ロックンロールとの出会い
中学生になり、尾崎豊とブルーハーツが学校で流行り始めた。
尾崎はすでに亡くなっていて、ブルーハーツも解散していたが、この2組のアーティストが、本当の意味での最初の音楽体験だったように思う。漠然と何かに抑圧されている感覚と思春期のモヤモヤした感覚にシンクロした。
その時期に友達の中でも、ちらほらギター買ってるヤツが現れたりして、僕もこの衝動には逆らえず、雑誌「バンドやろうぜ!」の後ろに載っていた、「ジャガード、ギター入門セット、29,800円」をお年玉貯金を叩いて購入した。
だが野球も忙しく、たいして弾かないまま、1年程ほったらかしにしていたように思う。
中3の時、「JAM」を聞いて、THE YELLOW MONKEYが大好きになった。
その曲の一説に、
「外国で飛行機が落ちました。ニュースキャスターは嬉しそうに、乗客に日本人はいませんでした」
その歌詞の内容と、メロディの素晴らしさに、心を掴まれた。
人間ってなんなんだろう?という、哲学的な問いを、ロックから垣間見た体験だった。
また、イエローモンキーが放っていた「妖艶な世界観」が好きで、とにかく聴きまくっていた。
中学3年生の夏休み、そのイエローモンキーのコンサートを野球部の友達と観に行った。始めてのロックコンサートだった。
そのコンサートの前日、楽しみすぎて一睡もできず、図らずも人生で始めての「ひとりオール」をしてしまい、最悪のコンディションで当日を迎えた。
そして、1万人規模の野外コンサート会場で本人達は米粒くらいの大きさだったが、始めて体感する爆音に大いに酔いしれ、その翌日は見事に39度の高熱を出した、忘れられないロックコンサート童貞の卒業体験だった。
中3の時のクラスが音楽好きが多かった事もあり、音楽の話ばかりしていたように思う。この頃クラスではニルバーナやグリーンデイ、ハイスタが流行り始めて、ハイスタに関しては「英語だけど、日本人なの?!」
っと、今では割と当たり前の事に衝撃を受けたのを覚えている。
そんな矢先、日本のロックバンドをランキング形式で紹介する深夜番組があった。その番組の中で、黒スーツを着た4人組のバンドになぜか惹かれた。ビジュアル系やパンク系とも違う、タイトなスーツ姿がとてもスタイリッシュに見えた。
そのバンドが「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」だった。
当時、地元にTSUTAYAがなかったので、隣町までチャリを飛ばして、ミッシェルの当時の最新アルバム「チキンゾンビーズ」を借りた。
そのアルバムの1曲目の「ロシアンハスキー」を聞いた時に、人生が変わった。
俺のやりたい事はこれだ!!!
神からのお告げのようだった。
映画ブルースブラザーズでいう、教会でジェームスブラウン牧師に導かれ、ひらめきを得た、ジョンべルーシそのものだった。
よくあるバンドのインタビューとかで、バンド始めた理由は何?といった質問に「モテたいから!」とか、よく見聞きしていたが、僕の場合は違った。
と、100%言い切れないが… そもそもモテたくない奴はいないワケだし…
完全に、その1曲にノックアウトされた。
エッジの効いた、乾いたギターサウンドに、
グイグイドライブするベース、
その隙間をタイトに埋め尽くすドラム、
そして、歌なのかシャウトなのか解らない、しゃがれたボーカル。
スタイリッシュでありながら、加工されてない生音のようなビンテージサウンドに、剥き出しのアティチュード。
今までの人生で触れた事がない「何か」に触れた気がした。
そして、その正体が「ロックンロール」だと気づくのは、それからしばらく経ってからであった。
※「JAM」THE YELLOW MONKEY
https://www.youtube.com/watch?v=xv55yyNxCuE
※「ロシアンハスキー」THEE MICHELLE GUN ELEPHANT
https://www.youtube.com/watch?v=Htm3LSawDZY
※JBのお告げシーン、2:30〜あたりから
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=J0TEagjwEbQ