〜南米で学んだ感謝する生活〜 信教二世インタビュー#2 ふなと・せいた
信仰をもつ二世信者「信教二世」をインタビューするシリーズ第2弾です。今回は、家庭連合の信仰を持つ船戸誠太さんにお話しを伺いました。
二世として発信する理由
──街頭遊説に立たれたそうですが、いかがでしたか?
楽しかったです。一人でしゃべったわけではなくて、YouTube配信で相方をしてくれているノブくんと2人で登壇したので、意外とあんまり緊張しなかったです。聴衆もたくさん集まってくれて、ありがたいことです。
今、家庭連合に対する偏見や偏向報道が多いですよね。もちろん家庭連合のせいで傷ついた二世の方や人生を狂わされたとおっしゃる方も少なからずいらっしゃいます。ただ全員がそうではなくて、自分の意思で信仰を持っている二世もいるということを知ってほしい。僕は今、家庭連合の二世として生きていて幸せだと実感していますし、そういう人は僕だけじゃないと思うんですよ。家庭連合に入ってよかったと思っている人もいることは、伝えて発信していきたいです。
──YouTubeで配信している動画は、編集も自分でされているんですか?
編集も自分でやっています。完全に独学で、YouTuberの真似事みたいな感じですけど。韓国留学していた時にちょっと動画編集をやったことがあって、覚えたてなのですが、自分たちで作っています。
──二世であることを明かして精力的に情報発信されていますね。モチベーションになっているものは何ですか?
神様と出会った体験が大きいです。伝道をしていた時に、僕の親も神様と真の御父母様(文鮮明・韓鶴子総裁夫妻)も、僕を生かすために命懸けで祈って投入してくれていたんだと感じました。だから自分の生涯をかけても真の御父母様のために生きたいと思って、今もそうして生きているつもりなので、少しでもみ旨に貢献できることがあればやっていきたいなというのがモチベーションです。
大自然の中に見た理想郷
──南米でボランティア活動も経験されたそうですね。
パラグアイのプエルト・レダというところで約半年間ボランティア活動をしていました。レダは神様の創造本然の世界に一番近いと言われていて、本当に自然がめちゃくちゃ綺麗なんです。動物が日常的にいて、ワニやヘビ、アナコンダのような怖い動物もいれば、カピバラやアルマジロなど、かわいいのもいます。日本では絶対に味わえない非日常的な環境でした。
レダではパクーという魚の養殖と、養豚、農業という3つの主なプロジェクトがあって、僕は水産、養殖のプロジェクトを担当しました。力仕事が多いのと、しかも毎日気温が40℃超で蚊が大量にいるというような環境が本当にきつくて、結構しんどかったですね。普通に生きるだけでしんどい。肉体的につらいことが多すぎて病みそうになった時もありましたが、友達や周りの人たちに恵まれて、なんだかんだ乗り越えることができました。
レダは開拓してから25年ほどになるのですが、開拓当初から今もずっと現地に住み続けている日本人の先生方が何人かいらっしゃいます。その先生方は、どんなにきつい環境でも不平不満を言わないんです。「つらくないんですか?」と聞いてみると、「御父母様(文総裁夫妻)の願いに自分が貢献できていると思ったら不平不満なんて出なかった。喜びだった」と語っていらっしゃって、やっぱりすごいなと感動しました。
レダのプロジェクトは当初、自然と共存する理想郷の国を作ろうという文鮮明師の願いから始まりました。ただ理想郷ができたとしても、住む人が不平不満を言っていたら、そこは天国じゃないと先生方が言われていて、それで感謝する生活の大切さを知りました。僕はあまりできていなかったな、と反省しました。
──レダでの体験は、日本に帰って来てからも生かされていますか?
