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リバーに関係する二つの物語と一つの歌、そして、社会学的想像力;「リバーエンドカフェ」と「リバーズエッジ」

今日は、リバーに関係する二つの物語のご紹介。共にたなか亜希夫氏の作品です。第一作目は、「リバーエンドカフェ」。こちらは、現在での劇画アクションで連載中です。単行本は6巻まで発行されています。

アマゾンによれば、こういうお話。空気感含めステキです。絵もすばらしいです。震災後の地域社会を題材にした漫画として最高傑作の一つではないでしょうか。

震災後の宮城県石巻、いじめられっ子の女子高生・サキが絶望の中で出会った人々、出会った音楽。真っ暗闇の中で見つけた、仄かな灯火…それは「ブルース」。東日本大震災から9年。石巻出身のたなか亜希夫が、震災後の故郷を舞台に描く最新作、少女の物語が動き出す第5巻。

もう一作は、「リバーズエッジ 大川端探偵社」。

東京・浅草…隅田川沿いの雑居ビルに、小さな探偵社があった――。『オールド・ボーイ』『湯けむりスナイパー』のひじたか憂峰、『軍鶏』『かぶく者』のたなか亜希夫。常に“人間”を描き続けた唯一無二の原作者と、漫画界随一の画力で驚異的な描写を続ける稀代の絵師。名作『ボーダー』で多くの信者を生み出した黄金コンビが、20年ぶりに奇跡の復活!!

こんなお話です。一話一話ごとに渋さに溢れる作品です。ちょっと前に映像化もされました。

共に秀逸です。人間性への深い洞察とその背後にある組み込まれた日常との絡み合った様に、漫画表現と物語の面白さもあり、深くにひきこまれます。

このことは、ミルズが示している『社会学的想像力』の一文を思い起こさせます。

引用です。No.479
古典的な社会分析とでも言うべきものこそがはっきりした役に立つ伝統である。その本質的な特徴は歴史的社会構造を主題とするところである。そして、その問題は、緊急の公的問題、人間の根深い私的問題と直接的に関連するものであると。

最後にリバーがついた歌でおしまいです。Jimmy Cliff 「Many Rivers to Cross」

●遥かなる河(Many Rivers To Cross) - Jimmy Cliff
渡る川は数多くあれど
私の渡るべき河はいずこ?
さまよい、道を見失いつつ
ドーヴァーの白き絶壁に沿って
私は独りさすらう
この信念だけを支えに
私は今日も生きてゆく
流れゆく歳月に押し流されながらも
私は心のプライドだけを信じて
どうやら生きのびてきた
それでも、この孤独は拭われようもなく
独りで生きて行くのはこんなにも辛い
訳も言わずに去ったあの女を偲び
その面影に悩みつづける私
渡る河は数多くあれど
いったいどこから始めれば良いのやら…
恐ろしい罪を犯してしまおうと
思ったこともある
何度あったことか…
渡る河は数多くあれど
私の渡るべき河はいずこ?
ドーヴァーの白き絶壁に沿って
私は独りさすらう
この信念だけを支えに
私は今日も生きてゆく…

(東芝EMIのアルバムJimmy Cliff「The Best Of Jimmy Cliff」
山本安見さんの対訳より)

ご関心の方はぜひ。

(了)

ありがとうございます!