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政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その7 なぜ「失敗」を大事にするのか。
7回まで来ました。テーマは自治体の総合計画の作り方です。アマゾンでもなどの下記のご本があります。それぞれに勉強になります。特に市民との対話の仕方などは特に。しかし。傾向として、失敗からどうやって再生したかについてはそこまで書かれていないと思っています。
今回は前回の続きです。これまでロジックモデルのあり方について議論しました。少なくない自治体で導入されているPDCAのモデルは、「作っただけ」になる可能性が高いことをご指摘しました。その原因は、指標の設定について論理的に合理的にできる仕組みになっていないことです。
そこで、次のステップに行く前に、理屈の整理をしておきたいと思います。細川流の計画策定で重要視する概念がバッドエンドです。最悪のシナリオです。計画を作るときのほとんどは、現状の施策・事業をベースにして、検討を始めます。まっさらな状態から作ることはほとんどないかと思います。
そこで、こういう検討ステップになります。ポイントは、政策と現実の対話です。政策=現場への介入のロジックと現実=現場目線での原因と結果のメカニズムの対話が基本になります。
この対話は、計画をつくるセクション・現場をまかされている各課、そして、ワークショップなどを通じた住民との対話、議会における特別委員会などでの議論を通じて行います。
鍵は、反事実的依存性をどのように確認するかです。反事実依存性は、ルイス(2007)が唱えてた因果性に関する命題です。どんな命題かと言いますと、
こんなシナリオです。クタッチ(2019)はこのように記しています(p.73)。<マッチをすること>が<マッチに火がつくこと>に関して、どんな違いをもたらしたのかを表現したい場合、次のようにいうことができる。「もしマッチをすらなかったならば、マッチには火がつかなかっただろう」
つまり、仮に原因と結果が機能するとしたケースを証明する際には、原因が機能しなかった場合、結果が発現しなかったことを見つける必要性があります。このことは、原因と結果がどのようなメカニズムが働いているかが見えない場合でも、どこに課題が潜んでいるかがわかる仕組みになります。
ということは、反事実的依存性を政策(施策・事務事業)立案に導入した場合は、二つの検討をできるようになります。
(1)政策(施策)目標であるハッピーエンドは本当にハッピーエンドかが検討できる。仮に現状の施策・事業が不発で生じたバッドエンドが想定できない場合は、ハッピーエンドは因果連関から導き出されないということになる。また、バッドエンドとハッピーエンドの内容が対になっていない場合は。ハッピーエンドの妥当性は証明できない。つまり、思いつきであると検討できる。
(2)手段目的が機能しなかった場合は、そもそも設定していた、原因結果設定が間違っていた。そもそも、設定した原因が誤りだったということになります。
この二つの検討を、関係者間でどのように進めるのかが、鍵になります。特に、情報の非均衡性へ配慮した上での議論は、刺激的かつ前向きなものになることが多いです。
次回は、計画策定へ向けた対話手法(各種ワークショップ手法など)をご紹介します。脱KJ法的、脱アリバイ的な手法のあり方を検討します(了)。
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![政策プランナー細川甚孝の活動ノート](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/28219129/profile_415dc83180251ec08555a80a9ff8952f.jpg?width=600&crop=1:1,smart)