薄れてきてはいます(笑)。現地では電気が使えないとか、お風呂もないとか、日本で当たり前のことが当たり前じゃなかったので、帰国当初はおのずと感謝できましたね。
レダでの半年間はすごく濃かったので、今も思い出すことは多いです。
また、レダでは今の相対者(婚約者)と出会いました。同じ時期に行った4人のうちの一人が彼女でした。当時は別に何も意識していなくて兄弟姉妹として接していたのですが、偶然か必然か、今年の春に祝福結婚式に参加しました。
──おめでとうございます。将来はどんな家庭を築きたいですか?
笑顔が絶えない、明るい家庭にしたいです。それから、帰りたいと思うような家庭がいいですね。正直、昔の自分はあんまり家に帰りたくなかったので。
疑念から決意へ
──幼少期はどんなふうに過ごしましたか?
僕は高校生の頃までは神様がいる、いないっていう以上に興味がないというか、どっちでもいいんじゃないかと思っていました。神様の存在を意識したことは一度もないと言っても過言ではないかもしれないです。宗教は変な人がやるみたいなイメージがあったので、教会に行っている人や宗教に入っている人は変な人なんじゃないかとも思いました。あまり教会に行きたくなかったし、普通にやっていた方が楽しいというのもありましたね。
転機が訪れたのは、高校3年生の時でした。高校を中退して、自由な時間が増えて、家でゴロゴロしていることが多かったです。そんなある日、お昼ぐらいに家でテレビを見ていたら、ある有名な女優さんが宗教に出家するというニュースが流れていました。僕は正直、「かわいそうだな」と思っちゃったんですけど、よく考えると自分も他の人から見たら「家庭連合という宗教に入っていてかわいそうだ」と思われるのかなという考えが浮かんだんです。
でも、家庭連合の人たちはいい人ばかりだということも知っています。教会の友達も学校の友達と変わらないぐらい仲良くしていました。だから家庭連合もそんなに悪いところではないんじゃないかという感覚は持っていたのですが、ネットで調べてみると、元信者や元二世という人たちが家庭連合のどこが悪いかをかなり具体的に書いていました。それを読んでいるうちに、やっぱり間違っているのかなという考えが強くなってきました。親が信じている宗教だから完全には否定できませんでしたが、もっと言えば真の御父母様(文総裁夫妻)が嘘をついていて、自分の家族を含めた全信者が騙されているんじゃないかとも思いました。でもどちらにしても確信はつけないというか、騙されているにしても正しいにしても自分の力では確かめようがなくて、その時はモヤモヤしたまま終わりました。
──それから教会に行くようになったきっかけは?
進路をどうするかという話になった時、母は信仰的な人なので、どうしても教会の人に相談してほしいと言ってきて、僕は久々に教会に行きました。そこで偶然、ある先輩が1年間の信仰生活プログラムに行っていた証し(感想の発表)をしていました。その内容は覚えていないんですけど、昼食の時間に一緒にカレーを食べながらその先輩と話したんです。
先輩は絵に描いたような信仰者だと思っていたのですが、実は先輩も教会に行きながらも、真の御父母様のやっていることは本当に正しいのか、神様が本当にいるのか、神様は親なのかと悩んでいたそうです。それが、そのプログラムで1年間過ごして全て解決したとのことでした。「なんでですか」って聞いたら、「行けば分かる」と言われて、僕も行ってみようと思ったんです。
それまで18年間生きてきて神様が分からなかった自分が、2日や3日の修錬会で分かるはずがない。1年間の修錬会ってなかなかないし、神がいるかどうか、親が信じてきた宗教が本当に正しいのかどうかを確かめるには、それくらいの時間をかけるのがちょうどいいなって思って。もしそれで分からなかったら、きっぱりこの道を離れてもいいと決心するつもりで行きました。実際、そこで神様の存在を感じる体験がいくつもありました。
祈りを通じた神体験
──神様を感じたエピソードを一つ教えてください。
ある時、当時のチームのキャプテンだった人が「祈りをもっとした方がいい」とアドバイスしてくれて、毎日7分間、夜に一緒に祈ることになりました。小さな祈祷室に並んで立って、キャプテンは大きな声で祈っていたんですけど、僕はちゃんとお祈りをするのがその時初めてで、同じようにはできなくて毎日7分間ぼーっとしていたんです。それが2週間くらい続いて、でもせっかく7分もいるから何もしないよりはやっぱり何か祈ってみようかなと思って、神様にいろいろ尋ね求めてみることにしました。
祈ってみると、それまで「やめたい」とか「苦しい」と思ったことも全部、神の愛だったんだと感じた瞬間がありました。神様は僕を愛しているからこそ厳しい環境に置いてくださって、それを通して成長してほしいという大きな願いがあるんだと祈りの中で感じて、そこから頑張ろうと思えました。その1年間で、僕の人生観が180度変わったと思います。
──変わった船戸さんを見て、家族や友人はどんな反応でしたか?
