政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その1 他自治体との比較からギャップをみつける。0407追加版
さて、そろそろ新年度を迎え、自治体等では総合(振興)計画の策定プロセスが始まっているかと思います。そこで、細川がどのようにして計画を作っていくのかを何回かに分けてご紹介したいと思います。
細川の流儀は、デザイン的思考からの政策形成+課題ツリー/仮説ツリーを核としたPCM(プロセスサイクルマネジメント)というところでしょうか。この手法の詳細は、後ほどとして、とりいそぎ、何をするのかを作業ベースでステップごとにご紹介したいと思います。
で、まず、何をするのかというと、自治体を取り巻く統計データを洗いざらい調べることです。整理のポイントは、タテ(時間軸)とヨコ(他自治体・他地域間)の比較です。二つの比較をすることで、自分の自治体がどんなギャップ構造があるのかを確認します。具体的には、自分の自治体が結果としてどんな変化を経たのか、そして、その変化は、他自治体と比較して優位なのか、劣位なのかの認定を行います。自治体という組織が行った行動の成果および効果が想定的に、どこまで社会変化に到達しているのかを俯瞰することを目的とします。
なぜするのか・・それは一つです。議論の土台を作りたいのです。特に市民参加、職員参加を進める場合、みている社会的風景を揃えておかないと、全て、いわゆる「俺に言わせれば」とか、この前見た「ウェブなどの議論では」というものに陥ること多です。結果、現実性がない議論が連発します
まず、外部環境の整理をします。財政状況〜産業〜福祉までの全ての項目について、財政構造が似ている団体、当該の自治体のその自治体での順位の変化を計画年次の一つ前(5年〜10年前)から整理します。大体、人区数でいうと5営業日くらいで抑えてたいところです。マンパワーがあるチームでしたら3営業日ぐらいでできるのではないでしょうか。
その際には、例えば、埼玉県様ですと、↓のようなデータのとりまとめがあったりしてとても重宝します。
最近では経産省が出している、リーサスを使ったりすることもあります。
個人的には稼ぐ力分析などが大好きです。よく使っております。
この手のもので注意すべきは以下の3点です。
(1)最新データかどうか;電子統計統計ものはたまにですが古いデータを使っていることがあります。必ず直近値を使うことです。また、年度と年を混同するなどは論外なのですが、散見します。そして、過去データを少なくとも4〜5年前から、ちゃんととっているかです。当たり前と思うかたも多いと思いますが、昨年度とのみ比較している自治体は少なくありません。このような自治体の計画書にであうと、形式的に、国か県から策定すると助成金等のインセンティブがあるよ(そこまで明確ではないとは思いますが)と言われているのかなと邪推することしばしばです。
(2)クロス分析などを行って、ポジショニングがちゃんとわかっているかどうか;偏差値を使う、中央値などを使うなど幅広い統計テクニックを使って、どこにいるのか、なぜ今のその順位などか(順位の変動の理由など)を洗い出していく必要性があります。
例えば財務諸表などは各種公会計のスキルを使ってみるとかです。もちろん、この際には最新の分析スキルを知っていることが前提になります。スキルを知らない場合は、学習することからです。僕ですと↓経済レポートというサイトで学習することが多いです。
(3)ギャップが見えるレポートになっているかどうか;最後はギャップが数字で見えたとしても、普通の人に伝わらないと意味がありません。チャートをつかったり、絵を使ったりして、理解しやすくつくれるかどうかかと。そして正確にその意図を伝えているかです。例えば・・・立体の円グラフが多い昨今の傾向はどうかと思います。最近では詐欺グラフと言われるのですね。
作画の時には、僕は↓以下の本を使うことが多いです。
まとめ
これらのデータを整理することで、どのジャンル・分野が劣位なのか優位なのか、劣位優位がここ数年でどう変わったのかを俯瞰できます。この俯瞰を通じて、総合計画を議論する土台をつくっていきます。
(了)