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受験生がとある新聞広告に救われた話。

就職活動中、面接でも幾度となく話をしてきたのですが、改めて。私が広告に心を救われ、その広告が世に出るまでの「裏側」に興味を持つきっかけとなったエピソードをお話いたします。

高校3年生の冬、大学受験を控えた私は「関西弁を堪能するために関西の大学を受ける」という不純な動機で勉強に励んでいました。私が通っていたのは、いわゆる進学校で「国公立の大学に進学しよう!!!」「センター試験で高得点を獲得しよう!!!!」という目標をみんなで掲げていました。

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センター試験当日、緊張もありいつもの力は発揮できず、自己採点を行う前から良い点数じゃないだろうな、ということは気づいていました。悪い予想は的中し、新聞を見ながら行う自己採点ではため息ばかり。「もしかしたら関西の大学は諦め、地元の国公立を受けることになるかもしれない…」と絶望的な気持ちになりながら新聞のページをめくっていました。その時、解答の最後のページに、こんな一文がありました。

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「自分の夢まで、自己採点しないでください。」

センター試験が、終わりました。
受験生の皆さん、お疲れさまでした。今は少しでもゆっくり休んでください。
本当なら、そう声をかけてあげたいところです。
しかし、これから出願、あるいは二次試験と、息の抜けない日々が続いていきますね。
決断を迫られるとき。考えることもあるでしょう。迷うこともあるでしょう。
そんなとき、どうか忘れないでください。
今日という日は、明日の、そして未来の自分に向かって
だいじな一歩を踏み出すためにあるということを。
河合塾は信じています。あなたの夢へと進もうとする力を。

ハッとさせられ、思わず涙ぐんだことを今でも覚えています。この言葉に救われた受験生が何人いたでしょうか。かつての私にとっての夢は「関西に行くこと」という半ば不純なものであったかもしれません。それでも希望する場所に行けないかもしれないという不安と悔しさでいっぱいだった採点中のあの瞬間に、たった一文の新聞広告が「諦めるな」と寄り添ってくれました。

翌日、担任の先生も同じように心を打たれたのか、同じ新聞広告を切り抜き、朝の会で全文読み上げてくれました。またちょっと泣きました。「この言葉を教室に貼っておきます。」と後ろの掲示板に掲示されたその広告を、私は何度も読み返しました。

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その後、「国公立じゃなくても関西の大学はあるぞ」と方向性を切り替え、関西の私立大学でキャンパスライフを満喫しました。

このとき、わたしはこの広告を出した河合塾のことはもちろんですが、「その裏側にいたひと」のことについて強く考えたことを覚えています。この言葉を、このタイミングで、新聞に掲載しようと考えてくれたひとのことを想い、「そういう仕事してみてえ〜〜」と学生ながらに思ったのでした。

とあるひとが、「広告は応援すること。」といいました。

確かに広告の役目である「一番新しい情報を、一番伝えたい人に、最適な手段とタイミングで伝える」ことは企業を応援することであり、ときにわたし達生活者の背中を押してくれるメッセージだと思います。

広告は、その企業にしかできないタイミングと場所から、全国にいる「ひとり」へメッセージを届けることができる。その術を探し出し、企画できるひと。自分の企画で思わず笑顔になってしまうひとの姿を想像して、自分の企画なのにニヤニヤしてしまうひと。いつかそんな広告をつくれるひとになりたいです。

おわり。


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