母は喜んでいました。1週間に1回は母と電話で話していたのですが、「なんか変わったね」と言われました。
地元に帰省して友達と会う時も、「変わったね」とよく言われるようになりました。教会の友達も、教会じゃない友達も両方ですね。中高生の頃は自分が二世だという自覚があまりなかったので、誰かをいじったり、その延長線で強く言ってしまったり、今思えば非道徳的な生き方をしていました。教会で信仰生活をする中で、人のために生きる時の本心の喜びをすごく感じたので「他のために生きる」ことを心掛けるようになって、周りは「そういうことするようになったんだ」と驚いたみたいです。
今だから分かる両親の信仰
──ご両親の尊敬しているところはありますか?
母は一番尊敬している人の一人です。家族を守り支えてくれていたのは母でした。家族で唯一、教会に行き続けてくれて、家でもお祈りしていてくれた姿は、やっぱり信仰者だなと思います。僕も母親のおかげでここまで来られたと思いますし、いろんな面で尊敬しています。母からは教会に行くのも強要されたことはなくて、僕が教会に行かなかった時期も別に怒られたことは一切なかったです。良く言えば、信じて待ってくれていたのかもしれないですね。見守ってくれていたと思います。
父は僕が物心ついた時にはほとんど教会に行っていなくて、母もそれで苦労していた部分がありました。でも父に電話して、信仰を持って頑張っていた時の話を聞いてみると、さすが祝福を受けただけあるというか、苦労して歩んできたんだということが分かりました。それまでは、だらけて教会にも行かない父しか知らなくて、あんまり信仰がないのかなと思っていましたが、いろいろありながらも僕をここまで育ててくれたことは尊敬しています。
──ご自身の長所と短所は何だと思いますか?
長所は明るいところとかじゃないですかね。何でもポジティブに捉えられるみたいなところはあります。場を盛り上げられる素質もあるかな、と思いますね。
短所は、ちょっとサボり癖があるところです。怠けちゃったり、時間にルーズだったりすることが課題です。
──趣味や特技はありますか?
遊び程度ですけど、ビリヤードが好きです。韓国に留学したときに卓球場とビリヤード場があって、卓球は日本でもやったことがありますけどビリヤードは初めてだったので、他の国の留学生たちと一緒にしているうちにハマりました。ビリヤードって球を打つだけの競技みたいに見えますが、突き詰めれば無限に技があって、奥が深いんですよね。
──好きな言葉は?
「勝利の秘訣は勝つまでやること」(アラスカ精神)というみ言(文鮮明師の語った言葉)が一番好きです。つらい時や神様を感じた時に、握りしめていた言葉でした。
それから、『ONE PIECE』(ワンピース)の「海賊王におれはなる」という台詞があるのですが、主人公ルフィが目指す「海賊王」は、「海で一番自由な」人のことなんです。僕も自由でいることが好きなので、今その時に行きたいところに行って、やりたいことをやって生きていけたらいいなと思っています。
編集後記~
意外とシャイな一面を見せながらも、信仰の原点から家族への思い、好きな遊びまで楽しそうに語ってくれた誠太さん。フランクな語り口からは想像できないほど、強い信念を持っていることが伝わってきた。抜群のフットワークと人当たりの良さを持つ誠太さんを、つい応援したくなってしまう。