国レベルの行政改革の方向性;9月22日のサロン。政策形成人材の身分保障と行政情報の活用について

今日のお題は行政改革。先週から行政改革の事を考える時間が増えています。そこで、今日はまず、財務省の広報誌ファイナンスから。ちなみにファイナンスはこちら↓。毎月読んでいますが、財政の状況を学習する上で非常に勉強になっています。

9月号の「危機対応と財政(4)政治を支える行政府 掲載日:2020-09-18 発表元:財務」です。どんな内容かというと;イギリス、米国などの行政人材の実態と分析しつつ、日本の制度の特性を示しています。なるほど、という感じとこのような記事が財務省の広報誌に掲載競れる意味あいを考えてしまいます。

最近の霞が関は、政治主導の英国型になる中で、身分保障がほとんどなく、直言が行われにくくなっている。その結果、おもねりが生じやすくなっているとの指摘を行っているのが元人事院人材局審議官で京都大学大学院公共政策連携研究部の嶋田博子教授である。
嶋田氏によると、直言が行われにくくなると、 政治側が高度の政策提言を求めても行政内部でそれに こたえることが出来にくくなくなる。それが、創造的 な仕事が出来る場ではないと認識されることになっ て、優秀な学生の公務員離れにつながっているとい う。「どの国においても、外から見える仕組みとは 別に、それらを支える社会的な規範観や試行錯誤を経 て積み重ねられた運用上の工夫が存在している」、そ ういった全体像に目を向けることなく各国制度の切り 貼りを行った結果、「正論を貫くための生活保障などは措置されず、他国よりも官が脆弱な仕組みになって いる」というのである。

そして、実務上の鍵である行政情報については、日本学術会議の議論が勉強になりました。提言「行政記録情報の活用に向けて」掲載日:2020-09-19 発表元:日本学術会議です。内容は多くの関係者が示してきたもののほぼ一緒ですが、今後のこの意見をどこまで反映されるかに注目です。

(1) 行政記録情報の整備の加速
EBPM の推進のために、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室を中心に行政記録情報の整備・開示を加速する必要がある。特に税務関連の行政記録は最優先で活用を図るべきであり、国税庁長官官房および総務省自治税務局と連携しての対応を期待する。情報の開示にあたっては、集計された情報を公開するのではなく、ミクロレベルでの開示が望ましい。個人情報保護の観点から匿名化処理などの情報の秘匿は必須であるが、データの有効活用に向けた試行錯誤のためにも集計前の情報の開示が不可欠である。
(2) 経済学・政策評価分野の研究との連携
行政記録情報の活用には、データの保存・処理といった技術面、個人情報保護などの法律面の知見は不可欠である。同時に、学術研究の資料とするには、情報の性質、信頼性、活用方法をデータ利用の観点から明らかにする必要がある。内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室は、その検討のために、データの社会科学、特に経済学・政策評価分野の研究者との連携を進めるべきである。
(3) 「行政機関の保有する個人情報保護法」の規定に関するガイドラインの整備
行政記録情報を学術目的で利用することは、「行政機関の保有する個人情報保護法」の規定の範囲内である。原則として行政機関の保有する個人情報は第3者への提供が禁じられているが、「学術研究の目的」においては提供可能である旨が明記されている。総務省行政管理局には、この規定を運用して学術利用を可能とするために、利用に関するガイドラインの制定を求める。
(4) 統計調査との連携
行政記録情報を活用していくことは、統計調査の価値を下げるものではない。行政記録情報と統計調査を両輪として、政府の統計情報全般の品質向上を目指すべきである。行政記録情報は統計調査を補完するものであり、既存の統計資源の削減につながらないことを求める。各府省の EBPM 統括責任者においては、管轄業務における行政記録情報と統計調査を一元的に管理することで、統合された情報の整備を望む。また、統計調査と行政記録が照合を可能とすることで、両者の価値を高めることができる。今後の統計調査において、マイナンバーを調査項目に含める可能性を探るなど、連携を目指すことが望まれる。

(了)


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