだったのか。1割程度は覚えていた。よく練習していたところほど記憶していた(指が覚えている感じもある)。
次の再開でも、前回よりも元の状態に戻るまでの時間は短く済んだ。つまり、何度忘れても、練習した分だけ元の状態に戻りやすくなっていたのだ。
その後も2か月以上練習しないことはたびたびあったが、練習の絶対量がそもそも少ないからか、数日の練習でほとんど元に戻った。
そのため、今から練習を5年間しなかったとしても、元の状態に戻るまでの時間は、断然短いと思っているし、その自信もある。
たとえブランクが何十年あっても、最初より元の状態に戻りやすいと分かっていれば、面倒だが覚えなおすのも悪い気はしない。
ピアノ独学でお金がかかったこと
私がピアノを独学するにあたりお金がかかったことは、電子ピアノ本体とSynthesia(シンセシア)というソフトだ。パソコンは既に持っていたのでピアノ練習のために購入はしていない。
教則本は持っていない。たいていは無料で揃えられる。Youtubeでレクチャーしてあることも多い(ただ、決して独学を勧めているわけではない。習う方が断然上達が早いはずだ)。
特に役に立っている動画の特徴として、どのタイミングでどの音を出せばいいか分かる、演奏者の指が見える、ペダルやダンパーが映っていることだ。
動画によっては、間違えているのか分からないが楽譜通りの音ではない場合もある。そのため複数の動画をチェックした方がいい(楽譜が読めるなら問題ない)。
人によって指番号も変わることがあるので、自分に合っているのを探すのもいい。特に自分では気付かなかった指番号は参考になる。
上達のコツ
速く弾けば弾くほどミスタッチは増える傾向にある。その際、ゆっくり弾く練習を勧めるが、ゆっくりという表現は抽象的である。
ゆっくりとは「普段のテンポより遅く弾く」、もしくは「確実に弾けるテンポで弾く」を表すと考えている。ただ、確実とは何か。
確実とは「次に押す音の鍵盤全てに指を置いたことを確認してから弾くこと」である。隣の鍵盤まで押してしまうことはあっても、音が足りないことは防げる。
何度も練習を繰り返すことで、早く次の鍵盤に移動できるようになっていく。
ゆっくり弾くことは大事だが、気持ち速く弾く方がいいと思っている。理由は、その方が速く弾こうと努力するからだ。
また、速く弾くことで後々、指が動かないことに気付くことが多かった。ゆっくりの速度では問題なく弾けていたが、速くなるにつれてこの指番号では鍵盤を押すと安定しないと分かるのだ。
ミスをしやすいか、特定の鍵盤をうまく押せていないことが多い。その場合は指を替えて、後はまたゆっくりと弾く必要がある。速めに弾くと慣れていた前の指番号で弾いてしまうからだ。
歩くという行動は、多くの人が何度も行っている。1日1万歩以上歩く人もいるだろう。
ゆっくり練習することで速くなるのであれば、年々歩く速度は上がるのだろうか。20代より30代の方が歩く速度は早いだろうか。
そうとは言えない、意識的に早歩きすることをしない限りは速く歩けないし、歩けても疲れて長く続かないだろう。
無意識で歩き続けている場合も同様で、無意識にできることは楽にできることでもあるため、その速度に慣れてしまう原因にもなる。
意識的に変化させることで速く弾くことが可能である。私も慣れたところを何度も弾いていたことがあったが、遊び感覚で無意識でできてしまうとそれ以上の上達はなかった。
録音して振り返ることも有効だ。私の電子ピアノには録音機能があり、MIDIファイルという音楽データにしてパソコン上で再生していた。
私が使用しているSynthesiaには、MIDIファイルをピアノロールのように表現してくれるため、自分の演奏を視覚的に把握することができる。
特に音感がない人にとっては、音だけでは自分の実力を客観的に判断できないことも多い。その際にツールを使うことは、多くの気付きを与えてくれる。
いざ聴くと、ミスタッチがあまりにも多い。自分はもう少しまともに弾けている感じがしても、隣の鍵盤まで押していたり、押したつもりが押せていなかったりと、練習の参考になった。
まとめ
上記で記載したことを要約すると以下になる。
ピアノ未経験で大人から独学で始めても上達できる。ただし、独学より習う方が上達は早い。
楽譜を読める練習をしてもいいし、楽譜が読めなくても動画などで練習はできる
曲の難易度はテンポ次第である。難曲でもゆっくり弾けば、初心者でも挑戦することはダメではない
速く弾くための技術を身につける。そのために考えて練習することを心がける
指番号を意識することは速く正確に弾くための重要な要素である
最初から難曲に挑戦するデメリットは特にない。弾きたい曲を弾くのがベストである
最初から弾きこなすことはできない。できなくて当たり前と思って、少しずつ上達すればいい
ピアノを弾く姿勢は手本を真似る。真似すれば、体の使い方も理解できてくる
音楽の表現方法は様々だ。プロなら表現力は必須だが、趣味などであれば模倣でも形になる
ブランクが長くても経験は残っている。練習した分だけ、弾けていた時の状態に戻りやすい
意識的に弾く、気持ち速めに弾く、客観的に自分の演奏を知ることは上達の助けとなる
ピアノの練習にピアノは必須である。それ以外のレッスン、教材、ソフト代などは必要に応じて投資する