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ギャンブル漬け公務員の借金生活①~ギャンブル始めてから借金をするまで~

 私は借金をしている。ゆうちょのキャッシング上限30万、銀行のカードローン20万、合計50万の借金がある。
 ギャンブルをする前から浪費癖があり借金をしていたが、給料で全て返せる額であった。だが、ここ半年であっという間に借金が膨れ上がった。ギャンブルの借金額ではまだ傷は浅い方ではあるが、一般的には給料の範囲を超える異常な借金額だ。
 どのような経緯でこのような事態になってしまったのか、現状のギャンブルへの漬かり方はどうなっているのか、ありのままに語ろうと思う。

ギャンブルのきっかけ

 きっかけは、霜降り明星粗品のYouTubeだった。

 ギャンブル好きな有名人の代表格で、ギャンブルで負けた報告動画やパチンコ・スロットを使ったネタを披露している。私自身ギャンブルはやっていなかったが、粗品のYouTubeが好きで、ネタ動画は必ず見ていた。

 このネタも初見の時は一切面白くなかったが今では面白い。スロットを知っているからだ。知っているというだけで面白くなった。
 私は、面白くない理由が「無知だから」ということが一番嫌いである。周りが知識があるから面白くて自分が知らないという状況が一番辛い。ネタを理解したうえで面白くないのは別にいい。それはただ価値観が合わなかったというだけだから。
 だが無知は違う。知らないというだけで笑わないということは、かなり損している気がする。
 とはいえ、無知のせいで面白くないことがあっても、頻度が少なかったり、分からなくても支障がないようなネタは調べることはない。だが、ここまで頻出すると気になってしまう。
 元から社会経験としてパチンコをやってみたいと思っていたので、これを機にやってみることにした。それが破滅の第一歩となることも知らずに。

初めてのパチンコ 

 これがパチンコ最初の1枚。今年の3月16日である。沼への第一歩だ。
 結果は3万円入れて3万6000円分の出玉があった。収支は+6000円。午後2時くらいまでやっていた気がする。
 ビギナーズラックで大当たりすると聞いていたが、確率も高く出玉もそこまでない機種だったため、大勝ちはしなかった。少しだけ勝ち満足もしたので、この日は帰路についた。経験できたし、もうやることはないと思っていた。
 だがそれからたったの4日後、あの時の勝ちが忘れられなかった。たった4時間座ってハンドルを回しているだけで6000円も貰えた。ギャンブルの勝ち額としたは少額だが、時給1200円のバイト5時間と同じだけのお金が貰えた。そのコスパの良さが頭から離れなかった。

 やめようと決めた1週間後、私はまた台の前に座っていた。当たりはしたものの、出玉は少なく、投入した金額の方が多かった、この日は初めて3万円負けた。3万円あれば色々なことができる。高級寿司を食べることができるし、半月分の以上の食費であるし、新品のゲームソフトは5,6本買うことができる。これをたった数時間で溶かした。かなりショックだった。自分は一体何をやっているんだという感覚になった。
 普通の人ならここで「やめよう」と思う。だが、ここでの私の脳みそは「取り返そう」と思った。それから、毎週のようにパチンコ店に通い続けた。絶対に負けを取り返そうとパチンコ店に通い続けた。そして負け続けた。

あっという間に膨らむ借金

 借金は膨らみあがらり、たった2か月で25万円もの借金を抱えてしまった。もともと浪費癖で常に5万円ほどの借金があったため、パチンコだけで20万円の借金を作ってしまった。
 手取り16万円程度の給料では1回で返せる額ではない。
 このペースではあっという間に借り入れ上限30万円に達してしまい、1玉4円のパチンコでは間に合わないと思った。
 そこで私は1枚20円のメダルスロットに切り替えることにした。4円パチンコは1万発出ても4万円にしかならないが、スロットは1万枚出たら20万円貰える。一発逆転するにはスロットしかない、パチンコでは勝てない、そう思った。
 YouTubeでスロットの動画を視聴し、完璧ではないがある程度の知識を詰め込んでパチンコ店に向かった。

 そういう時のスロットの魔物は恐ろしい。初めて打ったスロットで3900枚も出してしまった。1枚20円のメダルスロットなので
 3950枚×20円=7万9000円当たった。投入金額は2万円だったため、差し引き5万9000円、約6万円の勝ちだ。
 この日は4時間ほど打ったが、たった4時間で6万円増えた。時給1万5000円である。そんなバイトがあったら命を落とすレベルの闇バイトである。それを私はボタンをポチポチ押しているだけで得てしまった。あまり台の知識がないまま、あっという間に6万円だ。
 これで私の脳の報酬系が急速に壊れていった。これで勝ち続ければあっという間に返せる。そう思った時にはもう遅かった。
 毎週のように通い続け、毎回のように5万円を下ろし、すべて無くなるまでスロットをやり続けていた。今まで週末にルーティンのようにやっていた筋トレ、カラオケ、サウナの全てを投げ出してパチンコ店に向かった。
 今日はいつものルーティンをやろうと車を走らせても最終的にはパチンコ店に向かっていた。そして5万円負け、たまに2万円勝つときもあった。1万円負けで済むときもあれば、3万円勝つときもあった。パチンコの時はあっという間に借金は増えていったが、スロットに変えてからゆるやかな負けになっていた。負ける額が大きくなるが、その分リターンも大きい。いつかは返せる。そう思っていた。
 だが結局、借金を返済することはなく、ゆうちょのキャッシングサービスは借り入れ上限を迎えた。よし、こうなった以上、もうギャンブルはできない。そうなるかと思っていた。







第2の借入手段

 気づいたら、銀行のカードローンを申請していた。公務員という信用が作用し、借り入れ可能額は160万円ほどあった。
 この時、改めて公務員の世間からの評価を実感することができた。
 だが、精神はすり減る一方であった。常に借金のことが頭から離れず、毎月返済に追われ、日々落ち着かない生活を送っている。何度か犯罪を働きそうになったこともあるが、ギリギリ留まることができた。
 でも、パチンコ店には、通い続けている。負けても負けてもお金を下ろし、また負け続けている。
 この時点で、自分が自分ではない気がしていた。パチンコを知る前の自分ではありえない行動ばかり取っている。頭がパチンコに支配されている。やらなければいけないという衝動に駆られている。自分以外の誰かがやれと言っている気がする。自分の理性では止められない。やっているのは自分なのに自分ではない感覚、明らかにおかしくなっている。
 友人とは縁を切って相談できる人もいない。同僚にギャンブルをやっている人もいない。親にはもちろん話せる訳がない。誰にも相談ができない中、日々精神は摩耗している。摩耗しているのにより摩耗している行動を取り続けている。明らかに普通ではない。
 だが、あと1か月でボーナスがある。40万円ほどあるので、とりあえず返済できる。そしてボーナスを機に絶対にやめたい。
 医療機関を調べることにした。近くの精神科ではギャンブルの診察を行っていなったが、保健所がギャンブルに関わる相談を行っていた。
 6月になり、私はギャンブルをやめるために保健所に通うことにした。
 (つづく)

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