スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募(政策短信20210101号)
政策短信とは
地方議会議員向けに、国の政策の動向を紹介します。永田町・霞が関で決まった政策が生活にどう影響するのか、議会質問に向けたポイントなども発信します。
スーパーシティ型国家戦略特別区域の指定に関する公募
内閣府は、地方共団体を対象として、スーパーシティ型国家戦略特区の指定に関する提案の公募を始めた(12/25付)。応募書類の提出期限は令和3年3月26日となっている。具体的な募集要項は以下のURLのとおり。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/koubo/youryou01.pdf
「スーパーシティ型国家戦略特別区域」とは
近年、AIやビッグデータなど先端技術を活用し、都市内の様々な事業やサービスに共通に使用できるデータ基盤を整備することによって、社会の在り方を根本から変えるような都市を設計する動きが国際的に急速に進展している。政府においては、大胆な規制改革等によって、世界に先駆けて未来の生活を先行実現する「まるごと未来都市」を目指すスーパーシティ構想の実現を図ろうとしている。
スーパーシティ構想が目指す「まるごと未来都市」とは、以下の3要素を合わせ持ったものであると定義されている。
①これまでの自動走行や再生可能エネルギーなど、個別分野限定の実証実験的な取組ではなく、例えば決済の完全キャッシュレス化、行政手続のワンスオンリー化、遠隔教育や遠隔医療、自動走行の域内フル活用など、幅広く生活全般をカバーする取組であること
②一時的な実証実験ではなくて、2030年頃に実現され得る「ありたき未来」の生活の先行実現に向けて、暮らしと社会に実装する取組であること
③さらに、供給者や技術者目線ではなくて、住民の目線でより良い暮らしの実現を図るものであること
令和2年の通常国会では、このスーパーシティ構想を制度的枠組みを定めた「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律」(スーパーシティ法)が成立し、これを受けて「国家戦略特別区域基本方針」にスーパーシティ型国家戦略特別区域(以下「スーパーシティ型国家戦略特区」)が位置付けられている。
今回の公募は、国による制度的な準備が整ったことから、スーパーシティ型国家戦略特区の指定にむけ、地方公共団体に対し、特区として指定すべき区域、実施する先端的サービス、規制改革等に関し、幅広く提案を募るものになる。
「スマートシティ」と「スーパーシティ」
現在、「スーパーシティ」と呼ばれているものは、2000年代から「スマートシティ」として推進されていたものの発展形に位置付けられる。
片山内閣府特命担当大臣(当時)は、
「わが国では小泉政権の時代から、主に省エネ、節エネ、さらに経済の規制改革の観点で、スマート化をほぼあらゆる分野で取り入れています。最近ではAIやビッグデータ、ロボティクスによる革命的な変化も生まれつつあることから、2000年初頭から使っていた『スマートシティ』という呼称を『スーパーシティ』へと変更しました」
と語っている(Super City Smart City Forum 2019)。
スーパーシティの基本的な考え方
スーパーシティでは、国や地方公共団体の有するデータ(地理データ、空間データ、行政の行う事業の固有データ等)と、物流や交通、防災等に係る先進的サービスとを連携・共有させるデータ連携基盤を地方公共団体が整備する。
このデータ連携基盤は、FIWARE(ファイウェア)と呼ばれるデータ管理基盤が有名だ。(FIWAREの紹介はこちら)
地方公共団体が整備するこのデータ連携基盤を活用し、「様々なデータやサービス同士を連携させることで、住民目線での利便性の向上を図る」ことがスーパーシティ構想の基本的な考え方となる。
なお、スーパーシティ型国家戦略特区の指定基準として、移動・物流・⽀払い・⾏政・医療・介護・服薬・教育・エネルギー・ 環境・防犯・防災などの分野から、概ね5分野以上の先端的サービスが提供されることが⼀つの⽬安となっている。
スーパーシティ法でできること
令和2年に成立したスーパーシティ法(改正特区法)では、先述のデータ連携基盤を法律上位置付けるとともに、スーパーシティの実現に向けた規制緩和の手続きが定められた。
先進的なサービスを実現する上で妨げとなる規制がある場合、所管省庁に特例措置を求めることが出来る他、特区諮問会議が規制所管大臣に対して規制緩和を勧告する権限が付与されている。
これらにより、既存の枠組みにとらわれない規制改革を行うことを目指した仕組みとなっている。
実際にあった議会質問
議会質問への落とし込み(例)
我が国ではコロナ禍においてデジタル化の遅れが顕在化しており、単なる新技術の導入ではなく、これまでの規制、制度を総合的に点検し、デジタル化の推進に合わせて変えていく必要性がある。現在公募されているスーパーシティ特区の指定には、本市もぜひチャレンジすべきと考えるが、本市の取組状況如何。
農業分野は、就業人口の減少と高齢化が年々進んでいる。このような状況においてこそ、デジタル化を進めることが特に重要であり、スーパーシティ特区の指定も視野に、最先端技術へのお金の集中と選択をして補助をしていくべきと考える。農業のAIやIoT活用に対する本町の現状如何。また、支援に関する考え方如何。
デジタル技術によって行政サービスを効率化、簡素化して生活を便利にする変革、行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進める声が高まっている。このような取り組みを行う上では、生え抜き公務員だけではなく、外部人材の活用や市民の知恵を活用したオープンイノベーションが必要と考えるが、本県の取り組み状況如何。