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あなたへ向けた日記 No.18

【注意】独り言です。うつ病や、その他の精神疾患について、悪意をもって述べるものではありません。自分の父親に対する感情を、個人的に吐露しています。そして第三者が理解しやすいようにも書いていません。悪しからず。

父さんへ

さて、何から書こうか。今の父さんには言いたいことがいっぱいある。あなたは、それをどう思っているだろう。

まずは、おれを24歳まで実家で育ててくれて、働いて生活を支えてくれたことに、感謝したい。ありがとう。これは本音。男の子2人を育てるのに、習い事や進研ゼミをやる年頃の息子たちを養う食費や生活費を賄うのに、どれだけのお金が必要か、そのお金を稼ぐのにどれだけ必死に働いてくれたのか。共働きでない我が家で、どれほど必死に働いてくれたのか。「気持ちがわかる」とは軽々しくとても言えないほど、大変であっただろうことは想像に難くない。

自分も働く身になって、全部とは言わないが、ある程度は分かるようになった。これは、何にも変え難いあなたからのプレゼントだ。我が家で働いていたのはあなただけだ。間違いなく、あなたのおかげで、我が家は生活してこれた。間違いない。

この日記を書こうと思ったのは、あなたへの感情がめちゃくちゃになりつつあるので、それを整理したいなとおもったからだ。その点では、感謝もそうだが、あなたに言ってやりたいことが山ほどある。

これはあなたに向けての日記だが、独り言であると同時にweb上で公開されているので、どう書いたらいいか迷っている。だが、ここでは重要な点だけ、これから気持ちを吐き出す上での前提条件として、書いておく。

①あなたは若くして、一般には考えられない年齢で理事長に就任し、会社を率いる立場になった。

②リーマンショックの真っ只中にその立場となったあなたは、心を削りながら社員の首を切り、なんとか会社を立て直し、その結果燃え尽きて鬱病と診断された。

③現在に至るまで、働き始めては「やっぱり無理だ」を繰り返し、結局「社会復帰できた」と言えるレベルには戻れなかった。

④結局、今は母が代わりに働き、生計を支えている。

さて、本音を言おう。おれは家族が大好きだった。少なくとも小中学生くらいのとき、我が家は世界でほとんどトップクラスに幸せだと思っていた。嘘ではない。いい父親といい母親に恵まれ、弟も生意気だがまあまあ悪くない、恵まれた環境にいると、我ながら思っていた。

父さんについては、好きだったというより、尊敬していた、自慢だった、という方が正しいかもしれない。どこに出しても、というのは親が子供に抱く感情だと思うが、おれは同級生たちの父親の中で、おれの父さんは誰にも負けないと本気で思っていた。自分の父親だからではない。本当に、おれの父さんはすごいんだと、思っていた。

幸せだったのだと思う。今思い返すと。今になってみても、うちはここがなあ、というような、嫌な点はそんなに思い浮かばない。まあゼロではないが。控えめに言っても、うちは幸せだったのだろうと、思っている。

おれと弟が小さかった頃、父さんと母さんがどれだけ必死に家庭を維持していたかはわからないが。少なくともおれは幸せだった。今思い返しても、幸せだった。涙が出るほど。

それが今、どうだろう。正直、おれは父さんの状況を自慢げに他人に話すことはできない。あなたは、おれが小さい頃言っただろう。

「仕事とは、給料をもらうためだけにするものではない」
「必要最低限のことだけやっていたのでは、仕事とは言えない」
「お前はかなり理屈っぽいけど、いざ仕事のこととなれば父さんはお前より厳しくはっきりと、部下にも社内外でも、言わなければいけない事をはっきり言っているし、理屈に厳密にものを考えている」
※おれは、父さんのそういう言い方が好きだった。

今、あなたはどうだろう。うつ病と診断されてはいるが、別に通常通り日常生活を送れているではないか。お酒も美味しそうに飲むし、刺身のような高価なものも美味しく食べられるではないか。それで仕事はできない、働くことはできない、そういう主張が通じると思っているの?

いっそ、「父さんはもうかなり無理して働いたから、もう退職する」とでも言われれば、おれは納得するが。あなたはそう言わないではないか。「働けないから働かない」という姿勢じゃないか。本当に、「働くことが不可能」なのか。おれはそうは思わないね。

あなたは、働かずに生きていけるということに味を占めたのだろう。「ああ、あんなに苦労して働いてきたけど、それは生きるため、家族を養うためと思って必死にやってきたけど、働かなくてもなんとかなるんだ」と思ってしまったのだろう。

少なくとも、あなたが説いてきた数々の言葉からは、今のあなたの言動は理解できない。病気だというなら入院したら良いではないか。入院しないくせに、仕事できないとはどういうことだ。

世の中の人は、働きたくなんかなくても、必死に働いて生活を工面しているのだ。父さんの考えはどういうものだろう。「それは無駄な努力であって、働きたくないなら働く必要はない」のだろうか。

あなたは言ったではないか。「仕事とは給料をもらうためだけにするものではない」と。給料すら貰えていないのに、あなたは何を語ろうとするのか。

あなたは言ったではないか。「必要最低限のことだけやっていてもダメだ」と。国民の義務の一つである勤労すら、あなたはしていないのだ。その口で何を語ろうというのか。できないというなら病院で診て貰えばいいが、入院はしない、薬もきちんと飲まない、お酒は美味しい、それでは何も改善しないではないか。

あなたは言ったではないか。「仕事のこととなれば理屈に厳しくものを考えている」と。それでは純粋に理屈の上で考えよう。「働かなくても良いのか否か」。少なくとも今の日本社会では働かなくてはならないのだから、働くべきだろう。働けないのではれば病気だから、一刻も早く入院して治療してほしい。あなたは入院などしないだろうが。それは嫌だからだろう。「入院が必要なほど重篤な精神病患者ではない」と自分では思っているのだろう。それなら働いたらいい。「働きたくない」という感情など知らない。理屈の上でどう考えるのですか。

あなたを尊敬していたのに、現状、尊敬できない。むしろ反感ばかり出てくる。あなたができないからではない。「できるのにしないから」だ。本当にできないなら、早く入院するなり薬をきちんと飲むなりして早く治してください。そうしないなら、早く仕事復帰してください。

名探偵コナンで、黒幕はコナンの父親説がまだある。男にとって、父親はラスボス感のある、「最後まで敵わない大きさや強さを持った男」であってほしいという思いは、深層心理であると思う。それを見事にひっくり返されたのだ。

他人に相談すると「親はあくまで他人だから、そこまで生き方を強制する権利はない」と言われる。それはそうだと思うが、一方で、「そういう父親であってほしい」という息子の思いも、否定されるものではないと思う。別にいいではないか。それくらい思っても。

現状、「これまで仕事お疲れ様」と心からあなたに言える心境ではない。いつの日か、笑顔で、心の底からそう言える日が来ることを、期待しています。いつの日か。

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